「選択的シングルマザー」は親のエゴ?個人の自由?当事者と考える“家族の形”

自ら希望して結婚せずに子どもを産み育てる女性「選択的シングルマザー」。1980年代にアメリカの心理療法士が提唱した言葉で、経済的にも精神的にも自立している女性が選ぶ傾向が多いそうだ。
【映像】8歳娘に“子どもの作り方”と“父親の人物像”を教える様子(実際の映像)
しかし、ネット上では「親のエゴを綺麗に言い換えているだけ」 「あえて苦しい選択をしなくていいのでは?」と批判的な声もあがっている。自分の意志でシングルマザーを選ぶことは個人の自由ではないのか。それとも親のエゴなのか。当事者とともに『ABEMA Prime』で考えた。
■元夫からの精子提供を受けた当事者

自らシングルマザーを選択し、8歳の娘を育てているジュリさん(47)。35歳で結婚するも別居婚。37歳のときに夫に子どもを設ける意思がないことが判明し、離婚を決意した。その後、元夫の凍結していた精子の提供を受け、妊娠・出産。元夫とは「一切金銭的な要求をしない」「父親と主張しない」など取り決めている。
不安については、「もちろんあった。普通のカップルの半分の労働時間しかないわけだ。やはり生まれた子どもに負担をかけさせてしまうのは間違いないと思ったので、その対策をどうするかというところをすごく考えた」と振り返る。
子育てで大変なことについては「子どもに割く時間がなかなか取れないので、そこは本当に工夫してやっている状況だ」という。
現在は実家の近くに戻って生活し、カメラマンとして生計を立てている。「子どもへの環境を考えて、実家の近くだったら助けてくれる人も、生まれ育った地元なので知り合いも多い。最初から全部頼るつもりはなかったが、親との会話の中で『あなたが望むなら、こちらも準備する』と言ってもらえた」と、家族の理解が大きな支えになったことを明かした。
■性的指向が女性である当事者

あおぴんさん(34)は、性的指向が女性であるため、そもそも男性と結婚するという選択肢はなかった。しかし、子どもがいない人生を想像できず、34歳から2年間という期限を設けて妊活と出産に臨むことを決意した。そして34歳の時、同僚の知人から精子提供を受け、妊娠し、男の子を出産した。
知人から精子提供を受けた理由については「もし子どもが会いたいと言ったとき、会わせられる環境が一番だと思った。全くの他人は少し怖いのも正直あり、信頼がある人、知人の紹介であれば、その人の人柄や信頼もわかるので、この選択肢になった。運も良かったと思う」と明かす。
現在は保育園の近くに自宅を購入し、子どものための未来を見据えている。そして、「5年以内には年収を倍にしたいなと思っている。一人じゃ考えなかったようなキャリアプランを立てたり、より頑張れる元にはなってるとは思う」。
■欧米と日本の環境の違い

プライベートケアクリニック東京の伊藤ひろみ氏は、選択的シングルマザーを選ぶ女性について「欧米と同じようなバリキャリの方々もいらっしゃるが、性的指向が女性である方や、アセクシュアルの方、子ども時代に虐待を受けて男性と暮らすのが難しいというケースもある。また、35歳以上の女性で妊娠適齢期にパートナーがいないため、まずは妊活を優先するという方もいる」と説明する。
海外との違いについては「欧米では20、30年前から概念があり、病院での精子提供がシングルにも認められていたり、保険適用になったりしている国もある。所得が高い女性が多く、労働時間も日本より短いため、女性1人でも育てられる環境が非常に整っている」。
一方、日本の現状について、自民党衆院議員の門ひろこ氏は「かつての母子家庭に比べれば、今の政府でもセーフティネットを広げていこうとしており、制度としては手厚い方向になっている。女性が子育てをしながらなんとか生活ができるようにというところは、平成の間にかなり変わってきた」と述べた。
■子どものアイデンティティをどう守るか

「親のエゴではないか」という批判的な声について、あおぴんさんは「そもそもここにいる私たちも全員、親のエゴで生まれてきているとは思うので、それは1人だから、2人だからというのはあまり関係ないと思っている」との考えを示す。
子どもへの説明について、ジュリさんは、自ら絵本を作り「赤ちゃんをつくるためには男の人と女の人から命のカケラを取り出して組み合わせなければならない」と、2歳になるころから読み聞かせをし、 父親の人物像についても包み隠さず伝えているという。あおぴんさんは「私は物心つく前から、最初から真実を話していこうかなと思っている」と語った。
門氏は「子どもが思春期になったとき、自分のアイデンティティ・クライシスのようなところがあるのではないか。『ママの人生のために自分は製造された』と思ってしまうと、すごく悩んでしまうのではないか」との懸念を示した。
これに対し、あおぴんさんは「そういう課題もあるが、各家庭それぞれ問題は必ずある。子どもと自分との関係の中で構築する愛や信頼、周りの人との関係の中で解決していける問題だと思っている」と述べた。
(『ABEMA Prime』より)
