綾辻ミステリー「館」シリーズ再び完全実写化!Hulu『時計館の殺人』/奥智哉・青木崇高インタビュー「いい意味でキャラクターが変わらずにいてくれた安心感」

全世界シリーズ累計発⾏部数800万部を突破。現代本格ミステリーシーンを牽引し、国内のみならず世界中のファンを魅了し続けている日本ミステリー界の巨匠・綾辻行人の「館」シリーズがまたしても完全実写化!
長年「映像化不可能」と言われ続けた傑作ミステリー小説を原作に忠実に実写化した第1弾、Huluオリジナル「『十角館の殺人』は国内外で大きな話題を呼びました。その大ヒット作品のスタッフが再集結し、「館」シリーズ屈指の大仕掛けで人気の傑作長編原作ををふたたび完全実写化したのが、Huluオリジナル『時計館の殺人』です。
『時計館の殺人』は現在、Huluにて独占配信中。
今回は前作から続投となる名コンビを演じる奥智哉さん、そして青木崇高さんにお話をお伺いしました。

──まずは、第2弾の制作が決定した時のお話を聞いた時の気持ち、そして前作『十角館の殺人』の反響がお二人のもとにどんなふうに届いていたのか、教えてください。
奥智哉さん:相当良い反響をいただいたからこその続編なので、そこはすごく嬉しかったです。
『十角館』は初主演作でしたから、自分にとっても大切な作品が高く評価されたことにより、13歳からお芝居を始めて今に至るキャリアが無意味ではなかったんだな、という安堵の思いはありました。
──具体的にはどんな評価が印象的でしたか?

奥智哉さん:「最後まで犯人がわからなかった」というコメントは一番印象的ですし、嬉しかったですね。
僕も原作小説を読んだとき、最後まで犯人がわからなかったので、小説で読んだ時の謎や衝撃がきちんとドラマでも伝わったことは嬉しかったです。
青木崇高さん:『十角館』が世間で高い評価を得たのは良かったですね。ここまでクオリティの高い作品ができたのに、「もしこれでウケなかったら、この世の中どうかしてるぜ」と思っていました。
細部まで本当に丁寧に撮影していましたし、役者、スタッフが一つ一つ丁寧に作ってきた姿勢がきちんとエンタメとして評価に繋がり、続編制作に繋がったと。それは当然です!(笑)
『十角館』をまだ観ていない人は是非、是非、観てほしいですね。
──2年ぶりにお二人のバディがまた、観られます。そこもこの作品の楽しみな部分ですが、撮り終えてみて、お互いの成長やお芝居的な変化はいかがですか?
奥智哉さん:僕が演じる江南(かわみなみ)の冒頭のセリフで、「鹿谷(ししや)さんの笑顔は、全く変わるところがなかった」というセリフもあるように、良い意味でキャラクターが変わらずにいてくれたという安心感は、2年越しにお会いしてもありましたね。
近所にいたら変わり者と言われるようなタイプの鹿谷さんですが(笑)、でもそれが江南にとっては懐かしさでもあって。『十角館』から『時計館』までの過程も感じられるような、懐かしい気持ちになりました。

青木さん:2年のブランクを感じることなく、キャラクターとしてもストーリーとしてもすっと受け入れられました。
個人的には、奥君に高級車で現場に登場してほしかったんですけどね(笑)。「変わったなあ!」って(笑)。
奥君は相変わらずの姿勢で、本当にしっかりと作品に向き合っていましたね。
暑い時期でなかなか撮影も大変だったんですけれども、現場では本当に支えになってくれて、本当に助かりました。
奥智哉さん:去年の夏頃でしたね。
青木さん:そうそう。役柄としても(江南は)、「十角館」の頃だったら押しつぶされてしまうようなところを、今回は惨劇を前に責任や不安、恐怖を感じつつも、それに支配されないくらい強くなったな、という成長を鹿谷としてしっかり感じることができました。
──改めて振り返るに、『時計館』はボリュームも重厚ながら、非常に緻密に作られた作品です。
課題が盛りだくさんだったと思うんですけれども、その中でも特にお2人が気を遣われた部分を教えてください。

奥智哉さん:僕は、旧館内に閉じ込められる中で、目の前で人が殺されたりすることによる心理的なストレスや時間が経つにつれて生じる疲れといったものを再現していかなきゃいけなかったんです。今回は、そこが演技の肝だったと思いました。
撮影した順番としては後半のシーンからだったので、(役柄としては)疲れがマックスの状態からスタートすることが多かったんです。ですので、疲弊した状態を演じるにあたり、逆算しながら監督とすごく相談しながら作り上げた覚えがあります。
──順撮りじゃなかったんですね。
奥智哉さん:はい。バラバラでしたね。
──青木さんはいかがでしたか。
青木さん:そうですね。その順撮りではなかったので、そこに至るまでを想像しながら組み立てていかないといけないということが、まずベースにありました。
旧館に閉じ込められて惨劇を目の当たりにしている主人公に対し、僕が演じる鹿谷は時計館という館に喜々として入ってくる。一方では恐ろしい惨劇が繰り広げられる中、一定のリズムで“鹿谷らしさ”を保ちながら、視聴者に安堵の気持ちが生まれるような存在になれるよう意識していました。
──お2人が演じられた役柄と、実際のご自身との共通点や対比する部分を教えてください。
奥智哉さん:江南の好奇心に抗えない部分、知的好奇心に逆らうことが出来ないっていう面は、ちょっと似ていると思います。あと、ちょっと家が汚いとか、怠惰なところとかも似ています(笑)。
──全然そんな風に見えませんが……!
青木さん:料理にハマってるって当時言ってたよね。
奥智哉さん:そうですね! 料理が好きで自炊は頑張っているので、確かにそこは違うかもしれません。江南はカップ麺ばかり食べているので。
──レパートリーの中で割とよく作るものとかありますか。
奥智哉さん:ベタなのは、トマトソースを大量に作っておいて、それをベースに色々アレンジしてます。鶏肉を焼いてかけたり、トマトソースに白ワインを入れて煮込みに変えてみたり。
──自作のトマトソースって、美味しいですよね。
奥智哉さん:本当、美味しいです。
青木さん:生姜焼きのタレも作っていたよね。
奥智哉さん:りんごジュースを変えてみたりとか、(すりおろしの)玉ねぎの量を変えたりとか、試行錯誤していました。
──青木さんは、いかがですか?
青木さん:鹿谷は、キャラクターとして「ふざけてなんぼ」な部分もあると思いますが、僕自身との境目がよくわからなくなる時がありますね。「ここまでふざけてても案外大丈夫だな」と、逆に役が私生活に影響を及ぼしてるような(笑)。
──役がプライベートに食い込んでくる感じですか。
青木さん:キャラクターを演じるときは、思考パターンを定着させる部分もあるんです。
彼は人によってはひねくれ者にも見えるでしょうけど、僕は真っ当な人だと感じます。
「みんなが言ってるから真実のように聞こえるかもしれないけど、真実は、本当はそこじゃないんじゃないの?」という理屈にはものすごく共感できるんですよね。
「世間の価値観から距離を置いたら、実はこの真実が残るんじゃないの?」……みたいな。もちろん、「僕は変な人間だからこう解釈するけどね」という付け加えもあるので、あのキャラクターの色になっているんですが。
そんな鹿谷という人間の、その理屈には強く共感するので、のびのびと演じさせてもらったところはあるかもしれないですね。

──セットの豪華さもすごかったです。『十角館』の時もすごかったんですが、今回も仕掛けがあったり、すごいなと思って観てました。実際、撮影されてみて、セットの印象はいかがでしたか。
奥智哉さん:旧館の玄関ホールにある時計の数々が、本当にすごくて。実際に全国から集めたアンティークの時計で、中には1台100何十万円もするものも置いてあったりするんです。美術の方々のこだわりがすごいですね、本当に。セットも、何回作り直すの?というぐらい、たくさん作っていました。
青木さん:スタジオの面積が限られていたので、撮影したらすぐに解体してまた新しいセットを組んで……という繰り返しで。美術さんは本当に大変だったと思います。
奥智哉さん:本当にあの期間は、ずっと動かれていましたね。
青木さん:セットはもちろんですが、音響効果のこだわりもすごいんです。例えば今話しているこの声も、もっと狭い場所だと響き方が違うじゃないですか。そうした空間の広がりを表現するエフェクトをかけることで、視聴者が「このくらいの大きさなんだろうな」という認識させる反響音に仕上げられているんです。
ある場所に入るシーンでは、おー「大きいなあ」なんて言いながら拍手してみたり。その声にもエフェクトがかけられていて、俯瞰の画だけでは伝わらない空間の広がりが際立っていて良かったですね。すごい技術に支えられたなと思います。
──本作を通して得られた学びや影響を受けたことを教えてください。
青木さん:チームの大切さですね。なかなか大変な撮影でしたが、奥君はじめ、いろんな人に助けてもらったというのを本当に感じました。頼るところはしっかり頼りつつ、預けつつ、みんなで信頼してやっていくっていうことの大切さを感じました。
──これだけの規模だからこそですね。
青木さん:そうですね。あんまり負背うような気持ちになっちゃいかんなっていうか。
「みんなで担ぐんだ」「みんなで作っていくんだ」っていう大切なことを改めて感じることができました。
──奥さんはいかがでしたか。
奥智哉さん:前作の『十角館』の時は本当に、ただただ毎日必死に食らいついていくっていう感じでした。でも今回の『時計館』では、主演としての立ち振る舞いも意識しながら撮影に臨めたかなと思います。まだ経験が少ない役者さんもいらしたので、自分が現場で学んできたことを少しでもお返しできたらいいな、なんて思いながら、柄にもないことをやってました(笑)。
青木さん:気づいたらすぐに歳取るから(笑)。後輩というか、下の世代っていうのがすぐに出てくるからね。……早いわー。
奥智哉さん:気づいたら早いですね。
──説得力のあるお話でした。ありがとうございます。

『時計館の殺人』ストーリー
角島・十角館の惨劇から三年――。
大学院を修了後、出版社に就職した江南孝明は、オカルト雑誌の新米編集者として担当する”特別企画”の取材のため、あの中村青司が設計した建物の一つ、「時計館」を訪れる。少女の亡霊が棲むと噂されるその館の旧館内で”交霊会”が行われた夜、メンバーの一人が忽然と姿を消す。閉ざされた館内では、仮面を被った何者かが、江南たちに襲いかかる。
一方、江南から事前に話を聞いていた推理作家・鹿谷門実は、その奇妙な一目見ようと時計館を訪れ、館の主人が遺した「沈黙の女神」の詩の謎を追うことに。
Huluオリジナル「時計館の殺人」
Huluにて独占配信中
原作:綾辻行人 『時計館の殺人(上)(下)』(講談社文庫)
キャスト:奥 智哉 青木崇高
鈴木 福 神野三鈴 六平直政 角野卓造 嶋田久作 / 矢島健一 山中 崇 / 今野浩喜 向里祐香 /
岡部ひろき 吉田伶香 渡辺優哉 阿部 凜 藤本洸大 / 伊武雅刀 池田鉄洋 / 仲村トオル
監督:内片 輝 / 山本大輔
脚本:戸田山雅司(「安楽椅子探偵」シリーズ ほか)
早野 円(「十角館の殺人」 ほか)
藤井香織(「十角館の殺人」 ほか)
内片 輝
音楽:富貴晴美
公式HP:https://www.hulu.jp/static/tokeikannosatsujin
公式X:@tokeikan_hulu
Hulu配信ページ:https://www.hulu.jp/tokeikannosatsujin
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