唐田えりか(撮影:はぎひさこ)

写真拡大

 完全オリジナルの本格サスペンス『君が死刑になる前に』(読売テレビ・日本テレビ系)で、死刑囚という難役に挑んでいる唐田えりか。4月期は『102回目のプロポーズ』(FOD/フジテレビ)でも主演を務めている彼女だが、地上波連続ドラマへの出演は約6年ぶりとなる。休止期間を経て、芝居への向き合い方が変わったと語る唐田。20代最後を目前にした今、彼女が見つめる“表現”の現在地を聞いた。

参考:唐田えりか、活動休止期間を経て辿り着いた現在地 「変わったことを見せないといけない」

ーー死刑囚の大隈汐梨を演じられている『君が死刑になる前に』は、タイトルも役柄もとてもインパクトがありますね。撮影現場の雰囲気はいかがですか?

唐田えりか(以下、唐田):現場の雰囲気はとても良いんです。共演者の方々、主に加藤清史郎さん、鈴木仁さん、与田祐希さんと絡むことが多いのですが、皆さん「昔からの知り合いだったかな?」と思うくらい気がラクで、わいわいと仲良くやらせていただいています。

ーー意外にも皆さん初共演だそうですね。年齢的には唐田さんが少し上になりますよね。

唐田:そうですね。私自身、今年で29歳になるので「ずっと新人のままではいられないな」という感覚はあります。ただ、清史郎くんは、芸歴を聞いたら「24年」だそうで(笑)。私の年齢と同じくらいのキャリアがある大先輩なんです。年齢は下ですけど、本当にしっかりされていて頼もしい存在ですね。

ーー今作は現代と7年前を行き来する構成ですが、演じ分けの難しさはありますか?

唐田:私が演じる汐梨は過去のパートがメインなのですが、過去に何が起こり、何を知ったかが、現在の結果に繋がっていくので。そこを繋いでいく面白さと難しさがありますね。

ーー死刑囚という役どころについてはいかがですか?

唐田:もともとサスペンスが大好きで、ずっとやってみたいと思っていたので、今回のお話は「やっと念願が叶った!」と嬉しかったです。死刑囚というのも、自分がチャレンジしたことのない役だったので楽しみでした。

ーー“汐梨が本当に事件を起こしたのかどうか”という含みを持たせる演技は、塩梅が難しそうですね。

唐田:自分だけで演じていると、どう見えているか分からなくなる瞬間もあります。でも今回は監督やプロデューサーさんと「みんなで一緒に役を作っている」という感覚が強いので、皆さんに頼らせていただきながら、新しいことに挑戦できている実感があります。すごく楽しいです。

ーー役作りにおいて、特に意識していることはありますか?

唐田:ありがたいことに、これまでもミステリアスな役をいただく機会が多かったのですが、今回は「ミステリアスに見せよう」と考えないようにしています。狙ってやると表面的なお芝居になってしまう気がして。私自身は喜怒哀楽がはっきりしているタイプなのですが、お芝居ではいかに「無駄なものを削ぎ落として、五感を研ぎ澄ますか」という集中状態を大事にしています。

ーー民放地上波の連続ドラマへのレギュラー出演は、約6年ぶりになります。久しぶりの連続ドラマの現場で感じることはありますか?

唐田:お休みしていた期間も映画には出させていただいていたので、現場の“ものづくり”に対する熱意自体は変わらないと感じています。ただ、テレビは「持っている人なら誰でも見られる」という広さがある。そこで見てもらえるのは、やはり格別に嬉しいことだなと思います。

ーー4月期は『102回目のプロポーズ』への出演も重なり、まさに唐田さんの勢いを感じます。

唐田:そう言っていただけて嬉しいです。私にとっては、Netflixシリーズ『極悪女王』(2024年)での経験が本当に大きくて。あの作品をきっかけに、お声がけいただく機会がものすごく増えました。この数年で「見てくださる方は本当にいるんだ」と強く実感したので、一人でも多くの方に作品が届けられるように頑張っていこうと思っています。

ーーお芝居への向き合い方も、以前とは変わりましたか?

唐田:以前よりも、クランクイン前日に寝られないほど不安になるようになりました(笑)。それはきっと、お芝居が「人に見てもらう仕事」だということを本当の意味で実感して、今の準備で足りているか、明日カメラの前に立てるのかを真剣に考えるようになったからだと思います。

ーーその“変化”のきっかけはなんだったのでしょうか?

唐田:休止期間中に、自分の仕事は「自分本位でやってはいけない」と痛感したことです。以前は自分のことでいっぱいいっぱいでしたが、現場は人と人で成り立っていて、繋がっている。対人関係のなかでものをつくる大切さを知ったことで、覚悟というか、芝居に対する熱量の種類が変わった気がします。

ーー昨年にはデビュー10周年を迎えられましたね。

唐田:とっても長かったです。10年分、ちゃんと一歩ずつ歩んできた重さを知った10年でした。もともとはモデル志望で、お芝居に前向きではなかったところからスタートしてしまったのですが、現場を重ねるうちに「自分にとっての表現は芝居なんだ」と、生きていく上で大事な場所を見つけられた。そこが一番の大きな変化です。

ーープライベートでの過ごし方にも変化はありましたか?

唐田:以前は「こういう役だから人と会わないようにしよう」と、役に私生活まで侵食されるようなやり方をしていました。でも、それでは自分が潰れてしまうし、精神的にも良くないと気づいたんです。もともと人が好きなので、いかにプライベートを充実させた上で「オンとオフ」を切り替えるか。そのやり方が分かってから、すごくラクになりました。

ーー20代最後の1年、そして30代に向けて、ますます目が離せません。

唐田:4月期の2作品は、どちらも真逆なキャラクターです。死刑囚というハードな役も含めて、今の自分にできる全てをぶつけているので、ぜひ楽しんでいただけたら嬉しいです。

(取材・文=宮川翔)