津田篤宏&ひょうろくはなぜ役者として成功? 『水ダウ』などの“ドッキリ”が育む演技力
津田篤宏(ダイアン)とひょうろくの躍進が止まらない。
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そのきっかけのひとつとなったのは、間違いなく『水曜日のダウンタウン』(TBS系)であろう。津田は「犯人を見つけるまでミステリードラマの世界から抜け出せないドッキリ、めちゃしんどい説」から生まれた人気企画「名探偵津田」で視聴者を虜に。放送内で発した「長袖をください」は「新語・流行語大賞」にノミネートされた。
一方、ひょうろくは、さらば青春の光のYouTubeチャンネル出演をきっかけに、知名度を上げ、『水ダウ』にも出演するように。近年では、「ひょうろく、キャラ作ってるんじゃないか説」「ひょうろくとケンケンの冬休み」など、ひょうろく自身をフィーチャーする企画も増えた。
今や『水ダウ』はバラエティの筆頭で、TVerで配信された番組のなかで、初めて累計再生数3億を突破(2025年時点)したお化け番組である。その影響は大きく、『水ダウ』をきっかけにさまざまな芸人がブレーク。津田とひょうろくにいたっては、バラエティやコマーシャルはもちろん、俳優としても露出が増えた。いわゆるドッキリを受けた芸人は他にもたくさんいるが、なぜ津田とひょうろくには、ドラマのオファーが途切れないのだろう。当然、話題性もあるだろうが、他にも要因があるように思う。
その背景には、2人の出演した企画が転機となったことが挙げられる。2人が挑んだ長時間ドッキリは、種類も見せ方も大きく異なるが、彼らの人となりを知る絶好の機会となった。「ドッキリがあってリアクションがあって終わり」というシンプルなものではなく、ターゲットの人間性が浮き彫りになるのだ。
「名探偵津田」でカメラが回っていると分かっていながら、悪態をつき、頭をかきむしる津田。欲望をむき出しにして、追い込まれるたびに癇癪を起こす……企画内でも「人間・津田篤宏」が最高に面白いと感じさせる瞬間が多々あった。一方、ひょうろくは、知らぬ間にドッキリに参加しているが、理不尽なことが起きたり、ピンチに陥ったりしたときの表情や行動は、彼にしか生み出せないもの。ひょうろくの純粋すぎるリアクションは、大きな笑いを生んだ。
そうした彼らの人となりを汲んだうえでなのか、津田が出演したドラマ『フェイクマミー』(TBS系)では、第1話や最終話でインパクトを残す転職エージェント役、現在放送中の『リブート』(TBS系)では、第1話でいきなり……という裏組織の幹部役と、不憫な展開やフッと笑えるシーンが多々ある。
ひょうろくも人気作に出演。NHK大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』では、おどおどし、色仕掛けされる松前廣年役、三谷幸喜脚本の『もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう』(フジテレビ系)では、ジャズ喫茶の店員役としてレギュラー出演を果たした。
俳優の多くは、幅広く役を演じるため、固定したパブリックイメージを避ける傾向にある。しかし、2人はドッキリによってそれぞれのイメージが色濃くなった。キャスティングをする際も、ピンポイントで「この役に合うんじゃないか」「ドラマでこんな役を作ろう」という流れが生まれやすいのではないか、と感じる。
むろん、津田もひょうろくもドッキリ企画に挑む際、役を演じているわけではない。だが、極限状態で露呈するリアクションや表情は、図らずもドラマ制作陣に向けたプレゼンとなり、(知らぬ間に)培われた表現力が俳優業でも開花する、という循環が生まれているようだ。人間性が露わになる長時間のドッキリが、番組の面白さ、企画の面白さ、芸人の面白さを伝えるだけでなく、俳優を見出す側面もある、ということなのだろう。つまり、ドッキリ内で「無意識のオーディション」が行われている、ということなのだ。
たとえば、『水ダウ』が調査した「ドッキリにかけられた芸能人ランキング」で2021年のドッキリ王に輝いたおいでやす小田は、芸人だけでなく、俳優としても活躍中。叫ぶツッコミが印象的な彼だが、ドッキリで垣間見える“良い人すぎる人柄”にも注目が集まった。ほかの要因もあるだろうが、ドッキリを含むバラエティ番組での活躍もあって、ドラマにも多く呼ばれるようになったのだろう。津田やひょうろくもこの流れに近い。
今後、ドッキリで話題となった芸人が、ドラマ出演する流れは起きるのだろうか。
まだドラマの出演本数的には少ないが、『水ダウ』の「プロポーズした彼女の実家がどんなにヤバくてももう引き返せない説」にて、そのリアクションで笑いを巻き起こした酒井貴士(ザ・マミィ)は、もともと演技力が高く、幅広い役を演じられそう。なお、酒井は2022、2023年のドッキリランキング1位である。
そして、2024年と2025年のドッキリランキングで1位となった高野正成(きしたかの)は、同じく『水ダウ』の「ドッキリの仕掛け人、モニタリング中にターゲットのエグい秘密知っちゃっても一旦は見て見ぬフリする説」が印象深い。後輩が楽屋泥棒をする姿に本気で悲しみ、本気で怒り、本気で絶望する姿が話題を呼んだが、そんな高野もドラマには数本出演している。バラエティ色が強い彼だが、今後「怒っているキャラクター」や「イライラしているキャラクター」など、ピンポイントでオファーがあってもよさそうだ。
津田とひょうろくは、これからもバラエティやコマーシャルだけではなく、ドラマのスパイス役として、キーパーソンとして重宝されるだろう。そんな2人のように、ドッキリ発の“芸人俳優”が増えるのだろうか。引き続き、注目していきたい。
(文=浜瀬将樹)
