「あめ色玉ねぎ」には栄養が残っていない…血液サラサラ成分を引き出す玉ねぎの正しい切り方
■玉ねぎの皮は捨ててはいけない
ビタミン類は少ないものの、生活習慣病予防や疲労回復、抗酸化などの成分満載の玉ねぎ。
特に、近年注目されるポリフェノール・ケルセチンの含有量は野菜のなかでもダントツです。飲酒で細胞が傷つくのを保護する効果もあります。
でもケルセチンをもっとも多く含むのは「皮」の部分で、上から3枚目までにほとんどの量が含まれています。
つまり皮をむきすぎると、せっかくのポリフェノールがほぼ0に! 皮をむく時は、皮で出汁をとるなどで活用を。
■「玉ねぎの皮パウダー」にすれば食べられる
玉ねぎの皮は球根よりも優れた抗酸化作用があります。
ケルセチンは、そのほとんどが皮に含まれ、血管を強くしたり肥満予防も期待される見逃せない成分。
ちなみに赤い玉ねぎは黄色い玉ねぎの5.4倍のケルセチンを含んでいます。
栄養満点な玉ねぎの皮をそのまま食べるのは難しいですが、パウダーにすれば、内臓脂肪対策や肥満や網膜の損傷防止効果も期待できる食卓の強い味方に! スープや味噌汁に入れたり、ハンバーグなどのタネに加えても◎。
よく洗って水気を切った玉ねぎの皮をフライパンでから炒りし、フードプロセッサーなどでパウダー状に。玉ねぎの風味と栄養たっぷりの調味料が完成です!

■「玉ねぎの皮ご飯」を炊く
玉ねぎの皮を入れてご飯を炊けば、溶け出したケルセチンを吸い込んで、ほのかにピンクになった炊き込みご飯になります。
?米に普通に炊飯する場合と同量の水を入れ、よく洗った玉ねぎの皮を加える。
?炊き上がったら玉ねぎの皮を取り除く
?全体をよく混ぜる
?器に盛ったら完成!
■血液サラサラ効果や動脈硬化予防効果
玉ねぎの香り成分アリシンは、糖質からエネルギーを作るビタミンB1の吸収率をぐんと高めるほか、血液サラサラ効果や動脈硬化を予防する効果を持っています。
また皮に多く含まれるポリフェノール・ケルセチンには抗酸化作用、抗アレルギー作用、血圧上昇の抑制効果も。
玉ねぎのケルセチンは、皮のほかに上部にも豊富です。つい切り落としがちな部位ですが、できるだけ切り過ぎないようにしましょう。
上部が太かったり、触るとフカフカとしているものは傷みやすいので注意しましょう。
玉ねぎの可食部位は、葉の根元の部分が養分を蓄え分厚くなったものが鱗状に重なっているため「鱗茎」と呼ばれます。
内側は肉厚で甘みが強く、外側は繊維質で辛みが強いため、生食するなら内側が向いています。

■玉ねぎの芽はそのまま食べてOK
玉ねぎの中心部「芯」は、葉に養分を送る重要な場所。カリウム・リン・マグネシウムなどのミネラルは芯にもっとも多く、全体の3〜4割がここに。
芯をポイ捨てすると、せっかくの成分が大ロスに!
玉ねぎの根は活発に細胞分裂をしているため、適度な温度や光があると発芽します。この芽には玉ねぎの風味と栄養があるので、取り除く必要なし。刻んで薬味などに使いましょう。
発芽すると玉ねぎ本体の栄養が失われるので、早めに切り離さないとソンです。
■繊維を壊して空気に触れるとアリシンが発生
玉ねぎには特殊なアミノ酸、アリインが含まれ、分解されると、「アリシン」という成分になります。血液サラサラ効果や、免疫力アップ効果が期待できます。
アリシンは、細胞が壊れて空気に触れないと発生しません。そのため、切らずに丸ごと調理したり、繊維に沿って大きめに切ると、アリシンの成分が少なくなって大ゾンすることに。
おすすめの切り方は繊維を細かく断つ、みじん切り。切ったあと10〜30分常温で放置すればアリシンがさらに増加します。

■冷え性改善も期待できる
アリシンは「アリイン」というファイトケミカルが、切断によって酵素「アリイナーゼ」と結びつくことで「アリシン」に変化します。
加熱するとさらに「アホエン」「スコルジニン」という別成分に変化。冷え性改善などの効果が期待できます。
アリシンを活性化させた玉ねぎは、辛みがあり、食べすぎると胃が荒れることも。
辛さが心配な時は玉ねぎを長めに常温に置けば、辛みが落ち着きます。
■「あめ色玉ねぎ」にすると栄養が消失
玉ねぎの重要成分である「アリシン」と「ケルセチン」。アリシンは熱に強い性質を持ち、ケルセチンは脂溶性のため、油を加えて軽く炒める調理がベスト。
ただしあめ色になるまで炒めると、栄養が消失してしまいます。

アリシンを100%摂取するなら生ですが、食べすぎると胃が荒れることも。酢を加えると辛味を和らげつつ、栄養もキープできます。
辛みを抜く「水さらし」は、水溶性のアリシンや、カルシウム・マグネシウム・カリウム・リンなどのミネラルが流出してしまいます。

煮込み調理も水さらし以上に水溶性の成分をロスしてしまいます。ただし栄養が流れ出た煮汁ごと食べられるスープなどならOKです。
玉ねぎは80℃以下の加熱で抗酸化力がアップします。また脂溶性のケルセチンは油と炒めることで吸収力が大幅にアップします。
アリシンは加熱によってアホエンなどの成分に変化して抗酸化力をキープしますが、100℃以上になると失活するため、長時間加熱はNG。
レンチン加熱はムラがあるものの、水に触れないため栄養流出は少なめ。使うなら、30〜45秒程度の短時間加熱がおすすめです。
(東京慈恵会医科大学附属病院栄養部)
