かつて憧れの装備だった屋根が開く「サンルーフ」の装着車が減ってきたワケ
エコカー全盛時代で燃費には不利
1980年代から1990年代にかけて、豪華装備であり憧れの的のひとつだったのが、サンルーフだ。ちなみに日本初の電動サンルーフは1978年のプレリュードで、キャンバストップについてはそれ以前にホンダN360などであった。屋根に穴が開いてウインドウを設置し、さらにそれも開くというのは画期的な装備で、デートカーブームを支えたもののひとつと言っていいだろう。憧れるあまり、後付けのサンルーフというものまであったほどだ。
しかし、最近では一時期に比べて採用車が減ってきているような……。その背景にあるものを整理してみた。
1)重たくて燃費に不利
省燃費のために、軽量化にしのぎを削っている昨今、鉄よりもかなり重たいガラスを採用するのはかなりのハンディとなる。フランス車などの欧州車ではルーフ全面がガラスというモデルも多く存在するが、日光浴を好むだけに、重量的なハンディよりも日光が取り込めるガラスであることを優先するからだ。
2)価格が高くなってしまう
単純にスチール製のルーフに対して、開口部を作りガラスの板をはめ込んで、さらに電動で動くようにしたりなど、手間も素材も余計にかかる。ただでさえ車両価格の高騰が指摘される昨今、だいたい10万円ほどアップするというのはきついところだ。
3)操安性にも影響が出る
重量がかさむというのはすでに紹介したが、頭が重たくなるので走行時の安定性にも影響が出てしまう。とくにコーナリング時のロールについてはハンディとなる。
愛煙家にとっても便利な装備だったが……
4)タバコを吸わなくなった
サンルーフは大きく開けられるだけでなく、端っこを少しだけチルトアップさせることもできるのがほとんど。これはタバコを吸うときの換気にもってこい。外気導入にして、チルトさせると自然に煙は出て行くのだが、喫煙率が低下しているだけに、ありがたがる人も減ってきているのは当然のこと。
5)断熱性が悪い
ガラスだけでなく、内張りと同じ素材でできたボードがフタとして付いていることが多いが、断熱材が入れられないだけに、エアコンの効きなどに影響が出てしまう。夏は外の熱気が入り込んでくるし、冬は車内が冷えてしまうことになる。
6)長期的に見ると劣化しやすい
旧車の取材をしていると、かなりの確率でサンルーフ(Tバー含む)部分からの雨漏りが発生している。開口部まわりのゴムが劣化して漏れてしまうのだが、パーツがあればいいが製造中止のことも多い。将来的なリスクであるのは事実だ。