安易な雪山登山は絶対にやってはいけない。しかも、動画を生配信していると注意力散漫になるし、視聴者の目を意識してむちゃをしてしまいがちだ。

 10月28日に閉山中の富士山に登る様子を動画配信サービス「ニコニコ生放送」でライブ配信し、須走口の7合目付近(標高約3000メートル)で発見された遺体について、静岡県警御殿場署は12日、身元は東京都新宿区の無職男性(47)だと明らかにした。

 本人のものとみられるツイッターのアカウントには、先月28日に富士山5合目に向かう高速バスの乗車券の写真などが投稿されていた。富士山は閉山中とあって、バスの中は男性以外誰も乗車していなかった。

 その後、雪の積もった富士山を1人で登る様子を動画で配信し、途中で滑落。配信動画を見ていた視聴者などが警察に通報した。

 警察の捜索開始から2日後、7合目付近で雪に埋まって性別が判別できない状態の遺体が発見された。死因は滑落による損傷死だった。

 本人の動画サイトでは、富士山の登山動画が何度も配信されており、登山経験はあったとみられる。

 ある登山専門家は「同じ山でも、春夏と冬はまったく違う。冬は日中に気温が上昇して雪が水になって、夜に冷えてアイスバーンになっていて滑落しやすい。また、雪山での遭難はパニックに陥りやすい。雪に隠れた登山道と本人の位置がずれているので、動画の配信開始の時点で本人は遭難していたと思う」と語った。

 動画には滑り止め防止のアイゼンや、氷雪の中で足場を構築する際に必要なピッケルは映っておらず、遺体発見後も雪山登山の道具は発見されなかった。同専門家は「登山時の疲労もあるので、アイゼンなしでは下山も不可能だったのでは」と語っている。