ボディーペイントの名物ファン森山漠さん【写真:宮内宏哉】

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近鉄ファン歴25年、ボディーペイントの名物ファン森山漠さんが秩父宮に登場

 昨年のワールドカップ(W杯)日本大会で8強入りに貢献した近鉄のLOトンプソン・ルークは、19日に行われたトップチャレンジリーグ栗田工業戦(秩父宮)が引退試合となった。フル出場で74-0の快勝に貢献した38歳のベテラン。最後の雄姿を見届けに、ボディーペイントの名物ファン「バクさん」も会場に駆け付けた。

「トモさん」の愛称で親しまれたLOトンプソンのラストゲーム。試合前のスタンドでは、ある人物が注目を集めていた。観客の視線の先にはトンプソンと同じジャージを着用した1人の男性……かと思いきや、よく見ると上半身は裸。紺と赤をベースに、胸には「KINTETSU」と白でしたため、近鉄のジャージとそっくりにボディーペイントが施されていた。

“世界最薄ジャージ”という独特なスタイルで声援を送ったのは、元ラガーマンの森山漠(ひろし)さん。「バクさん」の愛称で親しまれ、昨年のW杯でも出場国のジャージをあしらったボディーペイントで観戦し、各国のメディアにも多数取り上げられた名物ファンだ。

「行列ができるようになりました」とW杯効果に驚いている。この日も記念撮影を求めて約20〜30人がバクさんを訪れた。天候は晴れでも、気温が10度を下回る時間帯があったが「今日は暖かいですね」と笑い飛ばした。

 約25年間、近鉄を応援しているというバクさん。「(トンプソンは)僕にとってはずっとそこにいた人。いなくなることが信じられないこと」。2006年からライナーズで活躍する男は、ずっと当たり前に頼りになる存在だった。彼の最後の試合となる――。その心境を尋ねると「最後言うたらあかん。泣いたらどうするの(笑)」と本気で悲しんだ。

 この日のペイントは、背中に「THOMO ありがとう 大好き」とW杯4度出場のレジェンドに向けた感謝の言葉を入れた。試合後にトンプソンが目の前を通過する際、背中のメッセージを披露。満面の笑みでサムズアップを贈られた。

 下部リーグとしては異例ともいえる1万4599人が詰めかけた。「多分このうちの8割はトモのファン。“トモさんブーム”です」とバクさんは強調した。「これがずっと続けばいいなと思います。初めて来た人もいると思うので、これからも来てほしい」。トンプソンが惹きつけた多くの人が、末長くラグビーサポーターで居てくれることを切に願った。(THE ANSWER編集部・宮内 宏哉 / Hiroya Miyauchi)