文/椎名基樹
◆ゆきぽよ“文春砲”でピンチ

「週刊文春」1月28日号が、’19年の5月にタレントの“ゆきぽよ”こと木村有希の自宅で、友人の男性がコカインを摂取して倒れ、救急車で搬送されたと報じた。この男性は、過去に詐欺容疑で逮捕されたこともある人物だった。男性が搬送された際、ゆきぽよも尿検査を受けたが結果は「シロ」だったという。

 ’19年当時、ゆきぽよの自宅は4、5人が自由に出入りする状態だったと言う。ゆきぽよは、男性との交際関係を否定していて、1月24日放送の「サンデー・ジャポン」(TBS系)にVTR出演し、「仲良い友達。向こうから好意は持たれていました。しつこくつきまとわれていたので切りづらかった。紹介してくれた地元の先輩も私に良くしてくれて、かわいがってくれていたので『コイツと関われないから切る』って言いにくかった」と説明した。

 この一件に対して、タレントのアンミカは1月25日放送の「バイキングMORE」(フジテレビ系)で、「裏表のない感じが好感度高くて」「仕事ご一緒していて大好きな子」とゆきぽよへの好印象を明かした。その一方で「自分が言い寄られていたんだっていう、被害者意識っぽい発言なんですが」と前置きし、交際を断っていた男性に「合鍵渡して家に残していくっていう行動と発言のギャップの違和感がぬぐえない」とゆきぽよの言動を疑問視した。

 また、ゆきぽよが、芸能活動を始めていたにもかかわらず、逮捕歴のある男性を家に上げていたことに対して「どういう人と仲良くしていくか、24歳(※)の年齢なら分別をつけるべきだった」「危機管理が必要だった」とコメントした。(※編集部注:騒動当時は22歳)

◆アンミカが疑問視する「合鍵」問題

 これはまぁ、アンミカの言う通り。さすがの正論だと思う。しかし「(交際を断っていた男性に)合鍵渡して家に残していくという、行動と発言のギャップの違和感がぬぐえない」というのは、あくまでアンミカの常識から見ればというだけだ。私だってアンミカと同じ常識だし、そもそも友人がガヤガヤと入り乱れるような生活は気が休まらなくて考えられない。でも「それが大丈夫な人たちっているよな」とも思う。そういう生活に慣れるしかない「境遇」というものもあるだろう。

「危機管理が足りない」というのも、その通りである。しかし、ゆきぽよだって、危機を回避したかったに決まっている。芸能活動が軌道に乗って、人生が変わり、未来に大きな夢を持てる状況になって、明らかにその足を引っ張る人物を、切りたいに決まっている。しかし彼女には、それができなかった。優しすぎるからだろう。

◆とにかく優しいゆきぽよ

 私は去年見たテレビ番組『緊急!公開大捜索’20春』(TBS系)を思い出した。この番組は、突然記憶喪失になってしまい、家族と離れ一人ぼっちになってしまった人の身元を、テレビの力を使って捜索する内容だ。ゆきぽよは、その中の1人の女性に付き添い、彼女の記憶に残る場所をたどるロケをした。記憶をなくしているので当然普段から不安気な様子の女性と、ギャルのルックスのゆきぽよとのギャップが大きく、キャスティングにまず驚く。しかし番組を見ていくにつれ、なぜゆきぽよが起用されたのかわかる気がした。

 ゆきぽよが、とにかく優しい。ロケ中、薄着でいかにも寒そうな女性に上着を貸してあげる。スタジオで不安げに、自分の情報を待つ女性の背中をさすり続ける。何より短いロケの間に、ゆきぽよとその女性の距離が縮まっているのが見ていてわかる。裏表のない性格で、相手の懐に飛び込むから、早く人と打ち解けることができるのだろう。

 ゆきぽよは、アメリカ版の「バチェラー」に、英語もできないのに出演した。「相手を見れば、なんとなく言ってることはわかるし、言いたいことも伝わってくる」と「アサ芸プラス」のテリー伊藤との対談で言っていた。要するに「心は伝わる」と思っているのだろう。ゆきぽよは「情」を信じている。彼女は、浪花節の中で生きているのではないだろうか。

◆襟を正して頑張れ! ゆきぽよ

 インターネットによって世論が可視化されるようになって、人の目ばかり気にしなければならない。「不良性」は、昔から最も定番の「スターの要素」であるが、制約だらけの世の中にあって、その存在はより必要とされるのではないだろうか。彼らの魅力は、常識にとらわれないその痛快さだけでなく、機械化する人間に対する反抗心、つまり「情」にある。

 そういった意味でも、ゆきぽよは、現在のエンターテイメント業界で、非常に希有な存在であると思う。それに、なによりダサくない。去年、「ゆきぽよとSLOTHとレスリー」名義で発表したDoja Catの「Boss Bitch」を日本語でカバーしたヒップホップの曲最高だった。だから、ゆきぽよは、是非アンミカ先輩の言うことをよく聞いて、襟を正して、夢に向かって真っ直ぐに、進んでいって欲しいと、おじさんは思ったのであった。【椎名基樹】
1968年生まれ。構成作家。『電気グルーヴのオールナイトニッポン』をはじめ『ピエール瀧のしょんないTV』などを担当。週刊SPA!にて読者投稿コーナー『バカはサイレンで泣く』、KAMINOGEにて『自己投影観戦記〜できれば強くなりたかった〜』を連載中