藤原紀香「人生100年時代」をどう生きるか 夫婦の時間、終活、そして未来への想い

おばあちゃんになっても歌い、ハードなアクションもできるような(笑)
終活をテーマにしたシリーズ映画『お終活3 幸春!人生メモリーズ』(5月29日公開)に出演する藤原紀香の存在感が印象的だ。老紳士たちを相手にしたスナックのママ・カオリとしての登場場面は数シーンながらも、唯一無二のオーラと存在感には目を見張るものがある。
目指すのは“人間力”のある人。後進へつなぐ“光の連鎖”

――出演場面は少ないながらも、カオリを演じる藤原紀香さんのオーラは他を圧倒していました!
ありがとうございます。同じ脚本でも、演じる人によって色々なカオリがいると思います。私なりのカオリを楽しんでいただけて幸せです。
カオリママは、多くの人生経験を積んできた人だと思うんです。人間力が高い人というか。知識だけではなく、人の痛みや喜びを感じ取り、共感し、行動へ移せる人。そして、柔軟さと包容力を持ちながら、芯の強さと意志を備えた、思いやりのある逞しい女性でありたいと思っています。
――人間力を高めるために、藤原さんは日頃からどのような意識で生きていますか?
これまで仕事では、ひとつの作品を作り上げるために、現場で同じ志を持つお仲間と切磋琢磨しながら、一人ひとりと向き合い、礼節と情熱を大切に歩んできました。
そして仕事以外では、子どもたちへの教育支援を中心としたライフワークを続けています。誰かに求められたからではなく、開発途上国や被災地を訪れるたび、現地の子どもたちや世界で懸命に働く日本人の方々と出会い、他では得られないような経験から 私自身が多くの学びとエネルギーをいただいてきました。
自身の価値観や常識をはるかに超える現実に触れ、目から鱗が落ちることも少なくありません。普段の生活で何かが起こっても「くよくよしている場合じゃない」と、逆に励まされることも多々あります。
懸命に生きる人の中には、必ず“光”があると私は感じています。出会った方々からいただいたその光を糧に、また前へ進む。そして、その背中を見た誰かが次の一歩を踏み出す――。そんな「光の連鎖」が人を元気にし、世の中を少しずつ明るくしていくのではないかと、私は信じています。
――そのマインドならば藤原さんは200歳まで生き続けそうですね。
それは妖怪になるから遠慮します(笑)
この映画でも“人生100年時代”と謳っていますよね。生き生きと自分のやりたいことを続けるためには、まず健康第一ですよね。
私は身体を、ある意味“神様からの借り物”だと思っています。ガンダムでいうならモビルスーツ(笑)。借り物だからこそ、自分勝手に酷使するのではなく、きちんとメンテナンスをする責任があると思うんです。
血液検査をまめに受けたり、マッサージやセルフケアを続けたり、血行を良くするための新酸素水を飲んだり、入浴法、発酵食品など温活にも気を配っています。年齢を重ねても、自分らしく歌い、踊り、アクションもできるように(笑)、日々の積み重ねを大切にしています。
夫・片岡愛之助の大怪我を経て変わった“夫婦の時間”

――本作のテーマは終活です。夫婦間で「もしもの話」などをするような事はありますか?
もちろん、ありますね。夫婦ですから。これまでの『お終活』シリーズもふたりで観ていますし、震災やコロナ禍を経験して、人はいつ何が起こるかわからないということを、より身近に感じるようになりました。
以前、夫が大怪我をしたことも大きかったです。今は完全復帰していますが、その経験を経て、お互い仕事以外の時間の大切さを改めて実感しました。
以前は、仕事があることは本当にありがたいことですし、二人とも仕事が好きすぎて休むことすら後回しにしてきたところがありました。でも今は、休むことも勇気であり、心身ともに自身を整える大切な時間だと考えるようになりました。
ときには夫婦水入らずの時間を大切にしながら、心と身体を整え、また仕事へ向かう。そんなマインドへ少しずつ変わってきた気がします。今回の『お終活3』も、夫と一緒に映画館で観に行こうと思っています。
言葉にも責任を持ちたい 藤原紀香が語るSNSとの向き合い方

――藤原さんはSNSを通して日々の様子を発信しています。世の中にSNSをネタ元にした記事も増えて、炎上も珍しい事ではありません。このような最近の風潮に思う事はありますか?
最近のSNSは難しいですね。本来は素晴らしいコミュニケーションツールなのに、わざと炎上を狙ったり、人を傷つける方向に使われている場面を見ると、寂しく感じることもあります。
自分では良かれと思って発信したことでも、揚げ足を取られることもありますし、思わず笑ってしまうような反応もあります(笑)。でも一方で、そうしたネガティブな感情に支配されてしまう人のことを心配することもあります。
夫はよく、「話題にも取り上げてもらえない人も多い中で、話題にしてもらえるのはありがたいこと。気になるからこそ見ているんだよ」と話してくれます。「そうだね!ありがたいね」とふたりで笑っています。
――SNSを使用する際に心がけている事はありますか?
私にとってSNSは、とてもポジティブなものです。応援してくださる方々との大切な交流の場ですし、直接お会いできない方へ想いを届けられる場所でもあります。
だからこそ、適当には書けなくて。告知ひとつでもその中の想いを伝えたくて、一つの投稿に何時間もかかることがあります。
たとえば牧場の牛を載せる時でも、「どの品種だろう」「牛好きの方はどちらを喜んでくださるかな」と調べ始めると止まらなくて(笑)。寝落ちして、夜中に目が覚めて続きを書くこともあります。でも結局、保存できてなくて消えてしまうこともあって……本末転倒ですね(笑)。ちなみに、お酒を飲んでSNSを書いたことはありませんよ。
「いくつになっても動ける魅力的な俳優で」年齢の枠を超えて挑み続けたい

――130歳まで!? 元気に生きるであろう、藤原さんの俳優としての新たな目標は?
またミュージカルもやりたいですし、映像では殺陣のある時代劇やアクション作品にも挑戦したいですね。そのために、日々トレーニングも続けています。
映画『RED/レッド』のヘレン・ミレンのように、年齢を重ねてもバズーカを担いでアクションができる俳優でいたいです。また、『トーマス・クラウン・アフェア』のレネ・ルッソも素敵で。あの年代でシースルードレスを着こなし、品格と色気を自然に表現しています。
年齢を重ねると、おばあちゃん役しか来ないと言われることもありますが、私は本人次第だと思っています。性別や年齢、誰かが決めた限界に縛られるのではなく、自分自身を磨き続けることで、新しい可能性は生まれる。
だからこそ、これからも挑戦することを恐れず、年輪を重ねること自体が希望になるような、そんな魅力的な存在でありたいですね。おばあちゃんになっても、歌って、芝居して、ハードなアクションもできるように(笑)。
<PROFILE>藤原紀香(ふじわら・のりか)兵庫県出身。1992年ミス日本グランプリ受賞を機に芸能界入り。俳優として多くの映像や舞台作品に出演するほか、司会などでも活躍。近年の主な出演作品は、国民的アニメの舞台化『サザエさん』では好評を受け3度の再演を重ね、映画『翔んで埼玉〜琵琶湖より愛をこめて〜』(23)、『裏社員。-スパイやらせてもらってます-』(25)では圧倒的な存在感でヴィラン役をつとめた。『This is I』(26)では愛情出演するなど話題となる。今年下半期は、三つの舞台が目白押し。『罠』(6月〜7月)、『まんが日本昔ばなし劇場』(8月5日〜)、『メイジ・ザ・キャッツアイ』(9月〜11月)など、舞台出演が続く。
Dress:TADASHI SHOJI(タダシ ショージ)
Jewelry:RUBIDA(ルビーダ)
ヘアメイク:佐々木博美
スタイリスト:今井聖子(Canna)
取材・文:石井隼人
写真:mayuko yamaguchi
