韓国、サッカーW杯審判4大会連続「ゼロ」の屈辱。協会が招いた育成の空白とKリーグ誤審問題のツケ《専門家の視点》
韓国サッカー界に非常に衝撃的なニュースが飛び込んできた。国際サッカー連盟(FIFA)が発表した北中米ワールドカップ審判員170人の中に、韓国人が一人も含まれなかったのだ。
【写真】日韓W杯で活躍した“韓国の英雄”「イタリアに行けない」と告白FIFAは52人の主審をはじめ、88人の副審、30人のビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)を6つの大陸連盟と50のFIFA加盟協会から選出したと公式に発表した。
審判はサッカーの試合において選手とともに核心的な要素をなし、その判定は勝負にも多大な影響を及ぼす。そのため、ワールドカップの本大会という舞台でも、審判は世界中のサッカーファンの注目の的となる。今回の170人という規模はワールドカップ史上最大級だという。

ワールドカップ審判員はFIFAの長年の原則である「実力至上主義」に基づき選出が行われ、ここ数年のFIFA大会はもちろん、国際大会や国内リーグでの一貫した試合運営能力が主な評価基準となった。
FIFA審判委員会の委員長であり、審判責任者のピエルルイジ・コッリーナ氏(イタリア)は次のように説明している。
「選出された審判たちは世界最高レベルだ。彼らは過去3年間にわたりリストアップされ、継続的に観察されてきた候補者グループの一部である。セミナーへの参加やFIFA大会での実務をこなし、国内外の試合におけるパフォーマンスも定期的に評価を受けてきた」
韓国サッカーは1986年のメキシコ大会から今回の北中米大会まで、11大会連続で本大会に出場しているワールドカップ常連国だ。11大会連続出場は世界でもわずか6カ国しか持っていない記録であり、韓国を上回る国はブラジル、ドイツ、アルゼンチン、イタリア、スペインといったサッカー超大国しかいない。
そんな韓国が、審判部門では2014年大会から今回まで4大会連続で「審判ゼロ」という屈辱を味わうことになった。
韓国が最後にワールドカップへ審判を送り出したのは2010年南アフリカ大会のチョン・ヘサン副審で、主審に限れば、自国開催だった2002年日韓大会のキム・ヨンジュ氏が唯一だ。
今回、キム・ジョンヒョク審判が予備候補に入っていたが、最終セミナーやリスト発表の過程で除外されたという。

韓国人審判が皆無である一方で、アジアサッカー連盟(AFC)加盟国からは日本をはじめ、カタール、サウジアラビア、UAE、オーストラリアなどの審判が主審に含まれた。
2002年大会を最後にワールドカップ出場を逃している中国からも、主審(マー・ニン)とVAR審判1人(フー・ミン)が名を連ねており、韓国サッカー界にさらなる衝撃を与えている。
ではなぜ、このような事態が4回も繰り返されているのだろうか。
まず、チョン・モンギュ会長が2013年から4期にわたり長期政権を敷いている韓国サッカー協会(KFA)が、これまで審判の体系的な育成に関して一体何をしていたのか疑問だ。FIFAから認められる審判が一人もいないとは、韓国サッカーの惨事と言わざるを得ない。
今回の北中米大会は過去最多の48カ国が参加し、104試合が行われる史上最大規模の大会だ。そのため、2022年のカタール大会よりも41人も多い審判が選出されている。
FIFA審判ディレクターのマッシモ・ブサッカ氏は、「2026年大会に向けた準備は2022年カタール大会の終了直後から始まった。セミナー、ワークショップ、継続的なモニタリングを含む体系的なプログラムが実施された」とし、「この期間中、すべての候補者はFIFAのインストラクター、フィットネスコーチ、医師、理学療法士によって綿密に評価され、最高レベルのパフォーマンスを発揮できるよう全方位的な支援を受けた」と説明した。
FIFAは「世界最高の審判たちが、今回の歴史的なワールドカップの舞台で活躍することを期待している」とも付け加えた。

韓国人審判がFIFAの能力評価と検証プロセスを一人も通過できなかったことに対し、サッカー関係者も困惑の色を隠せない。
「恥ずかしい限りです。中国のマー・ニン氏も2回(ワールドカップに)行くのに、我々のキム・ジョンヒョク審判は候補に一度上がっただけで、結局行けなくなりました。私の愛弟子として2009年から準備をさせてきたのに、無駄になってしまいました。歯がゆいです」。かつてKFAの審判委員長を務め、AFC審判委員として活躍したA氏の言葉だ。
KFAの事情に精通したある関係者は、次のように批判する。
「サッカー協会が審判を育てていないからです。AFC審判委員会での政治力不足という問題もありますが、我々の審判の能力も冷静に評価すべきです。国際審判もわずか2〜3人しかおらず、その審判たちですらAFCやFIFAの大会で良い評価を得られず、サッカー協会も対外的な影響力を持てていないのが現状です」
同氏によれば、サッカー協会の審判関連予算も2024年の16億ウォン(日本円=約1億7289万円)から昨年は12億ウォン(約1億2966万円)に減少したという。協会に金がないのに、どうやって審判を育てるのか、というわけだ。
また別のサッカー関係者は、「昨年のKリーグでの誤審騒動がAFCとFIFAの不信を招き、その結果、170人もの審判団の中に韓国人が一人も入れなかったのだ」と憤りをあらわにした。

FIFAとAFCはワールドカップ審判を選出する際、AFCチャンピオンズリーグ、U-20ワールドカップ、クラブワールドカップといった国際大会での経験を極めて重視する。
韓国人審判は近年、AFCの主要試合への割り当てやFIFA大会におけるトーナメントでの経験が相対的に少なく、評価ポイントの確保において不利だったとの指摘がある。
アジア内部の競争激化も理由の一つだ。日本の荒木友輔氏や中国のマー・ニン氏などは、ワールドカップ、クラブワールドカップ、アジアカップといった大きな国際大会を継続的に担当し、エリート審判としての地位を固めている。
Kリーグの判定に関する論争が絶えないことも問題視されている。
Kリーグ1部では、VARを巡る騒動や誤審問題が毎シーズン繰り返されている。FIFAは自国リーグの判定の安定性も評価基準に含めるため、国内リーグで判定トラブルが多いと、国際的な評価でも減点要素になりかねない。
結局のところ問題は、韓国サッカー界が相次ぐ判定トラブルに対して審判を批判するばかりで、有能な審判が生まれるような制度的基盤の整備には誰も関心を払っていないという点にある。
サッカーファンから批判を浴びているチョン・モンギュ会長体制において、KFAの人的刷新と審判育成システムの根本的な改革なしには、2030年ワールドカップでも再び韓国は審判に関しては脇役に甘んじるほかない。
ホン・ミョンボ監督率いる韓国代表の最近の親善試合での不振や、行き詰まったサッカー行政も相まって、いまだ課題の多い韓国サッカーの素顔が露呈している。
●スポーツコラムニスト、キム・ギョンム氏
(記事提供=時事ジャーナル)
