記事のポイント
ケリングの第3四半期売上は34億ユーロ(約5460億円)、前年比10%減。特にグッチの売上が減少。
グッチはデムナ氏によるクリエイティブ刷新で回復基調にあり、特にハンドバッグが好調。
ケリングは店舗ネットワークの最適化を進め、今後も効率的な成長をめざす。


ケリング(Kering)の第3四半期決算は、グッチ(Gucci)のクリエイティブ刷新と小売効率化への集中が成果を見せはじめたことを示す内容となった。

同社は10月、第3四半期の売上高が34億ユーロ(約5460億円)だったと発表した。これは報告ベースで10%減、為替などを除いた比較ベースで5%減である。

グッチの売上は13億ユーロ(約2088億円)で前年比14%減、イヴ・サンローラン(Yves Saint Laurent)は6億2000万ユーロ(約996億円)で4%減。ボッテガ・ヴェネタ(Bottega Veneta)は3億9300万ユーロ(約632億円)で3%増、そのほかのブランド群は1%増の6億5200万ユーロ(約1048億円)となった。

「ケリングの第3四半期の業績は、明確な回復の兆しを示した一方で、市場平均を大きく下回る水準にある」と、CEOのルカ・デ・メオ氏はコメントした。「この結果は、我々が事業全体を見直し、ブランドとグループを本来の地位に戻すための決意をさらに強めるものだ。私たちは再建に向けて全力で取り組んでいる」。

小売効率化が進展し、店舗数を削減



CFOのアルメル・プルー氏は「厳しい上半期を経て、進展が見られた四半期だった」と述べた。売上高は報告ベースで10%減だったが、「すべての地域が前期比で改善に貢献した」と指摘。上半期の減少率は16%だったが、第3四半期では北米と西ヨーロッパが牽引役となった。

小売がグループ全体売上の約4分の3を占めるなかで、ケリングは「店舗数を減らしながらも質を高める」方針を強化しているという。業績の振るわない店舗やアウトレットを削減し、販売効率を改善する狙いだ。2025年これまでに55店舗を閉鎖し、そのうち14店舗が第3四半期で、グッチがその約半数を占めた。

グッチの売上は比較ベースで14%減となったが、第1四半期の25%減から改善した。プルー氏は「2024年からはじまった『新しさの注入』が加速しており、特にハンドバッグ分野で効果が出はじめている」と説明した。

レザーグッズは「回復の兆しを見せている」とし、新クリエイティブディレクターのデムナ氏による「ラ・ファミリア(La Familia)」コレクションが「グッチのファッションとしての権威を取り戻し、若年層とのつながりを強化している」と述べた。

デムナ氏のグッチでの活動は、9月に公開された2026年春シーズンのショートフィルム「ザ・タイガー(The Tiger)」からはじまった。初の本格的なランウェイコレクションは2026年2月に発表予定である。プルー氏は、同作や初期プロダクトへの反応を「主要カテゴリーにおける安定化の有望な兆し」と評した。

サンローランとボッテガも堅調



イヴ・サンローランは前年比4%減と減収だったものの、耐性を見せた。プルー氏によると、新コレクションは「非常に好評」で、プレタポルテとシューズの売上は2桁成長、リフレッシュしたレザーグッズも勢いを取り戻しつつあるという。ボッテガ・ヴェネタは北米での強い需要と新作「カンパーナ(Campana)」バッグの成功に支えられ、3%の成長を記録した。

COOのジャン=マルク・デュプレ氏は「コストと効率の改善施策を加速・拡大している」と述べた。店舗ネットワークの適正化やマーケティング投資の生産性向上を進めつつ、長期的成果を重視する姿勢を示した。「筋肉を削ることが目的ではない。投資の効果と成果を確実に得ることが重要だ」と強調した。

プルー氏は、店舗ネットワークの最適化を2026年から2027年にかけて継続することを確認し、「現状のダイナミクスには満足している」と述べた。デュプレ氏も「過去数年で店舗網をやや拡大しすぎた」と認め、「今後はかなり大胆に合理化を進める」とした。

J.P.モルガンのキアラ・バティスティーニ氏の質問に対し、プルー氏は北米の業績が全ブランドで改善したと述べた。イヴ・サンローランとバレンシアガ(Balenciaga)は再び成長軌道に戻り、ボッテガも好調を維持しているという。店舗来店数が増加し、製品全体で平均単価も上昇した。

ロレアル取引と今後の成長戦略



アナリストからは、最近のロレアル(L’Oréal)との取引についても質問が出た。デュプレ氏は、40億ユーロ(約6420億円)規模のこの取引が「戦略的目標を完全に満たした」と説明し、債務削減にも寄与したと述べた。ただし「それは主要目的ではない」と強調した。

さらに、ケリングがアイウェア事業の売却を検討しているとの噂についても、「ケリング・アイウェアはグループ戦略の中核にあり、非常に順調に推移している」と否定した。

調査会社バーンスタイン(Bernstein)のアナリストは、この決算を「市場予想を上回る内容」と評価した。報告書では、グッチの改善が北米と西欧での平均価格上昇と新しいハンドバッグ構成に支えられたと指摘したうえで、「市場は依然として、グッチの再建が実際に定着している証拠を待っている」と述べた。

デュプレ氏は「我々の最優先事項はトップラインの再点火だ」と語った。「今期の進展は励みになるものであり、新コレクションやローンチへの反応も同様だ」と自信を見せた。

[原文:Luxury Briefing: Kering focuses on retail recovery and creative execution as Gucci rebuilds

Zofia Zwieglinska(翻訳・編集:杉本結美)