今井達也は早期復帰なるか(C)ロイター/Imagn Images

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【メジャーリーグ通信】

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 アストロズの今井達也が10日のマリナーズ戦で初回にKОされた後、「腕の疲労」を理由に負傷者リスト(IL)入りした。腕に何らかの異常が生じた可能性があったため、球団はすぐに検査を受けさせたが、どこにも異常は見つからなかった。今井は早い時期の復帰を目指して20日からブルペンでの投球練習を開始したが、球団も監督も「復帰時期は未定」と言うばかりだ。これは今井本人も明かしている通り、肉体的な故障ではなく米国での球場内外の環境に適応できないことから来るメンタルによるものとみられているからだ。

 今井のように生活環境の激変などによって生じる精神的ストレスが積み重なると「気分が落ち込む」「イライラが募る」「集中力が低下する」「自信を喪失し不安にさいなまれる」といった症状が出るケースは少なくない。アスリートの場合、それが一時的な運動能力の低下につながることもある。

 今井の不調がメンタルを原因とするならば、参考にできるのはザック・グレインキーのケースだ。彼はロイヤルズに在籍したメジャー2年目の2005年に、エースとして期待されながら、5勝17敗と大負けし、ピッチャーを続ける自信がなくなった。不安に駆られた彼は翌年のキャンプで、ストライクが入らなくなり、球団に「打者に転向させてほしい」と申し入れて拒否されるとキャンプ地から姿を消した。心の病を発症しているとみた球団は、精神科医の助言を入れてグレインキーに今必要なのは休養であることを理解させ、フロリダの両親の家に帰って気が済むまで休養するように命じた。親元で2カ月間休養したことでグレインキーはポジティブシンキングができるようになってチームに復帰。それを機に本格的な進化が始まった。

 逆に今井が反面教師にすべきなのはレッドソックスのジャレン・デュランのケースだ。メジャーデビュー後、彼はメジャーの厚い壁にはね返されて2年間マイナー落ちが続いて心の病になった。それに気付くのが遅れたため、彼はマイナス思考が増大し自殺願望を抑えられなくなった。メディアに出た彼の告白によると、22年のオフに愛用のライフルに弾丸を込めて銃口を自分に向けて引き金を引いた。しかし、なぜか弾丸は発射されず生きながらえた。これを神のおぼしめしと解釈した彼は死んだ気になってスイングの改良に取り組み打撃に開眼。スター街道を驀進することになるのだが、これは狂気の沙汰であり、奇跡的なことというしかない。

(友成那智/スポーツライター)