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京都府南丹市で行方不明になっていた安達結希くん(11)の死体遺棄事件をめぐり、SNS上では不確かな情報が投稿されたり、特定の人を犯人視する「ネット私刑」が過熱している。

Xでは「身内からの情報」と称し、ある少年の氏名や顔写真を晒して「遺体発見に関係している可能性大」「実際に刑事と連携して物事を進めている」とする投稿が拡散された。

この投稿者は、人から依頼されたことでおこなった投稿だから、誤報でも一切責任は取らないと開き直っている。しかし、無実の人間を犯人に仕立て上げるだけでなく、「依頼による投稿」と称しても責任を免れることなどできない。

インターネット上の問題にくわしい清水陽平弁護士に聞いた。

●「犯人」との指摘は名誉毀損の問題に

──SNSで「犯人」として名前や顔写真を晒す行為には、どのような法的問題が考えられますか。

特定の相手に対して「犯人」と指摘すれば、犯罪行為をしているという指摘である以上、相手の社会的評価を低下させます。そのため、名誉毀損の問題が生じることになります。

ただし、公共性、公益目的、真実性という3つの要件を満たす場合には、違法性がないということになります。また、真実でない場合でも、真実と信じることに相当な理由がある場合には責任がないということになります。

●今回の発信について「違法性なし」とは言い難い

しかし、この発信の内容はどうやら真実ではないようであり、違法性がないと結論づけることは困難であろうといえます。

真実相当性については、単にネット情報などを信じたというだけでは足りません。相当な調査をした結果として確からしいといえる程度のものが必要となります。

そのため、情報源がどこ(誰)なのか、その情報についてどのような検証をしたのかといったところが問題になってくるのです。

●「依頼されたから誤報でも責任なし」そんな言い訳はまったく通用しない

──「依頼された」という弁明によって法的責任は免責されるのでしょうか。

依頼されたかどうかは、法的責任の有無・程度について無関係と考えてよいです。

依頼されたとしても、実際に発信をしている以上、それについて責任を負うことになります。

責任が実際にあるかどうかは、真実相当性の問題に関わってくることになります。

【取材協力弁護士】
清水 陽平(しみず・ようへい)弁護士
インターネット上で行われる誹謗中傷の削除、投稿者の特定について注力しており、総務省の「発信者情報開示の在り方に関する研究会」(2020年)、「誹謗中傷等の違法・有害情報への対策に関するワーキンググループ」(2022〜2023年) の構成員となった。主要著書として、「サイト別ネット中傷・炎上対応マニュアル第5版(弘文堂)」などがあり、マンガ・ドラマ「しょせん他人事ですから〜とある弁護士の本音の仕事〜」の法律監修を行っている。
事務所名:法律事務所アルシエン
事務所URL:https://www.alcien.jp