月10万も家賃を払い続けるのは無駄…「年収600万円独身会社員でもマンションを買うべきか」専門家の最強回答
■大幅に上昇する「東京の家賃」
東京の家賃は大幅に上昇している。都区部の家賃相場は年率2%超で上昇しており、今住んでいる賃貸住宅に4年住んだら、築年が4年古くなったにもかかわらず、次の募集家賃は8%超上がっている状況だ。通常、築年が古くなれば賃料は安くなると思われるかもしれないが、家賃は需給バランスで決まる。市場の稼働率が高ければ築年が経過しても家賃は上がることになる。このため、毎年稼働率が上がる現在の市況では、来年は3%、再来年は4%上昇しそうな勢いである。あなたはこれ以上に年収を上げられるだろうか?

■年収600万の人が年間150万円もの家賃を払っている
家賃は年収の何%支払うのが適切なのか。J-REIT(日本版不動産投資信託)の入居者の場合は平均25%となっている。私はこれを算出した時、「高い!」と衝撃を受けた。年収600万円の人が、年額150万円(月額12.5万円)も払っていることになる。
なぜこれが衝撃かというと、住宅ローンの延滞発生率と比較してのことだった。年収に対する住宅ローンの支払い額を返済比率と言う。これが25%以内だとほぼ延滞はないが、これを超えると延滞率が上昇を始めるからだ。住宅ローンは35年などの長期で返済するものなので、支払えなくなるほど借りないし、金融機関も貸さないものだ。実際、フラット35の返済者のローン比率は平均22%である。家賃に25%は持ち家以上に住居費を払っていることになるし、延滞の目安である25%が平均ということは、半数の人はこれを超えていることになる。
■単身でも年収600万円あれば「いい立地」が狙える
年収の25%を家賃に支払うなら、その35年分の金額の分譲マンションを購入することができる。今の超低金利に税制の優遇もあり、ほぼゼロ金利で計算できるからだ。そうすると、年収400万円、600万円、800万円、1000万円の人はそれぞれいくらの物件が買えるかをまとめたものが以下だ。
年収:400万円、年間支払額:100万円、物件価格:3500万円(233万円※50m2のマンションとした場合の坪単価、以下同)
年収:600万円、年間支払額:150万円、物件価格:5250万円(350万円)
年収:800万円、年間支払額:200万円、物件価格:7000万円(467万円)
年収:1000万円、年間支払額:250万円、物件価格:8750万円(584万円)
【相場変動:年−1%の場合】
( )内は50m2のマンションとした場合の坪単価なので、単身であっても年収600万円あれば、かなりいい立地でマンションを購入することができる。いい立地ということは資産価値が高いということだ。相場変動がない場合、坪350万円ほどのエリアでは年間1%程度しか下落しない。
そうなると、10年間で10%の下落で、物件価格5250万円のマンションは525万円の下落後の4725万円で売れることになる。諸経費(例えば、中古の売買の仲介手数料や税金等)合計で8%かかったとしても420万円なので、合計945万円(月割で7.9万円)の住居費になる。これに対して、同じ家賃を払うなら、10年間で1500万円にのぼる。555万円持ち家の方が有利ということになる。

■持ち家の方が「1080万円」有利になる試算
【相場変動:年0%の場合】
高単価のエリアほど資産価値はもっと高いので、年収600万円の人が購入する物件価格5250万円の立地では値下がりしない可能性が高い。そうなると、10年間住んで支払った住居費は諸経費8%の420万円だけになる。これに対して、同じ家賃を払うなら、10年間で1500万円にのぼる。1080万円持ち家の方が有利ということだ。
これに加えて、相場上昇すると、その分は追加で含み益となる。それが年率5%なら、10年で50%となり、上記の物件は2625万円資産インフレし、3705万円持ち家が有利となる。
■東京都の中古マンションの成約単価は上昇を続ける
東京都の中古マンションの成約単価はアベノミクス以降、年率平均7%上昇している。2025年に限ると、さらに上がって12%となっている。上記の5%はかなり控えめな設定であるが、この上昇傾向は当面変わりそうにない。株価が上がるように、ダブついた資金は不動産に流れているし、建築単価も人手不足などで高騰している。このため、新築マンション価格が高騰するので、中古も連れ高になる。
不動産価格が下がる時は、資金の流れを止めるしかないが、それをできるのは金融庁しかない。その金融庁は不動産への貸出額が増えているのは認識しているが、破綻懸念はほぼないと分析しており、今のところ資金の流れを止める気はない。価格が上がるのが必至なマンションを安く手に入れる方法は早く買うに限る。1カ月後には1%上がっているのだから、上昇を止めるには自分がその時点で購入すればいいのだ。そうすれば、値上がり分は自分の運用益にすることができる。

■同じ金額を払うなら家賃よりも住宅ローン
こうした自宅での資産形成をやっている人は多い。筆者主宰の無料会員制サイト「住まいサーフィン」(32万人)ではその含み益は平均7000万円を超えている(保有期間:平均13年)。売却すれば手元に7000万円が入ってくるという意味だ。
最も重要なことは「家賃は無駄だ」という認識を持つことだ。賃貸か持ち家かはマンションの場合は持ち家の圧勝になることはどう計算してもそうなる。賃貸の生涯住居費は持ち家の1.5倍以上かかるのが普通の計算結果だ。だからこそ、家賃はなるべく払ってはいけない。年収比率は小さくあるべきだし、賃貸に住むなら持ち家に住んだ方が割安になる。
つまり、同じ金額払うなら、家賃ではなく、住宅ローンを借りた方がいいのだ。現時点(2025年11月現在)では住宅ローン控除という減税制度で実質的にマイナス金利であるし、国策として持ち家政策を勧めている日本では持ち家の税制は非常に優遇されている。税制・金利などあらゆる面で持ち家は賃貸よりも有利なことくらい理解しておいた方がいい。
私の提案する結論は、単身であっても早いこと、持ち家取得をしよう。その際の住宅ローンの年収比率が25%なら無理がないところだ。結婚するなら、売却して2〜3人用のマンションに住み替えればいいのだ。そうすることで、住居費を抑えながら生活を豊かにすることができるのだ。そのためには購入するマンションには資産性があればいい。そうすれば、いつでも住み替えることができる。だからこそ、結婚・出産後に購入と言わず、独身でも買うことを私は勧めている。
■あなたは家を買うべきか診断
実際、首都圏の独身者の8600人が1年間の間に持ち家を取得している(国勢調査2015〜20年から算出)。購入者の6割が女性である。住まいサーフィンでは購入者支援をしているが、「自宅購入が資産形成につながったか?」というアンケート結果には86%がYESと回答している。これが実態である。

独身時代から積極的にマンションを買いに行くことを「家活(いえかつ)」と名づけた。就活が終われば、婚活よりも先に家活した方がいい。その家活にどの程度向いているか診断項目を作った。以下の10の質問で5つ以上該当するなら、家を買うことを今すぐ考えた方がいい。
【質問事項】
□年収が500万円以上ある
□田舎よりも都市に住んでいたい
□社宅や住宅手当が月5万円未満
□ペットが飼いたい
□情報収集力に自信がある
□やりくり上手である
□向上心が強い
□休日は一人で過ごすことが多い
□生活レベルを下げられない
□同棲をしている/検討している
■独身が必ず守るべき5つの法則
自宅マンション選びは絶対に失敗は許されない。なぜなら、自宅は1戸しか買えないからだ。これで失敗すると、人生の足かせができてしまう。なおかつ、独身のマンション選びはファミリーよりも難易度が高い。だからこそ、失敗しないために必ず守るべき5つの法則を提示しておこう。
まずはなるべく若いうちに買おう。それは生涯住宅コストが安くなるからだ。新入社員でも3カ月経てば住宅ローンは組めるようになる。購入は早いに越したことはない。
物件選びで一番重要なのは立地だ。独身者が購入する面積40・50m2台のコンパクトマンションは特に「1に立地、2に立地」なのだ。首都圏であれば、千代田区・中央区・港区・渋谷区・江東区・品川区・目黒区の7区がAクラスで、資産性が高い。Bクラスは文京区・台東区・豊島区・新宿区・世田谷区・墨田区の6区までがいい。主要駅であれば、都区部・横浜市・川崎市でもいい。
上記エリアの中で駅からの徒歩分数は4分以内ならその中での資産性は変わらない。単身向きはファミリータイプより駅からの徒歩分数が短い方が好まれる。5分以降は1分遠くなるに従い、資産価値の落ち方が早くなる。最大でも6分と心得よう。
■高値づかみだけは避けておきたい
面積は少なくとも30m2以上が絶対条件になる。理由は住宅ローンの面積制限の下限値だからだ。しかし、(現時点では)住宅ローン控除の対象に入るという理由で、40m2以上の方が断然いい。この差で最大減税効果が455万円違う。40m2台で注意すべきことは年収が1000万円を超えると対象外になるので、50m2以上の物件を検討しよう。
最後に、販売価格が適正価格以下であることを確かめよう。住まいサーフィンでは、新築マンションすべてに適正m2単価を表示している。中古マンションなら、マンション名と号室指定で、成約ベースの取引価格を査定できるので、10秒で適正価格が判明する。高値づかみだけは避けておきたい。
整理しておこう。独身が家活するには、以下の5つの法則を守ろう。
?年齢の若いうちに
?都心にアクセスの良い行政区で選ぶ
?駅徒歩は4分までがベター
?面積は40m2以上がベター、年収1000万円あるなら50m2以上
?適正価格以下で
あとは実行に移すだけだ。まず、物件検索サイトで相場感をつかもう。次に、自分がいくら住宅ローンを借りられるか、ネット銀行の仮審査をやってみよう。その後の1カ月間は、休みの日は家を内覧する日にすれば、気分は自然と盛り上がり、3カ月以内に契約しているはずだ。
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沖 有人(おき・ゆうじん)
スタイルアクト代表
1988年、慶應義塾大学経済学部卒業後、監査法人系・不動産系のコンサルティング会社を経て、1998年に現スタイルアクトを設立。住宅分野において、マーケティング・統計・ITの3分野を統合し、日本最大級の不動産ビッグデータを駆使した調査・コンサルティング・事業構築を得意としている。設立当初から運営している分譲マンション価格情報サイト「住まいサーフィン」(https://www.sumai-surfin.com/)の会員数は、現在30万人を超える。中でも、自宅投資の基礎などを沖自ら解説している「沖レク動画」は人気コンテンツとなっている。『マンションは10年で買い替えなさい』(朝日新書)、『タワーマンション節税! 相続対策は東京の不動産でやりなさい』(朝日新書)など著書多数。
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(スタイルアクト代表 沖 有人)
