いつも食べている定番のおうちカレー。市販のカレールーで十分においしく作れるのですが、ちょっとした隠し味を加えて自分好みの味に微調整して、いつもと違うカレーを楽しむという人も少なくありません。

今回は、カレールーを使って作る家庭のカレーに少し入れて味の変化を楽しめる隠し味をご紹介します。定番の隠し味から意外性のある味まで、さまざまな隠し味を集めましたので、興味のある隠し味があればぜひ挑戦してみてください。

カレーの隠し味といったら? 定番の調味料や味の方向性別に紹介


カレーの隠し味といえば思い浮かぶ定番の味

まず、カレーの隠し味として定番の食材・調味料を紹介します。これらの隠し味はカレーと相性がいいため、失敗の少ないものばかりです。カレーアレンジ初心者は、最初にこれらの隠し味をお試しください。

○■にんにく

にんにくは、市販のカレールーの中にも入っている定番の食材です。多くの料理にも香りと旨みを加えるために使われますが、カレーにもすりおろしや薄切り、みじん切りで投入しましょう。投入タイミングは、食材を炒めているときです。

○■生姜

カレーに辛味と爽やかさを加える食材で、市販のカレールーでも使われています。にんにくと生姜の組み合わせは、カレーの隠し味としても定番中の定番です。すりおろしや千切り、薄切りなどの状態で、食材を煮込むときに投入します。

○■ソース(ウスターソースやオイスターソース)

ソース類は、野菜や貝類を煮込んだ旨みが凝縮された調味料です。ウスターソースは小さじ1杯でも十分に旨みが出ます。オイスターソースはその名の通り、牡蠣の旨みがたっぷり含まれているので、シーフードカレーと相性のいい調味料です。

いずれのソースも食材を煮込むときに投入しますが、ウスターソースは食べるときに直接かけてもおいしく食べられます。

○■しょうゆ

和風調味料の中でも、しょうゆはカレーと相性がよく、失敗の少ない隠し味です。食材を煮込むとき一緒に入れることで、マイルドに仕上がってどことなく懐かしい和風カレーに。入れすぎると塩分が多くなりすぎるため、小さじ1杯がおすすめの分量です。

○■ケチャップ

ケチャップの原材料であるトマトは、旨みを多く含む食材です。ケチャップは手軽にその旨みをカレーに加え、味にコクを出してくれます。

ケチャップの風味を残さず旨みを取り入れたい場合は、食材を炒めるタイミングまたは煮込むタイミングの投入がおすすめです。ケチャップの酸味や風味をしっかり感じたい場合は、食べる直前にかけ、混ぜて食べるといいでしょう。

あなたの家の隠し味は何ですか?


味の方向性別カレーの隠し味

いつものカレーにどのような味をプラスしたいか、という方向性別に隠し味用の食材・調味料を紹介します。

○■甘くするなら : 砂糖やジャム

カレーに甘みを加えると、甘みを感じた後に、旨み、スパイスの辛さという順番でさまざまな味が口の中に広がり、絶妙なおいしさを感じられます。

シンプルに甘くするなら、小さじ1杯の砂糖がおすすめです。その他、甘みを加える隠し味としては、ハチミツやジャム、フルーツのペーストなどがあります。いずれの食材も、食材を煮込むタイミングで投入し、しっかりと煮込むようにしましょう。

○■甘くかつ爽やかにするなら : お酢

カレーに酢は、意外な組み合わせかもしれません。実は市販のカレールーにも、醸造酢やりんご酢が用いられているほど、酢は定番の隠し味です。酢をカレーに隠し味として加えると、甘みと爽やかさをプラスできます。

酢は非常に特徴的な味なので、特に入れすぎには注意してください。材料を煮込むとき一緒に小さじ1杯入れましょう。

○■コクを出すなら : バターなどの乳製品

カレーにもっとコクが欲しい場合は、バターや牛乳などの乳製品を隠し味に使ってみてください。手軽にコクが加わり、おいしいカレーになります。また、牛乳を加えると味がまろやかになるため、子ども用のカレーにもおすすめの隠し味です。

バターは食材を炒めるときから入れましょう。その他の乳製品は、食材を煮込むとき一緒に入れてしっかり煮込みます。

○■プロの味に近づける組み合わせ

ここまで紹介してきたカレーの隠し味で、プロの味に近づける組み合わせは以下の通りです。

にんにく

生姜

砂糖

バター



いずれも小さじ1杯から試し、自分なりのバランスを考えて微調整してください。いずれもカレーと相性のいい隠し味で、コク・甘み・爽やかさがプラスされておうちカレーが絶品の味わいになります。

バターを使うことでカレーにコクが出ます


成功! 失敗? 意外なカレーの隠し味

カレーの隠し味としてよく紹介される食材や調味料の中でも、意外性のある隠し味を紹介します。中にはプロでないと扱いが難しい食材もあるので、ある程度カレーのアレンジに慣れてきたらチャレンジしてみるのもいいでしょう。

○■ビールや赤ワインは入れるタイミングが重要

ビールや赤ワインは、カレーの意外な隠し味としてもよく紹介される調味料です。ビールの場合は独特の苦みが味に深みを加え、赤ワインは味わいが爽やかになります。酒類は肉を柔らかくする効果もあるので、味だけでなく食材そのもののおいしさアップも期待できます。

ビールや赤ワインは、投入するタイミングが重要です。ビールの場合は食材を炒めるところから投入。赤ワインは食材を煮込むタイミングで投入してください。入れるタイミングが遅いと中途半端に味が残ってしまい、あまりおいしいとは言えなくなります。

○■ラードは使いこなすのが難しい

市販のカレールーには、すでにラードが使われている場合が多く、さらにラードを足すと味のバランスが崩れます。そのため、ラードはカレーの隠し味としては使いこなすのが難しい食材です。

ラードをどうしても使いたい場合は、自分でカレールーを作ることを検討しましょう。ラードを用いておいしいカレールーを作るプロのレシピは、インターネットにアップされていますのでおすすめです。

○■ごま油は仕上げに入れる

ごまの香りが好きな人は、ごま油をカレーの隠し味として使ってみてはいかがでしょうか。ごま油独特の香りを楽しむためには、仕上げに投入するか食べるときに少したらすのがおすすめです。

○■苦味をプラスするコーヒーは好みが分かれる

コーヒーをカレーの隠し味として使うと味わいに深みが出て、焙煎した香りや苦みもプラスされます。小さじ1〜3杯までの間で、好みの分量を決めましょう。ただ、コーヒー独特の苦みが苦手な人にとっては、あまり好みの味にならないかもしれません。

グラスに注がれたワイン


カレーの種類や利用シーン別隠し味

カレーの種類や、カレーを食べるシーン別の隠し味を紹介します。いつもと違うカレーを作るときにぜひお試しください。

○■キーマカレー

ひき肉を使ったキーマカレーの隠し味としてよく紹介されている調味料は「味噌」です。キーマカレーにはトマトを使うレシピが一般的ですが、トマトと味噌は相性がいいため旨みが倍増します。味噌の味が全面に出ないよう、小さじ1杯程度、食材を煮込むときに加えましょう。

○■牛すじカレー

牛すじを柔らかく煮込んだ牛すじカレー。牛すじの下ゆで時にはネギと生姜を入れて臭みを取っておくと、そのままでも十分おいしいカレーになります。牛すじカレーをさらにおいしくする隠し味としては、和風の味付けにするのがポイント。めんつゆやしょうゆ、かつおだしなどを少量加えてみてください。

○■シーフードカレー

シーフードカレー向きの隠し味は、同じく海の旨みが加わったオイスターソースや、アサリのだし汁がおすすめです。貝の旨みが食材に染みわたる絶品の味に。その他、生クリームや牛乳を加えてマイルドにしたり、甘味やコクをプラスするケチャップ、ウスターソース、ジャムなども少量入れたりするとおいしくなります。

○■カレーチャーハン

カレーチャーハンに相性のいい隠し味は「焼き肉のたれ」。チャーハンの仕上げに鍋肌に回し入れることで、甘辛い風味付けができ、ジャンバラヤ風の仕上がりになります。

○■カレーうどん

カレーうどんは、しょうゆやかつおだし等を入れて和風の味に仕上げます。和風の味に整ったカレーうどんと相性のいい隠し味も、実は「焼き肉のたれ」です。少し足すだけで、コクが深まりおいしくなります。

○■飯盒炊爨

キャンプで飯盒炊爨をして、カレーライスにして楽しむとき、手軽にカレーをおいしくする隠し味は、キャンプに持参する調味料などを活用します。ビールを飲むならビールを加えてお肉を柔らかくするのもいいでしょう。子どもがいる場合は、カレーをまろやかにするヨーグルトもおすすめです。

○■子ども用カレー(柿やりんご)

子ども用のカレーでは、あまりくせの強い苦みや辛みを出さず、甘みを加えてまろやかに仕上げられる隠し味を使いましょう。

子ども用カレーにまずおすすめしたい隠し味は、りんごのすりおろしや柿、チャツネなどです。甘みが加わり、子どもにも食べやすい味にととのえられます。手軽にまろやかさを加える食材としては、牛乳やヨーグルトがおすすめです。カレーの辛さをまろやかにして、子どもでも食べやすくなります。

子ども用のカレーでは、甘みを加えてまろやかに仕上げましょう


カレーに隠し味を入れるときの注意点

カレーに隠し味を入れてアレンジする際、注意したい点が2点あります。カレーのアレンジを成功させるために、ぜひチェックしておきましょう。

○■入れすぎない

仕上げに加える隠し味は、基本量は小さじ1杯程度からにして、徐々に増やすようにしましょう。加えた隠し味が隠れていないほど加えてしまうと失敗につながりやすくなります。

カレーの隠し味として入れる食材や調味料は、大量に入れすぎると味のバランスが崩れておいしくなくなります。カレーに甘みを加える目的で砂糖を入れる場合でも、入れすぎると甘ったるいばかりです。

逆に、カレーやワインのように食材を炒めるタイミングで入れる隠し味や、一緒に煮込むタイプの隠し味は、小さじ1杯より多くても問題ありません。ただし、これらのタイプも、大量に入れるとその食材・調味料が主張しすぎて味のバランスが崩れるので、やはり入れすぎには注意してください。

○■組み合わせすぎない

カレーの隠し味を組み合わせて使うのも楽しいものです。しかし、5種類も6種類も入れてしまうと、それが本当においしい組み合わせなのかどうかが分からなくなってしまいます。まずは1種類から、味見をしながらアレンジしましょう。

○■隠し味を入れるタイミング

カレーの隠し味の中でも、ハチミツや野菜・果物のペーストを加えるときは投入するタイミングに注意し、カレールーを入れる前に食材と一緒に煮込んでください。これらの食材にはでん粉を分解する酵素が含まれている場合があり、カレーのとろみが失われてしまいます。

カレーの隠し味でおうちカレーを楽しもう

カレーに隠し味を入れてアレンジする方法は、おうちカレーを手軽に自分好みの味にできる方法です。ひとり暮らしでカレーを多く作る際は、最後に入れる隠し味で味の変化をつける、といった使い方もできます。

興味のある隠し味を試してお気に入りの味になったら、ぜひ「我が家のオリジナルカレー」として大いに楽しみましょう。