新潟DF堀米悠斗がフットサル日本代表の兄から受けた期待と刺激
開始早々の5分、MF戸嶋祥郎からのパスを敵陣中央で受けると、一気にペナルティエリア内へボールを運ぶ。飛び出してきた千葉のGK鈴木椋大にブロックされたが、そのこぼれ球からFWレオナルドが決めて、チームは先制に成功した。
特に昨年から注目しているのが、横浜F・マリノスのサイドバックのプレーだ。開幕前のキャンプでは、映像分析担当の能仲太司コーチに頼んでプレー集を作ってもらうなど、研究に余念がない。千葉戦の5分に決めていれば、カップ戦も含め、自身の通算2ゴール目になるところだった。
「何だよ、決めろよ」。いじってきたのは、2歳上の兄、将太である。フットサル選手として、地元・札幌のエスポラーダ北海道でプレーする兄は、弟の新潟でのプレーを常に映像で追い掛けている。先週末の第33節・ヴァンフォーレ甲府戦も見ていて、千葉戦で惜しいところまで行ったからこその、『ゴールを決めろよ』の檄だった。
兄が甲府戦を観戦したのは、新潟でのことだった。甲府戦から2日後の23日、フットサル日本代表として、長岡市で開催されるタイ代表戦に臨むため来県中だったのだ。
チームがオフだった23日、弟は会場であるアオーレ長岡に集まった観客1900人の一人として、兄の試合を観戦した。「あまり調子が良くなさそうで、プレーしたのは前半だけだった」のは残念だったが、「すごく面白かった。やっぱりフットサルは激しい。何より、日本代表のユニフォームを着てプレーしている姿がかっこよかった」と大いに刺激を受けた。
サッカーを始めたのも兄の影響である。
「ショウタが小学校のサッカーチームに入ったので、僕も幼稚園のチームに入りました。遊ぶのはいつもショウタと、その友達で。サッカーばかりしていたし、そこで自分も上達しました」
大学までサッカーをやっていた兄は、途中でフットサルに転向。在学中にセレクションを受け、エスポラーダ北海道に加入した。
今回、来県した代表にはもう1人、子どものころ一緒にプレーした選手がいた。2歳上の室田祐希で、小学4年でコンサドーレの下部組織に入るまで、地元の少年団のチームメートだった。
「北海道だから、冬は室内でサッカーをするしかなくて。自分たちは人工芝の屋内練習場でサッカーをするけど、フットサルは体育館。だから、足裏を使ったりするのはフットサルをやっている選手の方がずっとうまいし、屋内だったら、コンサより彼らの方が強いんですよ」
日本代表対タイ代表戦が行われた新潟の長岡も雪深く、似た環境がある。実際、冬は屋内でプレーする地元のサッカークラブ、長岡JYFCのU-15チームは、全日本U-15フットサル選手権で2015年からの3連覇を含む優勝5回を数える強豪だ(09年の優勝メンバーの1人が、現在、大分トリニータでプレーする小塚和樹である)。
期せずして、自分のサッカーのルーツから刺激を受けた、新潟の左サイドバック。次の水戸ホーリーホック戦でいっそう大胆な動きを見せ、ゴールを陥れるとするなら、そんな刺激を受けたからかもしれない。
取材・文●大中祐二(フリーライター)
