元自民党衆議院議員の亀井静香氏

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「安倍晋三氏と高市早苗氏」――ともに保守派の政治家で、首相として選挙で自民党を"一強"へ導いた。だが、高市政権を理解するうえでは"安倍後継"という捉え方だけでは本質を見誤りかねない。両者の違いについて、元自民党衆議院議員の亀井静香氏に聞いた。

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 オレは安倍晋三が子供の頃から知っているし、高市も野党にいた時代から見てきた。晋三は、人を集めて楽しませる、過剰サービスのナイスガイだったよ。荒井広幸(元自民党議員)とつるんで漫才師はだしの芸をやっていた。ある時飲んでいるところに2人でやってきて、矢を射って手で受け止めるフリをするお座敷芸をしてたいそう笑わせた。

 トランプとの関係も晋三はうまくやっていた。人と分け隔てなく付き合える人柄からなんだろう。懐に飛び込むのがうまい。政治だけでなくゴルフやメシで個人的な関係を築くことに成功していた。

 高市も威勢のいい明るい女性、その一言だ。友達がいないと言われるが、総理になる前から俺のところに自民党の議員が何人も来て「高市を応援してくれ」と言ってきた。古屋圭司とか衛藤晟一とか城内実とかだ。

 以前、晋三に「次は誰を推してるんだ?」と聞いたら、「権力は自分の手でつかむもの」と答えた。その後、晋三が電話をしてきて「高市を応援してくれ」と言う。高市が意欲を示したから晋三は応援する気になったんだろう。

 総理になった高市はトランプ大統領とも、とりあえず良い関係を築けていると思う。「ポチ」になってもらっては困るが、堂々と大統領と向かい合っている印象だ。中国との関係は、高市はちょっとつまずいているが……。

 対中関係において晋三は堂々とした態度を崩さなかった。最初は習近平がきつい態度を取ったが、ものともしない態度で付き合い続けた。高市も堂々としていればいい。

 今は評判がよく、支持率も高い高市だが、1つ心配な部分がある。一歩間違えば独裁者になる可能性が垣間見えた。それが国旗損壊罪だ。国旗を守るなんてのは当たり前で、わざわざ法律にするようなものではない。この法律は、日本国内で国旗を損壊した日本人も国が罰する内容だ。日本国民を国家、つまり高市が統制することになる。

 かつて長州が朝廷に錦の御旗を下賜させて幕府を討伐したが、国の旗を政争の道具にしたケシカランやり方だった。結局、国旗損壊罪は国家を外から見て監視する姿勢を示している。高市は国家を中から守るのではなく、外から利用しようとしているように見える。国家を客体視しているのは危険な兆候だ。

【プロフィール】
亀井静香(かめい・しずか)/1936年、広島県出身。東京大学卒業後、別府化学工業にてサラリーマン生活を送る。1962年から警察庁に入庁。1979年、衆議院選挙初出馬にして初当選を果たす。2005年に自民党を離党して以降も2017年まで計13期の議員生活を続けた。

※週刊ポスト2026年4月17・24日号