明秀日立の2年生GK谷口。194cmの長身が際立つ。写真:安藤隆人

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 発展途上――。明秀日立の2年生GK谷口璃成を語るにあたって、この言葉がピタリと当てはまる。

 高2である彼は194cmの高さとバネを生かしたシュートストップが持ち味。特に1対1のシーンでは無闇に飛び込まず、相手との間合いを詰めながら冷静に面を作って対応する。何より目を引くのがその立ち姿だ。ヒョロヒョロとしている印象はなく、筋バランスの取れた身体でゴール前に立つ姿は非常に絵になる。

 だが、一方でこれだけの高さを持ちながら、ハイボールやクロス処理には不安を残す。流経大柏、昌平、矢板中央、桐生一、京都橘、流経大U-19が参加したRYUKEI CUPでも、クロスに対して飛び出すのかステイするのかを躊躇する場面も見られた。

「昔からハイボールはそこまで得意ではありませんでした。高校に入って、そこが足りないと痛感したので今はより自分の高さを生かすべく、大塚義典GKコーチとともにチャレンジしている最中です。今日もまだ適切なポジションを取れていないので、そこはこれからもしっかりと向き合って取り組んでいきたい」

 真摯にそう語る彼を見て、まだまだ発展途上の選手であることを改めて感じた。GKとしてビルドアップ面、安定感という面で磨くべきところは多々あるが、どうしても魅力に感じるものを彼は持っている。前述した佇まいもそうだし、彼の高さと身体的なバランスを見ると、その秘められたポテンシャルの高さに目が行く。それはこの言葉でよりはっきりとした。

「小6の時は165cm、中1で168cmだったのですが、中2で一気に180cm、中3で188cmになりました。高校に入って昨年は191cm、今はそこから3センチ伸びて194cm。まだ伸びると思います。身長は伸び続けているのですが、体重も一緒に増えてくれるので、オスグットなどの怪我はありませんでしたし、違和感なく身体を動かせています」

 急速な身長の伸びは膝や腰、そして身体操作の面で大きな影響を及ぼす。彼は驚異的な伸びを見せているにもかかわらず、その影響をほとんど受けていない。それだけしなやかな筋力とバランス感覚を持っていると言っていい。それこそ、彼に感じるポテンシャルだった。あとはよりGKとしてのスキルを磨けば、面白い存在になるかもしれない。その期待感が惹きつけられる大きな魅力だ。

「高校卒業後にプロに行きたいと思っています。そのためには確実なストロングを持たないといけないので、自分の身長を生かすという面では、クロス処理の成長はマストですし、キックの精度を上げていかないといけない。コンディションは上がっているので、もっと自分磨きをして行きたいです」
 
 彼は香川県高松市出身。中学時代は地元の高松市立勝賀中サッカー部でプレーし、中2の時に初めて県トレセンに選ばれると、そこからナショナルトレセンメンバーまで一気にステップアップ。中2の2月にはナショナルGKキャンプメンバーに選出。清水エスパルスで若き守護神となっている梅田透吾、伊藤元太(ヴィッセル神戸)、相澤ピーターコアミ(ジェフ千葉)などと、ともにトレーニングを積んだ。

 高校進学時には徳島ヴォルティスユース、大分トリニータU-18からも声がかかったと言うが、中3の夏に三重県まで足を運びインターハイを視察した時、ベスト16に進んだ明秀日立のサッカーに目を奪われた。
「選手権に出たいとずっと思っていましたし、萬場努監督が熱心に誘ってくれました。実際に明秀日立のサッカーは球際も強いし、しっかりとした守備から組み立てられる。僕は線が細かったので、ここに入れば身体的にも精神的にも強くなれると思った」と、数ある誘いの中で明秀日立を選んだ。

「最初は香川から1人で茨城まで出てきて、難しさを感じることもありましたが、だんだん慣れてきてチームの勝利のために戦う気持ちを持って、着実にステップアップできている手応えはあります」

 生半可な覚悟でここに飛び込んできたわけではない。全ては自分の成長、目標達成のために。そのメンタリティも魅力のひとつとして、発展途上である彼の今後の成長に注目をして行きたい。

取材・文●安藤隆人(サッカージャーナリスト)