「漢字」、一文字一文字には、先人たちのどんな想いが込められているのか。時空を超えて、その成り立ちを探るTOKYO FMの「感じて、漢字の世界」。今日の漢字は「記す」、「記録」の「記(キ)」。(TOKYO FM「感じて、漢字の世界」2019年12月21日(土)放送より)



【漢字トリビア】「記」の成り立ち物語

「記す」という字はごんべん(言)に「己(おのれ)」と書きます。「己」という字はこの場合、糸を巻き取る糸巻きの形。糸といえば「糸へん」に「己」と書く「紀」という字がありますが、この字は糸を整えて正しく巻き取り始める様子を表します。

そこから「正す、おさめる、始める」という動作や、「筋道・おきて」という意味をもつ漢字になりました。ごんべんの「記」はその「糸」を「言葉」に転じたもの。言葉や記憶を整理して「書きとどめる、しるす」ことを意味します。

糸へんの「紀」が使われている歴史書といえば『日本書紀』。近隣諸国を意識した内容の「正史」として漢文で書かれています。それよりさかのぼって編纂された『古事記』の「記」はごんべんの「記」。稗田阿礼が暗誦した神話や伝説を記録した歴史書で、物語性の豊かさから、古典文学としても親しまれています。

ではここで、改めて「記す・記」という字を感じてみてください。

記憶を語る話ことばをもとに記された『古事記』には、古代の「こころ」が活き活きと宿っています。白川静博士いわく、漢字にも、「文字以前の、はかり知れぬ悠遠なことばの時代の記憶」があるのです。

漢字のなりたちを知ることは、私たちがどこかへ置き忘れてきた、大切な記憶を取り戻す手がかりにもなるのです。

漢字は、三千年以上前の人々からのメッセージ。その想いを受けとって、感じてみたら……。ほら、今日一日が違って見えるはず。

*参考文献 『常用字解(第二版)』(白川静/平凡社)

『白川静 漢字の世界観』(松岡正剛/平凡社新書)

最終回となる12月28日(土)の放送では「一」に込められた物語を紹介します。お楽しみに。



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聴取期限 2019年12月29日(日) AM 4:59 まで

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<番組概要>

番組名:感じて、漢字の世界

放送エリア:TOKYO FMをはじめとする、JFN全国38局ネット

放送日時 :TOKYO FMは毎週土曜6:40〜6:45(JFN各局の放送時間は番組Webサイトでご確認ください)

パーソナリティ:山根基世

番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/kanji/