ひつまぶしってどんな食べ物?


【画像を見る】ひつまぶしとは?鰻丼・うな重との決定的な差や意外な誕生秘話

愛知県名古屋市の郷土料理として広く知られている「ひつまぶし」。一見すると鰻丼によく似ていますが、実は食べ方も魅力も大きく違う料理なんです。

今回は、ひつまぶしとはどんな料理なのか、その誕生秘話、そして存分に楽しむための食べ方の手順、さらにはご自宅で手軽に作れる「ひつまぶし風」レシピまで、詳しく解説していきます!

■ひつまぶしとは?その魅力と名前の由来

ひつまぶしとは、鰻の蒲焼きを細かく刻み、ご飯の上にのせた料理のことです。濃厚な甘辛のタレを何度もかけながら焼いたうなぎが使用されます。

「ひつまぶし」という名前は、おひつに入れた鰻とご飯をまぶして(混ぜる)食べることが由来となっています。

ご飯の上にうなぎをのせる料理としてうな丼やうな重がありますが、重箱にご飯とそのままのサイズのうなぎをのせた王道スタイルに対し、ひつまぶしは細かく鰻を刻んでご飯と混ぜ合わせます。

ひつまぶしの最大のポイントは、一度で何度も味変を楽しめるというところ。薬味や出汁(だし)を使って味の変化を堪能できるため、最後まで飽きることなく美味しく食べられるのが魅力です。そのため、お店で提供されるひつまぶしは、おひつに入ったご飯とうなぎに加え、お漬物や薬味、お吸い物、そしてお茶漬け用の出汁がセットになっているのが一般的です。

愛知県で親しまれているひつまぶし


【知恵が詰まった】ひつまぶし誕生秘話

ひつまぶしが誕生した時期については諸説ありますが明治時代中頃、名古屋市の熱田神宮前にある老舗料亭が発祥だとされています。当時、出前の注文が非常に多く、しかも陶器の丼を出前に使うと器が戻るときには割れてしまうことが多かったそうです。困ったお店は、割れない丈夫な木製のおひつで提供するようになり、数人分の鰻丼をまとめて入れるようにしました。

しかし、今度は出前先で鰻ばかり先に食べられ、ご飯が残ってしまうという問題が発生。そこで、鰻を細かく刻んでご飯に混ぜて出したところ、これが大変好評となりました。これが現在のひつまぶしの始まりとされています。また、鰻の切れ端をまかないに活用したのがルーツという説も一般的です。

現在、名古屋のうなぎの焼き方は、蒸さずに強火の遠火で焼き上げる関西風(地焼き)が多いとされています。ひつまぶしにおいては、お茶漬けにする食べ方を見越し、みりんや酒で脂を落としてパリッと仕上げる名古屋独自の焼き方もあるそうです。

ひつまぶしの食べ方は


ひつまぶしの美味しい食べ方

ひつまぶしを存分に楽しむために、おすすめの食べ方をご紹介します。ポイントは、まずおひつの中身を4分割することです。

STEP1. 丼の中身を4分割する

まず、しゃもじやスプーンを使い、ご飯と鰻が盛られたメインの器の中身を等しく4分割しましょう。

STEP2. 1杯目は「そのまま」味わう

4分割したうちのひとつのブロックを取り皿に移し、何も加えずにそのまま食べます。うなぎの香ばしさと、甘辛くコクのあるタレの味わいを堪能してください。

STEP3.2杯目は「薬味」を混ぜてさっぱりと

次に、もうひとブロックを取り皿に移し、別の器に盛られている薬味(ねぎ、わさび、刻みのりなど)を一緒にのせて混ぜ合わせます。薬味の辛みや風味が加わることで、1杯目とは違う爽やかな味わいになります。

STEP4.3杯目は「お茶または出汁」をかけて

3ブロック目をご飯茶碗に盛ったら、出汁、もしくはお茶を注ぎ入れてお茶漬けにします。出汁のおかげで濃厚な鰻の味が上品に感じられ、サラサラと流し込むように食べられます。

STEP5. 最後は「お好み」の食べ方で締めくくる

最後に残ったひとブロックは、1〜3杯の中で最も気に入った食べ方を選んで味わいましょう。

■お手軽!家庭で作れるひつまぶしのレシピ2選

ひつまぶしは、鰻の蒲焼きだけでなく、身近な食材を使って「ひつまぶし風」としてアレンジするのもおすすめです。ここでは、市販のかば焼を使ったお手軽レシピと牛肉を使ったレシピを2つご紹介します。

ひつまぶし丼


ひつまぶし丼

【材料・2人分】

うなぎのかば焼き…2串

〈卵液〉

溶き卵…1個分、砂糖…小さじ1/2、塩…少々、水…小さじ1

万能ねぎの小口切り…1本分、焼きのりの細切り…適宜、温かいご飯…どんぶり2杯分、うなぎのたれ…大さじ4、緑茶…適宜

酒、練りわさび

【作り方】

1.卵液はざるでこす。耐熱皿にラップをぴんと張り、卵液を薄く広げる。ラップをかけずに電子レンジ(500W)で1分〜1分30秒加熱し、ラップごとはずす。残りも同様にする。さめたら卵をはがし、細切りにする。

ひつまぶし丼の工程


耐熱皿にラップをぴんと張り、卵液を均一に薄くのばす。

2.うなぎは1cm幅に切って耐熱皿にのせて酒大さじ1をふり、ふんわりラップをかけて電子レンジで約2分加熱する。

3.それぞれの器にご飯、うなぎ、ご飯の順に1/4量ずつ盛る。1、のりを散らし、残りのうなぎをのせ、たれを回しかける。万能ねぎ、わさび少々を小皿にのせて、緑茶とともに添える。最初はそのままで、次に薬味をのせたり緑茶をかけて食べる。

(1人分705kcal、塩分3.8g 調理/重信初江 栄養計算/スタジオ食)

※電子レンジを使う場合は500Wのものを基準としています。600Wなら0.8倍、700Wなら0.7倍の時間で加熱してください。また機種によって差がありますので、様子をみながら加熱してください。

▶教えてくれた人 重信初江先生

重信初江先生


料理研究家。初心者でも簡単に料理を楽しめるレシピが人気。NHK「あさイチ」「きょうの料理」などのテレビ番組に出演するほか、雑誌や広告などでも活動。著書に「がんばらない晩ごはん献立」(学研プラス)、「昔ながらのおかず 保存版」(主婦と生活社)などがある。

牛ひつまぶし丼


牛ひつまぶし丼

【材料・2人分】

牛切り落とし肉…160g、しょうがの薄切り…1/2かけ分、万能ねぎの小口切り…4〜5本分、刻みのり…適宜、温かいご飯…どんぶり2杯分

〈たれ〉

しょうゆ…大さじ3、酒、砂糖…各大さじ2、みりん…大さじ1

熱いお茶(ほうじ茶、番茶など好みで)…適宜、練りわさび

【作り方】

1.しょうがはせん切りにする。牛肉は一口大に切る。

2.小鍋にたれの材料としょうがを入れて火にかけ、温まってきたら牛肉を広げて加える。ほぐしながら1〜2分煮て、色が変わったら牛肉をバットに取り出す。

3.鍋に残ったたれを火にかけて4〜5分煮詰め、少しとろみがついたら牛肉にかけてからめる。

4.器にご飯を盛り、牛肉と万能ねぎをのせ、バットに残ったたれをかける。

牛ひつまぶし丼の工程


2/3くらい食べたら、わさび少々とのりをのせ、お茶をかけて食べる。

(1人分320kcal、塩分4.1g 調理/井澤由美子  栄養計算/スタジオ食)

▶教えてくれた人 井澤由美子 先生

井澤由美子先生


料理家、国際中医師、国際中医薬膳師。旬の食材の効能と素材の味を生かしたシンプルな料理に定評がある。新聞、雑誌、カタログ、イベント、書籍など数多くを手掛け、NHK「きょうの料理」「あさイチ」「趣味どきっ!」「ライフ」などの料理番組にも出演。

薬味や出汁で驚くほどの味の変化が楽しめるひつまぶし。ぜひお気に入りの食べ方を試してくださいね。

文=レタスクラブ 監修=齋藤久美子(栄養士)