東京の老舗喫茶4軒 ネルドリップと手動焙煎の世界へ、何杯でも飲みたくなるコーヒーの秘密

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豆の焙煎やコーヒーの抽出、一緒に味わいたいスイーツ……都内に数多くある喫茶店から、こだわりが詰まった味を楽しませてくれる喫茶店を厳選して紹介します。一杯のコーヒーに陶然となる小さな旅は、これからの季節にもぴったりです。

手間を惜しまぬ確かな技術を注ぐ至福の味わい『カフェ ドゥ ワゾー(CAFE DEUX OISEA UX)』@阿佐ヶ谷

喫茶店巡りはコーヒーの魅力に出合う旅のようなものかもしれない。創業41年になるこの店もその奥深き世界を知る旅先のひとつだろう。

2羽の小鳥を意味する「ドゥ ワゾー」。ここは店主の宗さん夫妻が営む陽だまりのような店だ。けれど確かな技を注ぐ1杯を飲めばハッと驚かされるはず。

まず所作の美しさ。奥様手縫いのネルで丁寧にドリップする姿にはもう見惚れてしまう。生地は厚手で硬め、片面起毛。使い込んだものか新しめか、注文ごとに最適なネルを選ぶそう。

年代物のオールドビーンズなど種類は幅広いが、定番ブレンドは実にバランスのいい味。深くクリアな口当たりでほのかに甘い。

フルシティローストブレンド650円、自家製ケーキ600円〜

『カフェ ドゥ ワゾー(CAFE DEUX OISEA UX)』(手前)フルシティローストブレンド 650円 (奥)自家製ケーキ 600円〜 やや苦みがあるフルシティは4種の豆を配合。1杯に使う量は通常より多めの20g

これは「豆はケチらず粗く挽け」という宗さんの信条の表れで、粗挽きは濃さを出しにくいため豆の量を多くして調整するとか。さらに微粉を取り除いて粒を揃える繊細な手間により雑味がなく何杯でも飲める理想の味を実現している。

週4回の焙煎は最も大事にする工程。火加減や煎り止めのタイミングなど「未だに何が正解かわからない」と笑うが、そんな難しさもまた、「コーヒーの面白さ」だそうだ。

『カフェ ドゥ ワゾー(CAFE DEUX OISEA UX)』店主 宗孝男さん

店主:宗孝男さん「何杯でも飲める雑味のない味を目指しています」

『カフェ ドゥ ワゾー(CAFE DEUX OISEA UX)』

[店名]『カフェ ドゥ ワゾー(CAFE DEUX OISEA UX)』

[住所]東京都杉並区阿佐谷北4-6-28

[電話]03-3338-8044

[営業時間]12時〜20時LO

[休日]木

[交通]JR中央線ほか阿佐ヶ谷駅北口から徒歩9分

昔ながらの釜と独自のネルドリップで味を継承&挑戦する『十一房珈琲店』@銀座

店内に掲げる古い看板「カフェベシェ」は昭和53年の創業時の名。20年ほど前に移転した際に冠を変えて現在の店名となった。店主の長谷川さんは学生時代からの常連で、縁あって憧れの店を受け継いだそう。

その見た目から「ブタ釜」と呼ばれる手動式焙煎機を使うのも昔のままだ。数十秒単位で焙煎具合を調整する豆は約20種。質のいい素材を仕入れるのは当然、個々をどう解釈して表現するか、それが味の個性となる訳で、職人の腕でもあるという。

フルシティロースト920円、キャトルキャール(バターパウンドケーキ)550円

『十一房珈琲店』(左)フルシティロースト 920円 (右)キャトルキャール(バターパウンドケーキ) 550円 ブレンドは深煎りから浅煎りまで5種。中深煎りのフルシティローストは店のスタンダード

ネルでじっくり抽出するコーヒーは粉の膨らみなど状態を見ながら1滴1滴落とす“点滴淹れ”で1杯に4〜5分かける。これがこっくりしたとろみ&旨みを生む。曰く “まろい”味。

そんなクラシカルなメニューを守りつつ期間限定で希少な豆も扱うのは長谷川さんが始めた取り組み。継承と挑戦、名店の矜持を味わいたい。

『十一房珈琲店』店主 長谷川能一さん

店主:長谷川能一さん「全体的にやや深煎りにウェイトを置いています」

『十一房珈琲店』入口にある手動式焙煎機。店はコロナ禍を機に3人以上の入店不可、「声のトーンを落としてのご利用を」と声がけしている

[店名]『十一房珈琲店』

[住所]東京都中央区銀座2-2-19

[電話]03-3564-3176

[営業時間]11時〜21時半

[休日]無休(年末年始は休み)

[交通]地下鉄有楽町線銀座一丁目駅4番出口からすぐ

装飾も素敵!喧騒を忘れさせる美味なるオアシス『カフェ トゥジュール デビュテ』@五反田

地下へと続く階段のアプローチからしてもう漂う空気が違う。扉を開けた瞬間に俗世間からトリップ。小部屋に分かれた内装、暖炉風の装飾……フランスの田舎の家をイメージした空間は店主の秋山和広さんの夢を形にしたまさに “家”。刻々と時を重ね、今年40周年を迎える。

エイジングのコーヒー豆を使うブレンドは芳醇な旨みが印象的だ。聞けばドリップの2湯目で味が決まるそうで、長年の経験と勘でその蒸らしや抽出時間を見極めるとか。

レアチーズ600円、ブレンド700円

『カフェ トゥジュール デビュテ』(左)レアチーズ 600円 (右)ブレンド 700円 ブラジルやコロンビアなど7種を配合したブレンド。豆は老舗「コクテール堂」のエイジングコーヒー。自家製レアチーズのとろける甘み&酸味とも最高の相性だ。内装はお客同士の目線が合わないよう配慮されている

心射貫かれたのが「オレグラッセ」と「ブランエノワール」。前者は濃厚ミルクに水出しコーヒー、後者はシェーカーで冷やしたブレンドにブランデーと生クリームの層。まるで上質なカクテルのような美味にため息が止まらない。

この素敵過ぎる空間と数々の味を愛したのは高倉健さん。小窓のあるカウンター端が定席だったそうだ。

『カフェ トゥジュール デビュテ』

[店名]『カフェ トゥジュール デビュテ』

[住所]東京都品川区東五反田5-27-12扇寿ビル地下1階

[電話]03-3449-5491

[営業時間]12時〜20時、土は〜17時

[休日]日・祝、第1・3・5土

[交通]JR山手線ほか五反田駅東口から徒歩1分

琥珀色の空間にモダンな時が流れる路地裏の老舗喫茶『コーヒーの店 ドゥー』@目黒

「いい店はお客さんが作ってくれるもの」。マスターの嵯峨雅芳さんの言葉がじぃんと心に沁みる。

創業して54年。まるでコーヒーのようにエイジングされた店は壁の琥珀色からカウンターのバラ1輪まで常連客との物語が息づいている。

愛される店には愛される味がある。そのひとつがサイフォンで淹れるブレンドだろう。ネルドリップとはまた違う、淹れたて熱々のフレッシュな味は香り豊かで雑味のないおいしさ。クオリティを高めるため豆の量は通常の倍近く使うそう。

ドゥーブレンド630円、クロックムッシュ630円

コーヒーの店 ドゥー』(手前)ドゥーブレンド 630円 (奥)クロックムッシュ 630円 ブレンドは中煎りの4種の豆を配合。クロックムッシュはバターをたっぷり使う。香ばしい焼き目からハムとチーズがとろり

もうひとつが名物クロックムッシュ。俳優だった先代がパリ滞在時に現地の友人から教わったレシピで、上質なゴーダチーズと無添加ハム、バターたっぷりのシンプルな構成はフランス人の常連が「これぞ故郷の母の味」と絶賛するほど。

ここは目黒にある70年代のパリ、そんなモダンな空気が流れている。

コーヒーの店 ドゥー』

[店名]『コーヒーの店 ドゥー』

[住所]東京都品川区上大崎2-15-14高木ビル1階

[電話]03-3444-6609

[営業時間]13時〜19時

[休日]金・土・日・祝

[交通]JR山手線ほか目黒駅東口から徒歩2分

写真/松田麻樹(カフェ ドゥ ワゾー、十一房珈琲店)、浅沼ノア(カフェ トゥジュール デビュテ)、西崎進也(ドゥー)、取材/肥田木奈々

※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。

※画像ギャラリーでは、老舗喫茶店の絶品コーヒー&フードの画像をご覧いただけます

※月刊情報誌『おとなの週末』2026年4月号発売時点の情報です。

【画像】手間を惜しまずに淹れられる名喫茶のコーヒー 美しい琥珀色にうっとり(23枚)