「ツナ缶もはや贅沢品…」食品の消費税0%は家計の救世主か、焼け石に水か「外食なんてずっとしてない」の声も
止まらない物価の上昇。「少し前まで、スーパーでカゴいっぱいに買い物をしても3500円ほどだったのに、今は軽く5000円超えてしまう…」と嘆いている人も多いのではないでしょうか。そんな生活の苦しさをやわらげる対策として、食品の消費税を一時的に0%にする案が検討されています。
【図表】「まさかの結果」生活者の減税への意見と外食に関する驚きの実態
そもそも「食品が消費税0%になる」ってどういうこと?
まずは、2026年4月時点で食品の消費税率について、どのように話し合われているのかを整理してみましょう。
現在、食品には軽減税率8%の消費税がかかっています(外食と酒類は10%)。しかし、物価上昇に苦しむ生活者のために「2年限定で8%を0%に」という案が2025年秋の自民・維新連立合意で浮上。2026年1月には高市首相が「私自身の悲願」と発言したこともあり、この秋にも法案が成立し、2027年の春には実施されるのではないかと見られていました。
なぜ2年限定かというと、実はその先に予定している「給付付き税額控除」(中~低所得層向けに所得税の負担額が軽くなり、控除額が大きい場合は差額を現金で受け取れる制度)が実施されるまでに少し時間がかかるため、それまでの「つなぎ」を担う目的だったからです。
しかし4月現在、実現は難しいのではないか、または遅れるのではないか…といった懸念も出てきています。レジシステムの改修に時間がかかることや年間およそ5兆円の財源の見通しが完全に立っていないことなどが理由とされ、小売業者の7割が「消費税減額ぶんだけ値下げするのは難しい」と回答している調査結果も出ています。(※1)
(※1)日本経済新聞4月7日朝刊
そんな先行き不透明な状況のなかで、生活者はこの「食品消費税0%」案をどう受け止めているのでしょうか。そこで、20-50代の2人以上で暮らす世帯の男女にアンケートを実施。費税0%をどう受け止めているか、消費税10%据え置きの外食は頻度が減りそうかなど、リアルな期待と不安の声を聞きました。
消費税0%「賛成」は意外にも半数どまり。その理由は?
「食品の消費税0%に対し現時点でのあなたの意見に近いものは?」という質問から見えてきたのは「全員が歓迎ではない」という意外な結果でした。
「ぜひ0%にしてほしい」と答えた人がやはりもっとも多く、51%と半数を占めます。一方で「レジ改修などに無駄な費用がかかりそうなので反対」や「それより『給付付き税額控除』をもっと早く実施してほしい」がそれぞれ19%と18%、「どちらとも言えない」10%を含めると同じく約半数となり、手放しで喜ぶのではなく「減税は助かるけど、本当に効果のある施策を進めてほしい」という慎重な姿勢がうかがえます。
とはいえ、食材の買い物は毎日のことだけに、消費税が0%になれば1か月、1年でかなりの金額が節約できます。「実際に食品の消費税率が0%になったら、あなたの生活はどうなりそうですか?」という質問には、以下のようなポジティブな変化を思い浮かべる声が多数を占めました。
もっとも多かったのは「月々の食費が減り、家計にゆとりができそう」で約半数(53%)。つづいて「今より質の良い食品が買えるようになりそう」「子どもの教育費や趣味など、他の支出にお金を回せそう」など、明るい生活をイメージする人が多く見られました。
一方で「引き替えに社会保障が削られ、医療や子育てのサービスが受けられなくなりそう」という懸念を選んだ人も約1割いて、無条件に喜んでいいものか、不安な心情も見られます。
夫と4歳・1歳のお子さんと暮らす女性(30代・専業主婦・神奈川)は「お米や卵など値上がりしたままで下がる気配もなく、食費を月の予算内でおさめるのに四苦八苦。鶏むね肉やもやしなど、同じ食材ばかりになってしまいがちです。消費税がゼロならそのぶんで食材やメニューの幅が広がり、料理する楽しみや食べる楽しみを取り戻せそう」と期待をのぞかせます。
また夫と16歳・10歳・4歳のお子さんの5人家族の女性(50代・会社員・和歌山県)は、「子どもの教育費もこれからかかってくるので、食費はかなり削っていて、余計なものはいっさい買いません。ツナ缶もわが家では贅沢品ですね」とやりくりの厳しさを語ります。
外食は今までどおり?と思いきや、より深刻な事態に
ところで、今回消費税0%の対象となるのは税率8%の食料品。たとえばスーパーで肉や野菜、お弁当を買う、ファーストフードでテイクアウトするといった場合であり、レストラン等の店内で食事する「外食」の税率は10%で据え置きとなります。
そこで「食料品の消費税が0%になったら、疲れた日でも外食ではなくテイクアウトや自炊にしますか?」とたずねたところ、やはり自炊やテイクアウトを選ぶ傾向がはっきりと見られました。

「子どもたちも小学生になりよく食べるようになってきました。最近はテイクアウトでも美味しいものが増えたので、迷わずレストランよりテイクアウトを選びます」(40代女性・専業主婦・愛知県)
「食品の消費税が0%のうちに自炊をがんばって、少しでも貯金を増やしておきたいです」(30代男性・自営業・愛媛県)
さらに、「今後、外食の頻度は減りそうですか?」と問いかけたところ、「外食の頻度は変わらない」という人の割合が57%と非常に高かったのが印象的でした。
その理由は「なんだ、みんなけっこう余裕あるんだね」ではなく、実はこんな声が主流だったのです。
「基本的な収入が少なく無駄遣いはできない。以前からずっと自炊しているので、外食の消費税が高くてもそもそも関係ありません」(50代男性・無職・鹿児島県)
「以前から外食はいっさいしていません。料理は得意ではないので、だいたい冷凍食品やレトルトです」(40代女性・自営業・神奈川県)
つまり「変わらない」と答えた人の多くは、消費税10%でも気にしない富裕層ではなく、「すでに外食できない」人たちだったのです。物価高の影響で、特別な日でも外食を選ばない・選べないという現実が浮かび上がってきました。今後、消費税率0%と10%で差が広がれば、この傾向にさらに拍車がかかるのかもしれません。
2年後はどうなる?みんなの本音と今後に望むこと
「2年後、また消費税率が8%に戻った時の家計や精神的な影響はどうですか?」という質問には、6割の人が「再開後はそれでやっていくしかないが、生活水準は下がりそう」と回答しました。
また「やっていけないのではと非常に不安」という回答も約10%あり、全体で7割の人がネガティブな未来を想像しています。
「2年後に8%に戻ったとき、すごく損した気分になりそうなので、無理に0%にしなくていい」「2年といわずずっと0%にしてほしい」という声が多かったことからも、支払い額が大幅に上がることに不安や抵抗を感じている人は多そうです。
最後に、食品はもちろんさまざまなものが値上がりし続ける今、「ここが苦しい」「こんな世の中になってくれたら」と寄せられた声を紹介します。
「母と2人暮らしです。今まで近くのスーパーで母が買い物をしてくれていたけど、最近は高すぎて買えず…私が自転車で遠くのスーパーまで往復するようになり、時間も体力も削られています」(30代女性・フリーランス・大阪府)
「食品だけではなく、ガソリン・電気・車など軒並み値上がりしている。大型家電や家の修繕など突発的な高額の出費には補助金があるといいと思う」(40代男性・会社員・埼玉県)
「お米が高いのでパスタやうどんなど麺類を増やしてしのいでいます。目先の消費税を上げたり下げたりするよりも、物価が安定し、日々の食品が安心して買えるよう給与も上がっていってほしい」(50代女性・専業主婦・東京都)
食品の消費税率0%。「ぜひやってほしい」「他の施策に予算を使ってほしい」…あなたはどう考えますか?
※文中の登場人物はすべて仮名です
※アンケート実施時期:2026年4月
※アンケート実施人数:68名(20-50代男女)

