森保一監督は、次のブラジル戦で上田をスタメン起用するプランなのか。結局、上田が投入されたのは89分。終了間際に訪れたワンチャンスをよく決めた。本当に勝負にこだわるならば、66分の最初の交代カードでは、初招集の斉藤光毅、鎌田大地ではなく、上田であるべきはずだった。
 
 上田と小川の比較のみならず、繰り返しになるが、日本はコアメンバーとそれ以外の選手のレベル差が埋まっていない。

 田中碧のアピールをしたい気持ちは分かるが、ボランチなのに中央に構えず、動きすぎだ。戦術面の問題なのか、サイドバックの位置まで下がって受けていたが、あまり効果的ではない。最終ラインでボールを持たれても怖くないし、ロングパスが上手いわけでもない。

 斉藤に関しては、厳しい言い方だが、プレーもフィジカルもまだ代表レベルに達していない。なぜ森保監督はこの日、彼をデビューさせたのか。かえって自信をなくす結果となったのではないか。

 中村敬斗はコンディションが完璧ではない様子で、伊東のスピードも相手に対応されつつあるし、相馬勇紀、町野、藤田譲瑠チマも良さを出せなかった。瀬古はパスミスが多く、失点に関与していた。

 コアメンバー以外で、パラグアイ戦で合格点を与えられる選手は佐野海舟、鈴木淳之介の2人ぐらいだ。

 板倉滉、冨安健洋、伊藤洋輝、町田浩樹、高井幸大。センターバック陣に怪我人、コンディション不良の選手が相次いでいるなか、三笘薫、遠藤航も離脱している。ワールドカップに向けて徐々にチーム力を上げていかないといけないのに、チームとしての戦力がダウンしているのが問題だ。

 3戦未勝利という悪い流れを断ち切りたいが、次の相手はブラジル。現時点で日本はどこまで戦えるのか。せっかくの機会なのに、ベストメンバーで戦えないのは痛恨だ。

 パラグアイ戦の同日に、韓国対ブラジルが行なわれ、ブラジルが5−0で圧勝した。セレソンの顔ぶれを見ると、ヴィニシウス、エステバン、マテウス・クーニャ、ロドリゴの最強カルテットをはじめ、ベストに近いメンバーがスタメンでピッチに立った。

 中3日の14日に迎える日本戦はターンオーバーで戦う可能性が高い。「ワールドカップ優勝」を目ざしているチームが、パラグアイにかろうじて引き分け、さらにBチームのブラジルにコテンパンにやられたら...南米だったら指揮官が解任されても不思議ではない。
 
 私が監督なら、ブラジル戦は以下のメンバーで戦う。

1トップ:上田
2シャドー:南野、久保
ウイングバック:前田、堂安
ダブルボランチ:鎌田、佐野
3バック:鈴木淳、谷口、渡辺
GK:鈴木彩

 ブラジルにボールを持たれるだろうから、徹底して守備を固める。ワイドの前田大然、堂安はやや引き気味にポジションを取る。5バック気味で戦い、無失点で乗り切れるかどうか。攻撃では、ショートカウンターで鎌田が絡む形でワンチャンスをモノにできるか。

 ワールドカップ本番では、守備が鍵を握る。韓国は5失点で敗れた。日本はスコアレスドローに持ち込めれば御の字だ。とにかく失点ゼロを目ざす。ワールドカップでブラジルに引き分ければ、グループステージを突破できる――そんなシチュエーションがあるかもしれないのだから。

 ブラジルと戦えるなんて滅多にないことだ。無駄にしないよう、アグレッシブに戦ってほしい。
 
 なお、本田氏のパラグアイ戦での採点は以下のとおり。

▼先発
GK1鈴木彩艶6.0
DF4渡辺 剛6.0
DF22瀬古歩夢5.5
DF25鈴木淳之介6.5
MF14伊東純也6.0
MF21佐野海舟6.5
MF8南野拓実6.0(▼66分)
MF10堂安 律6.0(▼78分)
MF13中村敬斗5.5(▼66分)
MF17田中 碧5.0(▼78分)
FW19小川航基5.5(▼89分)

▼途中出場
MF24斉藤光毅5.0(△66分)
MF15鎌田大地6.0(△66分)
FW18町野修斗5.5(△78分)
MF7相馬勇紀5.5(△78分)
MF6藤田譲瑠チマ5.5(△89分)
FW18上田綺世6.5(△89分)

監督:森保一5.5

※採点は10点満点で「6」を及第点とし、「0.5」刻みで評価。
 
【著者プロフィール】
本田泰人(ほんだ・やすと)/1969年6月25日生まれ、福岡県出身。帝京高―本田技研―鹿島。日本代表29試合・1得点。J1通算328試合・4得点。現役時代は鹿島のキャプテンを務め、強烈なリーダーシップとハードなプレースタイルで“常勝軍団”の礎を築く。2000年の三冠など多くのタイトル獲得に貢献した。2006年の引退後は、解説者や指導者として幅広く活動中。スポーツ振興団体『FOOT FIELD JAPAN』代表。

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