《「教室がのぞかれる…」と懸念》桜蔭学園がタワマン建設訴訟で敗訴…名門校のプライバシー危機に桜蔭学園OGと地元住民の意外なホンネ
「教室は、生徒が安心して過ごせる場所であってほしい」──そう語るのは私立中学校受験の最難関で、"女子御三家"として知られる桜蔭学園のOG(20代)だ。都市部の再開発が進むなか、この名門女子校の隣にもタワーマンションの建設計画が立ち上がった。学園側は計画を許可しないよう都に求め提訴したが、5月18日、東京地裁は訴えを却下した。
【写真を見る】現在の桜蔭学園とマンションの様子、ここから地上20階建ての高層マンションが建築される予定だ
騒動の経緯を全国紙社会部記者が解説する。
「もともと校舎の隣には、1979年に竣工し、宝生能楽堂を併設する地上8階建てのマンション『宝生ハイツ』があるのですが、建物が老朽化。『宝生ハイツ』のマンション管理組合側は2022年、地上20階建て(高さ約76メートル)という高層マンションを建設する計画の許可を都に申請していました」(全国紙社会部記者)
位置関係をおさらいすると、桜蔭学園は東京・水道橋駅のすぐ近くの急な坂の上にある。坂の途中、坂道に沿うように建っているのが『宝生ハイツ』。現在は8階建てで、さらに坂の上部に学校があるため、これまでマンションが学校の日当たりを遮ることはなく、またマンションからの"視界"も問題になることはなかった。
「それが、マンションの高さが学校の高さを上回り、完全に見下ろすとなると"話は変わってくる"というのが学園側の主張であり、今回の問題の争点です」(前同)
学園側は、「季節を問わない日照の阻害や、のぞき見、盗撮などの懸念、プライバシーの侵害も甚だ不安」であるとして、設計を許可しないよう差し止めを求め、判決の行方に注目が集まっていた。
「今回の判決では『差し止めが認められるのは、後に救済を受けることが容易にできない場合に限られる』という見解が示されました。都が建設を許可した後も、原告側は取り消し訴訟を起こすなど『容易に救済を受けることができる』と指摘。生徒の身体的・精神的損害は新しい建築物が完成した後に生じ得るものであり、現時点では『重大な損害が生じる恐れがあるとは認められない』と判断されました」(前同)
桜蔭学園によれば、マンション管理組合の母体である「宝生会」との間で、宝生ハイツの『高さ(位置及び容積を含む)』を『超えては、将来とも一切構築物を設置せず』という覚書を交わしていたのだという。いくら違法ではないといえ、学園や保護者側にしてみれば、"この環境なら学園生活を謳歌できる"と安心していたら、いきなり校舎の至近距離にタワマンが建つ可能性が降って湧いたという事態。OGや地区住民は、一体どう思っているのか。
OGの嘆きと"もうひとつの懸念"
まず、桜蔭学園卒業生(40代)の話。
「文京区の水道橋至近の桜蔭の校舎には、敷地内にグラウンドはないんです。体育の授業や運動系の部活は基本的に複数ある屋内の体育館を使いますし、プールも屋内です。
テニスなどの一部活動で、屋外や屋上を利用することもありますが、体育大会は別場所にあるグラウンドで行います。なので、生徒の姿が常に人目に触れるということはないと思いますが、たしかに至近距離にマンションの窓がある状態になってしまったら、気持ちよくはないですよね」
別の卒業生(20代)は、「教室は、生徒が安心して過ごせる場所であってほしい」という。
「ただでさえ多くの時間を屋内で過ごさざるを得ない学園生活で、教室の中までのぞけるような設計だとしたら、常に緊張感をもって生活することになる。窓や人が通る場所には配慮がされてほしいなと思います」
文京区といえば、都内屈指の文教地区。住民からは、「盗撮」や「のぞき見」以外の懸念を示す声が上がる。文京区在住で、区内の公立小学校に通う子どもを育てる男性(30代)が言う。
「最近、文京区はタワマンの建設ラッシュ。正直なところ、まだ大きなマンション作るの? というのが本音です。『宝生ハイツ』は都営三田線水道橋駅から徒歩1分という駅近で、タワマンともなると億単位の価格になることは必至。誰が買えるのかと思いたくなりますが、中国人富裕層が購入する可能性もあるのかな、と」
この男性がこう話すのには根拠がある。文京区の外国人人口は2022年1月1日時点で9746人、うち中国人は4792人だったところ、2026年1月1日現在は外国人人口1万7094人、うち中国人は9260人とほぼ倍増している。
地元の小学校や塾で、中国出身の子どもたちを見かけることも増えているようだ。文京区教育委員会が公表している「日本語指導が必要な外国籍の児童生徒」の小中学校在籍数は、2022年度の10人から2024年度には167名とこちらも激増した。
「近隣学区のある小学校では、中国籍の子どもがどんどん増えています。教育熱心な中国人たちが、子どもをわざわざ文京区の学校に入れるらしい。合わせて、このあたりの不動産を購入する中国人も多いようです。教育移住の親はもちろん、資産価値があるとして投資用に買うケースも増えているとか。
もちろん中国人に限りませんが、外国籍の方が増えると文化間の摩擦が生じるのでは、と不安になってしまいますね……」
波紋を広げているタワマン建設騒動。文京区ならではの"問題"もあるようだ。
