幹部を引き連れ稲川会館を訪問…六代目山口組・竹内照明若頭が「真っ昼間の横浜」に現れたワケ
「春一番」を思わせる穏やかな陽気に恵まれた2月下旬の神奈川県横浜市。あわただしく行きかうサラリーマンやインバウンドの観光客らでにぎわう新横浜駅構内に、午前11時過ぎ、突然緊迫した空気が流れた。ネクタイ、スーツ姿の屈強な男たちの集団が、新幹線改札口から出てきたのである。先頭を切って歩くのは、六代目山口組のナンバー2である竹内照明若頭(66)だ。その周囲には、神奈川県警の捜査員が警戒にあたっている。駅構内は、異様な緊張感に包まれたのである。
関東有数のターミナル駅・新横浜駅では何が起こっていたのか――。
「竹内若頭が訪問した目的は、横浜市郊外にある稲川会の拠点・稲川会館で行われる三社親睦会に出席するためです。六代目山口組は、関東に本部を置く親戚団体の稲川会、松葉会と、年に3回親睦会を行っています。主催は持ち回りで、今回は稲川会でした。各団体ともナンバー2以下4人の最高幹部組員が出席し、昼食を取りながら文字通り親睦を深めるための会合です」(ヤクザ業界に精通しているジャーナリスト)
会場となる稲川会館前には、神奈川県警や警視庁の他、兵庫、群馬、茨城の各県警の捜査員計約20人が、朝早くから警戒のため待機。会館の巨大な鉄扉が開閉するたび、車の出入りを厳しい目でチェックしていた。
稲川会組員が整列して出迎え
「見えました!」
迎える稲川会組員の声とともに、竹内若頭らを乗せた車列が稲川会館に到着したのは、午前11時半過ぎだ。
会館内に整列した稲川会組員の出迎えの挨拶の中、車の後部座席から降りた竹内若頭は、定例的な会合ということもあってか表情も柔らかく、出迎えの稲川会・貞方留義理事長らと言葉を交わしながら会館内に入っていった。ほぼ同時刻に松葉会の車列も到着。親睦会は、午前11時45分ごろから始まった。
「用意されていた仕出しの弁当を食べながら、いつものように3団体の出席メンバーだけで行われたようです。六代目山口組からは竹内若頭以下山下昇本部長、佐藤光男若頭補佐と杉山志津雄幹部。松葉会からは関孝司理事長ら4人、迎える稲川会も貞方理事長ら4人の最高幹部です。お昼の12時20分過ぎには、会食を終えた竹内若頭ら出席者が会館から出てきました」(現地取材カメラマン)
貞方理事長に付き添われて出てきた竹内若頭は、珍しく笑顔も見せながら言葉を交わして送迎車に乗車。整列した組員の挨拶の中、会館を後にした。松葉会幹部の車列もその後に続き、会合は昼12時半には滞りなく終了した。
若頭として1年が経過する
竹内若頭は今年4月、若頭就任から丸1年を迎える。会合でみせたリラックスした穏やかな表情は、長年取材を続けるFRIDAYデジタルもあまり見かけなかった姿だ。
「1年を通じて若頭としての重責を担うことができた自負があるのではないか」と語るのは、前出のジャーナリストだ。
「『絶対的指揮官』と恐れられた前若頭の郄山清司相談役(78)は、今も組内で強い影響力を持っています。その影響下で、“内”においては執行部の若返りなど改革人事を断行、“外”においては今回のような他団体との外交だけでなく、先日の後藤忠政元後藤組組長の葬儀という突発的な出来事にも、司忍組長の名代として弔問に訪れてその任を果たしています。『竹内若頭体制』の盤石な基盤づくりは、着々と進行しているのです。まだ道半ばとはいえ、1年間にわたり重役を担った経験から、余裕ができてきたのではないでしょうか」
その一方で、「神戸山口組との抗争状態は決して終わったわけではない」という声も界隈では根強い。
「昨年4月の抗争終結宣言は、警察当局に一方的に抗争終結の誓約書を提出したもの。ピリオドを強引に打った形で、抗争相手の神戸山口組など3団体はいまだ解散届を出しておらず、警察も3団体と六代目山口組の特定抗争指定暴力団の指定を解いていません。『トリプル指定』の現状は続いたままなのです。六代目山口組は、今回のような他団体との会合を堂々と続けていくことで、抗争終了を既成事実化させていきたい思惑もあるのではないでしょうか」(同前)
不気味な緊張状態と警察当局の厳しい警戒体制が続く中で、六代目山口組は竹内若頭体制の基盤作りを進めている。業界からは、「その先には近く七代目継承があるのではないか」という声もささやかれている。「波乱の予感」を含みながら、竹内若頭体制は、今年4月、2年目に突入する--。
