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進化を続けたウラカンとV10

ランボルギーニは2022年をもって、内燃機関だけを積む車種の新車発表を終了し、今年からは電動化車両のみを送り出すと公表している。

【画像】ウラカン最終章の4台 フルオ・カプセル/タイムチェイサー/テクニカ/ステラート【じっくり見る】 全78枚

日本では今週鈴鹿サーキットで発表されたオフロード志向のウラカン・ステラートが、最後の非電動ランボルギーニになるはずだ。


ウラカン・シリーズ(写真)もいよいよ最終章。日本ではウラカン・ステラートが今週アンヴェールされた。中国では4月の上海モーターショーで、60周年記念の特別仕様車がお披露目される見込み。    前田惠介

そんな中で行われた2023年のJAIA輸入車試乗会で、ウラカン・エボ・フルオ・カプセルに乗る機会を得た。

フルオ・カプセルは、外観は5タイプの蛍光カラーをメインとした2トーンとし、内装はブラックベースでアクセントカラー/トリムの選択肢を用意したもので、すでに完売となっている。

中身は従来のウラカン・エボと共通。つまり2014年にガヤルドの後継車として発表されたウラカンをベースに、2019年に登場した進化型だ。ボディはクーペとスパイダー、駆動方式はRWDとAWDがあり、試乗車はクーペAWDだった。

コクピット背後に縦置きされるのは、いまや希少となった大排気量自然吸気ユニット。5.2L V型10気筒は最高出力640ps/8000rpm、最大トルク61.2kg-m/6500rpmを発生し、7速DCTを介して4輪を駆動する。

640馬力を使い切れ LDVIとは

このユニットはかつてニュルブルクリンク北コースで量産車トップタイムをマークした限定車、ウラカン・ペルフォルマンテと同じものだ。

それ以上にウラカン・エボのトピックとなるのが、LDVI(Lamborghini Dinamica Veicolo Integrata)の導入だろう。


自然吸気V10を積んだランボの“純エンジン車”を、新車で買える日数も残り少ない。テスト車両のウラカン・エボ・フルオ・カプセルは、すでに完売している。    前田惠介

簡単に言ってしまえば電脳化であるが、その中身は後輪操舵や4輪トルクベクタリングシステムなどを統合制御するうえに、ドライバーの気持ちを先読みして、それに見合った制御を入れるという先進的な内容だ。

全長4520mm、全幅1933mm、全高1165mmというサイズを持つボディもエボへの進化に伴い、エアロダイナミクス向上を施している。とはいえひさしぶりにウラカンに触れる人間にとっての第一印象は、まぎれもないランボルギーニというものだ。

それでいてマットブラックのサイドミラーやエアダム、リアスプリッターなどにボディ同色の挿し色を入れた姿は、ランボルギーニとしては落ち着いていて、個人的にはSTOやペルフォルマンテよりずっと受け入れやすい。

フルオ・カプセル 内装をチェック

コクピットはまず、イエローでステッチされたファイティングブルとウラカン・エボのロゴが目立つ。スタート&ストップボタンのカバーともども、フルオ・カプセルのパッケージに含まれているものだ。

インパネやセンターコンソールなどには、オプションで用意されるランボルギーニ独自開発の複合素材、 Forged Compositesが奢られている。


ウラカン・エボ・フルオ・カプセルの内装。創業60周年イベントのために来日したヴィンケルマンCEOは、3月末にアヴェンタドールの後継となるV12の電動モデルが登場すると明言。    前田惠介

ヘキサゴンを多用したディテールとともに、フェラーリともマクラーレンとも異なる、ランボルギーニならではの世界観を、明確に表現していると感じた。

試乗車のシートは標準のコンフォートシートだったので、ヒップポイントはかなり低いものの、クッションはしっかり感じるし、ステアリングを含めて大幅な調節ができるので、理想のドライビングポジションが取れた。

イエローのカバーを開けてスタートスイッチを押すと、背後で轟音とともにV10が目覚める。

まずはトランスミッションをオート、ドライブはもっともおとなしいストラーダモードにして走り出すと、回転を低く抑えたまま、速度だけをスルスル上げていく。

今だけのサウンド どんな感じ?

乗り心地は、太くて扁平なタイヤからの硬質なショックは伝わるものの、この程度のスピードでもサスペンションのストロークは感じられ、角はうまく丸め込んでくれるので、自然吸気V10の響きを耳にしながら、快適に距離を重ねていける。

でもそれはウラカン・エボにとっては副業と呼べる領域。本来の能力を試すべく、高速道路に出たところでマニュアルモードに切り替え、右足に力を込める。


2024年には、現在のウラカンにあたるベビーランボのハイブリッド化モデルが発表されるという。写真はランボルギーニ・ウラカン・エボ・フルオ・カプセル。    前田惠介

V10独特のサウンドを響かせながら、8500rpmから始まるレッドゾーンまで、澱みなくきっちり回りきる。

スペックの数字でもわかるように、回していくにつれパワーとトルクがリニアに上乗せされていく感じで、レスポンスはあらゆる回転域でリニア。ターボエンジンでは味わえない感触を堪能できる。

音はストラーダからスポーツ、コルサと切り替えていくにつれて、少しずつ激しくなっていく。

それはターボエンジンのような、排気音に支配されたものとは違う。機械の音がしっかり感じ取れる。自然吸気にこだわり続けてくれたことに感謝したくなる。

純エンジン・ランボとのお別れ

この日のステージで試す限り、ハンドリングは自然そのもの。

裏ではLDVIがきめ細かい制御をしているのだろうが、四輪操舵をはじめとして、技術を誇示するような効きを示すことは皆無で、高水準の走りを安心安全の中で味わうことができる。


ウラカン・エボ・フルオ・カプセルの取材車両は、センターコンソール、空調のエアアウトレット・サラウンド、インナードアグリップを複合素材のForged Compositesで仕立てている。    前田惠介

一部の人がランボルギーニというブランドから受ける一種の危うさが、まったく感じられない。というか想像以上にクレバーなスーパーカーだった。

だから作り手は操る楽しさを重視する人向けに、後輪操舵を省いたRWDも用意してきたのだろうが、今後電動化を進めていく際に、LDVIのようなテクノロジーがより有効になり、ランボルギーニというブランドのアドバンテージになることは間違いない。

とはいえ今回の試乗であらためて、自然吸気V10の存在感の大きさを再確認したことも事実。

ライバルがターボ化や電動化を進める中、それをキャラクターとしてアピールしてきたランボルギーニが、自分がその立場に立った時どういう表現をするのか。

熟成の域に達したウラカン・エボを堪能して思い浮かんだのは、今後もランボルギーニらしい道を切り拓いていってほしいという願いだった。

ウラカン・エボ スペック

ランボルギーニ・ウラカン・エボ・フルオ・カプセル

全長:4520mm
全幅:1933mm
全高:1165mm
最高速度:325km/h
0-100km/h加速:2.9秒
CO2排出量:332g/km
乾燥重量:1422kg
パワートレイン:5204cc V10
使用燃料:ガソリン
最高出力:640ps/8000rpm
最大トルク:61.2kg-m/6500rpm
ギアボックス:7速DCT


640ps/61.2kg-m(ボア84.5mm×ストローク92.8mm)を発揮する5.2L自然吸気V10ユニット。    前田惠介