恋とは、どうしてこうも難しいのだろうか。

せっかく素敵な出会いをしても、相手に「また会いたい」と思わせない限り、デートにも交際にも発展しない。

仮に、順調に駒を進められても、ある日突然別れを突き付けられることもある。

しかし一見複雑に絡み合った恋愛でも、そこには法則があり、理由がある。

どうしたら、恋のチャンスを次のステップへ持っていけるのか、一緒に学んでいこう。

今回は、都合のいい女認定を受けていたのに、本命彼女へ昇格した女の勝因は何?という問題を出していた。

あなたはこの質問の答えがわかっただろうか?




千明と出会ったのは、友人の送別会だった。綺麗でスタイルの良い彼女に、はじめは興味本位で話しかけたのだ。

「名前は何て言うの?」
「ち、千明です。あの、お名前は?」
「哲生だよ」

実際に千明と話してみると、華やかな外見とは裏腹に、意外に謙虚で控えめなタイプだと気がつく。

そんなギャップが好きだったのだが、最初はそこまで本気ではなかったことは否めない。

性格も良いし一緒にいて楽しいが、“付き合いたい”とか“愛してる”などの感情を抱くまでには至っていなかった。

正直に言うと、まだ誰か一人に縛られたくないと思っており、最低なことは分かっているが、曖昧な関係で居られるような子の方がありがたかったというのが本音だ。

しかし彼女と半年くらいそんな関係を続けていくうちに、千明は他の女の子とは違うと強く感じるようになった。

そしていつのまにか、この子を手放したくないと思い始め、僕は彼女と真剣に向き合うことにしたのだ。


都合のいい女だった千明が、どうして本命彼女になれた?


解説1:呼べばいつでも来てくれて、常に男本位の都合でも何も言わずに許してくれる女


千明とは送別会で出会って以来、すぐにデートをする仲になった。

フットワークも軽く、いつも笑顔の千明は一緒にいると楽だったし、何度かデートを重ねるうちに家にも来る関係にもなっていた。

年明け一発目のデートもいつも通りの感じで、この日は『並木橋なかむら』で食事をすることにした。

だが、僕は美味しい料理を目の前にしながら、“あること”が気になりソワソワしていた。

実は、年末の忘年会で出会った女の子から、店に入る前に“今夜何してるの?”と連絡が来ていたからだ。

「わぁ〜これ本当に美味しいね!」

「特上和牛A5 イチボ叩き」を食べながら感動している千明に対し、小さな罪悪感が胸をかすめる。

忘年会の女と何かあったわけではないが、彼女の家はたしか恵比寿だ。鉢合わせという事態だけは何としてでも避けたい。




「哲生、どうしたの?何か顔色悪いけど大丈夫?」

全てを見透かしているかのような千明の言葉に、僕は動揺を隠しきれない。

落ち着け、俺。別に何か悪いことをしている訳でもないし、忘年会で出会った子とはまだ何もない。

仮にあったとしても、そもそも千明は僕の彼女でもないから、怒られる理由はないはずだ。

「ごめんね、せっかく久しぶりに会えたのに。ちょっと仕事が忙しくてさ」
「ううん、それはいいんだけど・・・あまり無理しないようにね」

最低な僕とは正反対の、千明の純粋な優しさに、心が更に痛くなる。

「そう言えば、再来週のご飯、ちょっとリスケでもいい?仕事の接待が入りそうで。本当にごめん!」
「そうなんだ、分かった。仕事なら仕方ないよね」

-あぁ、本当に千明っていい女だなぁ。

彼女の心の広さに救われつつ、いつもの流れで僕は尋ねた。

「この後千明どうする?うち来る?」

そう口では言ったものの、忘年会の女の件も気がかりだったし、今日は一人で帰りたい気分だ。

「哲生も疲れてるみたいだから、今度にしよっか」
「ごめんね。また時間ある時に連絡はするから!」

こういう“察して”くれるところも最高である。

たとえ当日でも僕が“会いたい”と言ったら会いに来てくれる千明。彼女のことは好きだし、いい女であることは百も承知だ。

だがあと一歩何かが及ばず、決定的な答えを出すに至らなかった。ところが、そんな僕の曖昧さにピリオドを打たせてくれたのは、ほかの誰でもない、千明だったのだ。


どうしようもない男の心が動かされたキッカケとは?


解説2:突き放されてから初めてわかる。失ってみて、彼女の大切さに気がついたから


それは、ある日突然やってきた。

「千明、今夜は何してるの〜?」

銀座で飲んだ帰りに不意に千明に会いたくなり、いつものように電話をしてみた。

いつもだったら“また飲んでたの〜?”と優しい千明だが、今日は今までに聞いたことのないような冷たい声で、一瞬耳を疑う。

「今夜は家にいるって言ったでしょ?覚えてないの?」
「そうだった!そしたら、今から家行ってもいい?」

返事はYESに決まっている。だって、毎回こういう流れだったから。しかし、彼女の返事は想像すらしていないものだった。

「ごめん、今日は来ないで。」

この時に、僕はハッと我に返った。

千明はいつも優しくて、大海原のように広い心で何でも受け入れてくれていた。それなのに、僕はその優しさに甘えて完全につけあがり、調子に乗っていた。

だがこうして初めて突き放され、ようやく気がついたのだ。

彼女を失いたくない、と。

皮肉なものだが、男はバカだから、失ってからその人の大切さに気がつくことが多い。今目の前にあることが当たり前過ぎて、その価値を忘れてしまうのだ。




-哲生:体調大丈夫?来週、どこかで会えないかな?


もし仮に、千明が僕を突き放すことなく、永遠に都合の良い関係が続いていたならば、僕はこういう結論には至らなかったかもしれない。

「あのさ、俺今まで、千明のこと都合のいい女だと思ってた・・・。ごめん・・・」

次に会った時、僕は素直に自分の気持ちを吐露した。

千明はいつでも会いに来てくれるし、ワガママも聞いてくれる。多少扱いが雑でも僕のことをずっと好きでいるという、高慢な気持ちがあった。

だが今は、本当に失礼なことをしていたと思うし、今までの自分を悔いている。

だけど、そんな僕に、千明はずっとまっすぐな愛情を注いでくれていたのだ。

「これからは違う。他に女の子とかいないから、安心して。千明だけしか見てないから」

一度“セカンド”になった女性が、その立場を覆すのは不可能だと思う人もいるだろう。

だけど、“都合のいい女”はある意味、相当のポテンシャルを秘めている。

結局、男は純粋でピュアな女性に弱いから。

つけあがっていた僕に対して小言を一切言わず、暖かく見守って待っていてくれた千明。気がつくと、ただの“都合のいい女”だったはずの彼女が、僕にとっては最高に“いい女”に見えるようになっていた。

最終的に男は、千明のように、自分のことを信じてくれて、ずっと好きだと言って支えてくれるような女性が好きなのだ。

そして、そういう女性には頭が上がらず、結局一生離れられない。

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