《血の海となったホテル喫茶室から30年》ドトール、スタバも現場に…元極道の妻が語る「銃撃事件」と襲撃場所のリアル 「小学校がある普通の住宅街も」
広域系三次団体組長だったオットが獄死。著書『極姐2.0』を持つ、本名・出身地もろもろ非公開の元極道の妻がリアルな暴力団の世界を語る。
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ヤクザやマフィアの抗争での銃撃事件は、今もたまに起こりますが、昔はとにかくハデでした。
まずはホテルの大事件というと、1997年8月に新神戸オリエンタルホテルの喫茶室で五代目山口組・宅見勝若頭が射殺されたことが思い出されます。30年も前のことになってしまいましたね。この時は歯医者さんが流れ弾に当たって亡くなられたこともあって大騒ぎでした。もちろん店内は血の海……。ちなみにホテルは事件後しばらくして運営会社と名前が変わっています。
そして、2004年10月には浅草ビューホテルの喫茶室で、五代目山口組の4人が住吉会の組員に撃たれ、2人が亡くなっています。喫茶室で話し合いをしている時に銃撃されたそうですが、こちらも普通にお客さんがいるホテルですから、大きく報道されました。
なおホテルではないですが、2002年9月には、新宿・歌舞伎町の喫茶店・パリジェンヌで、住吉会組員の1人がチャイニーズマフィアに射殺され、もう1人が重傷を負っています。この事件で8人が逮捕されました。
ビューホテルもパリジェンヌもほぼ20年前のこと。最近はより庶民的なコーヒーチェーンでの事件が目立つようにも感じます。
巻き込まれる側は大迷惑、ドトールやスタバが舞台に
2023年5月にJR町田駅の駅ビルのドトールコーヒーで稲川会の元組員が六代目山口組の組員を射殺しました。報道によると、二人は服役中に知り合っていて、個人的な借金や怨恨が原因のようです。
さらに翌2024年1月には、愛媛・四国中央市のスターバックスで池田組の若頭が元組員を射殺しています。元組員は数年前に六代目山口組に移籍していたそうで、そうした個人的なことが原因といわれています。
シティホテルから舞台を移す理由はわかりませんが、ドトールとスタバでもカタギさんは無事だそうでよかったです。
亡きオットによりますと、「別に『ホテルの喫茶室で殺そう』と思ってるわけではなく、常に機会を狙っていて、『ここならイケそうだと思うから』」だそうですが、巻き込まれる側は大迷惑ですよね。
スーパーから出てきたところを射殺も
ちなみに路上でも射殺事件がけっこうあります。これまた迷惑です。バブル前夜の1985年8月には、北海道・北見市で一和会系の花田組・花田章組長が姐さんとスーパーから出てきたところを稲川会系組員に射殺されています。
あと事件の時は引退していましたが、山口組の元組員で不動産会社を経営していた生島久次社長が1996年8月に大阪駅前で射殺されています。なんで駅前を狙いますかねえ。
路上の事件で個人的に印象深かったのは、2022年7月に秋葉原で起こった山口組傘下の沖田組・沖田健司組長(稼業名)の事件です。こちらは射殺ではなくて刺殺ですが、その場で逮捕された犯人はなんとカタギさんでした。
カタギの方に刺されるのもすごいですが、何がすごいって、一審判決の時に姐さんが犯人に向かって「覚えてろよ、オマエ!」と怒鳴ったことですね。
実はそんなに多くはない「床屋の襲撃」
床屋さんも「銃撃場所の定番」といわれていますが、実際には数えるほどしかありません。でも映画のシーンでよく使われるし、今もまったくないわけではないので、なんとなく「ヤクザ襲撃=床屋さん」みたいなイメージになった気がします。
要するに、髪を切ったりお髭を剃ってるあいだは無防備だし、「見た目重視」のヤクザの親分は床屋さんに通う頻度が高いので狙いやすい、ということのようです。 映画『ゴッドファーザー』(第1作、1972年)ではマフィアのボスが理髪店で射殺される有名な場面があります。これは実在のマフィアで1957年にマンハッタンで射殺されたアルバート・アナスタシアの事件がモデルだそうです。
日本でも『仁義なき戦い』(第1作、1973年)で射殺される上田透親分は、広島の小原組を率いていた小原馨組長がモデルだそうで、実際に1954年9月に理髪店で射殺されています。
また、1996年7月の山口組直参・中野太郎会長の襲撃事件も知られています。ヒットマンは京都の会津小鉄の組員でしたが、ボディガードに返り討ちにあって射殺されています。この理髪店の窓が防弾ガラスになっていたのはヤクザ界隈では知られていました。当時のヤクザは「いいお客さん」で、お店側も歓迎していた時代でした。
事件後に店主さんが「中野会から莫大な補償金をもらった」とか、周囲でいろいろと噂されて閉店しています。実際にはそんなにもらっていなかったと私はお聞きしていますが、お気の毒でした。
最近では、小学校がある普通の住宅街で…
そして、最近でも2022年10月に岡山市内の理髪店で山口組の組員が池田組の池田孝志組長を襲撃しました。組長は個室にいて無事でしたが、ボディガードがヒットマンをボコって店内は血の海になっています。
ヒットマンはその場で逮捕されましたが、頭の裂傷がかなりひどかったそうです。現場は裏に小学校がある普通の住宅街なので、それはもう騒然となりますよね。
これらの事件は奇跡的にカタギさんは大丈夫でしたが、今思えば場所を選ばずにやらかして周囲の一般人の方々に迷惑をかけ続けてきたことも暴力団排除の機運を高めたのかもしれません。
【プロフィール】 待田芳子(まちだ・よしこ)/本名・出身地もろもろ非公開の元極道の妻。広域系三次団体組長だったオットが獄死。その後は普通のオバサンとして生きようと思ったのに、暴力団排除がひどすぎで声を上げずにいられなくなり、いろいろ発信している。著書に『極姐2.0』(徳間書店・2018年)がある。

