今国会初の実質的討議が行われた衆院憲法審査会(4月9日午前、国会で)=米山要撮影

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[論点 憲法改正]<中>

 「法律の範囲内でできることと、できないことがある」

 3月19日の日米首脳会談

 高市首相はトランプ米大統領にこう伝え、ホルムズ海峡への自衛隊の艦船派遣には法律上の制約があることに理解を求めた。

 その制約の根本にあるのは、戦争放棄や戦力不保持を定めた憲法9条だ。首相は同30日の衆院予算委員会で、トランプ氏に説明した制約に「憲法も含まれる」と語った。

 米国とイランが戦闘を続けている中で、ホルムズ海峡に艦船を派遣し、イランから攻撃を受けた場合、交戦権の否認を定めた9条2項に抵触する可能性が高い。政府・自民党内では「戦闘継続中の派遣は困難だ」との意見が大勢を占める。

 9条の存在は戦後、自衛隊の海外派遣の高い壁となってきた。2016年施行の安全保障関連法は、日本の平和と安全に重要な影響を与える「重要影響事態」などと認定すれば、自衛隊が海外で活動できる道を開いたが、今回のようなケースでは難しい。

 こうした現状に対し、日本維新の会馬場伸幸・前代表は4月9日の衆院憲法審査会で「自衛隊を名実ともに軍に位置づけ、海外での活動に憂いなく道を開く9条改正議論に取り組むべきだ」と強調した。

 維新は9条改正について、2項を削除した上で「国防軍」を明記すべきだと主張する。戦力不保持と交戦権の否認の規定を削ることで、自衛隊は軍隊か否かという「9条論争」を収束させられるとの考えからだ。

 一方、自民は18年、「9条の2」を新設して「首相を最高の指揮監督者とする自衛隊を保持する」と明記する案を提案している。野党時代の12年に作成した改憲草案では2項を削除し、国防軍の保持を盛り込んだが、当時の連立パートナーだった公明党に配慮し、2項を維持する形で軟着陸させた。自民中堅は「9条1項、2項を維持し、必要な自衛の措置を担う等身大の自衛隊を明記する枠組みを前提とすべきだ」と訴える。

 9条改正を巡っては、与党でも意見の隔たりが大きい。4月17日の与党憲法改正条文起草協議会では、自民、維新両党の見解を整理した資料が配布され、維新が主張する9条2項の削除について、自民側が「慎重に議論すべき」だと注文を付ける記述があった。

 野党では、国民民主、参政両党が9条改正に賛成するが、中道改革連合は見解が定まっていない。公明は現行の9条維持を主張している。

 自民は長年、9条改正を改憲の主軸と位置づけてきたが、野党の反発も根強く、衆参憲法審でも主な議題とはなっていない。自民ベテランはこう指摘する。

 「9条は時間がかかっても、いずれ改正しなければならない。しっかりと議論を進めていきたい」