ベトナム・ハノイに到着し歓迎を受ける高市首相(1日午後)=川崎公太撮影

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 【ハノイ=黒木健太朗】高市首相が2日に行うベトナムのレ・ミン・フン首相との首脳会談で、医療関連など重要物資の日本への安定供給に向け、現地製油所の支援策で合意する見通しとなった。

 高市首相が表明した総額約100億ドル(約1・5兆円)のエネルギー調達を巡る金融支援枠組み「パワーアジア」の第1号案件となる。

 高市首相は1日、政府専用機で羽田空港をたち、首脳会談に臨むハノイに到着した。出発に先立ち、首相公邸で記者団に「中東情勢を踏まえたアジアでのエネルギー安定供給や重要鉱物などを含むサプライチェーン(供給網)強靱(きょうじん)化について協力を確認する」と語った。

 日本政府関係者によると、支援策では、ベトナム国営石油が運営する「ニソン製油所」のフル稼働に向け、超大型タンカーの積載量に相当する原油200万バレルを調達できるよう、日本政府が100%出資する日本貿易保険(NEXI)が輸出保険を提供する。保険は売り手が代金を回収できない場合などに補償するもので、原油高騰で課題となっていた製油所の信用力を高める対策だ。

 同製油所に出資している石油元売り・出光興産が協力し、取引してきたクウェート以外の原油生産国からの代替調達も進めてもらう。ホルムズ海峡の事実上の封鎖でクウェートからの調達が困難になったためだ。

 同製油所で精製される軽油やガソリンなどの石油製品は、日本に供給される人工透析用のチューブなどの現地生産に欠かせない。周辺の工業団地にある日系メーカーの工場操業にも必要だ。製油所への支援を通じ、日本に関わる物資の供給網の安定化を図る。

 日越首脳会談では、対中国を念頭に人工知能(AI)や半導体など経済安全保障分野の協力を「新たな優先分野」と位置付け、連携を加速させることで一致する見通しだ。