石井琢朗・巨人二軍監督「今年はお前と心中だぞ」…オーダー表の4番にドラ6・藤井健翔の名を書き続ける理由
[Gファームリポート2026]
ファーム公式戦開幕から1か月あまり。
今季新たに二軍を率いる石井琢朗監督は、オーダー表の4番に、ドラフト6位ルーキー藤井健翔(埼玉・浦和学院高)の名前を書き続けている。
「スタメンで行く時は、よっぽどのことがない限り4番は外さない。今年はお前と心中だぞ」。開幕前、18歳の内野手にきっぱりと伝えた。1メートル81、96キロの恵まれた体格と、遠くに飛ばせる才能を「将来の一軍の4番候補」と見込んだだけではない。毎日の特守、特打に耐える体力、エラーしても声を張り上げる気概。加えて、キャンプ中、背中に送球が直撃して病院に行く際にも「手術する以外はケガじゃないんで」と言ってのける根性も買った。
藤井は開幕戦で2安打、2打点と好発進したものの、その後は壁にぶつかり、打率は1割台。打線は分断され、球場ではため息が漏れる。それでも石井監督は「ジャイアンツの4番とはそういうもの。自覚と責任を養う機会でもあり、甘やかして別の子に(4番を)打たせたら元も子もない」と、迷わず起用し続ける。
自身は現役時代、大洋(現DeNA)にドラフト外で入団し、投手から野手に転向。簡単な挑戦ではなかったが、ファームで地道な鍛錬を重ね、通算2432安打の名選手になった。「僕は誰よりも失敗してきた人間。でも、その失敗から学び、覚えるものがあると伝えたい」。自らの経験を踏まえ、発展途上の若者たちを辛抱強く導くと誓う。
「たたき上げ」の指揮官がファームの選手に求めるのは、タフな心身だ。厳しい練習と試合を繰り返す日々の中、ケガをすることなくグラウンドに立ち続け、前向きにやり抜く力があるかどうか。一つのミスも許されない重圧にさらされる一軍で活躍するために必要な心構えで、藤井も「プレッシャーに負けているようじゃ一軍で通用しない」と、必死に歯を食いしばる。
「次世代のジャイアンツを担う選手を育てるのが、自分の使命」と石井監督。何度失敗してもはい上がるたくましさを備えたスター候補を、一人でも多く一軍に送り込む。(井上敬雄)
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変革期を迎えている巨人にとって、「育成」は重要なテーマ。一軍を目指して奮闘する選手の姿や、その指導の現場を紹介する。
