米国との直接協議は「タブー」のイラン、極めて異例の対面交渉で握手…夕食会を挟んで夜通し続いた後に突然幕切れ
【イスラマバード=溝田拓士、ワシントン=橋本潤也】米国とイランが戦闘終結に向けて夜を徹して臨んだ「イスラマバード会談」は、仲介国パキスタンの期待とは裏腹に不調に終わった。
長時間に及んだ交渉の過程では妥結の可能性をうかがわせる情報も流れたが、突然の幕切れとなった。
厳戒態勢
会場はパキスタン政府が借り切った首都イスラマバードの高級ホテル。周辺は交通規制され、厳重な警戒態勢が敷かれた。交渉は非公開で、別の建物に設けられた記者室には各国の報道関係者が多数集まった。
米国やパキスタンのメディアによると、協議は11日午後、パキスタン政府を介した非対面の形式で始まった。夕方になって「両者の代表らが直接同じテーブルについた」(パキスタン国営テレビ)という。
イランでは米国との直接協議は「タブー」とされ、過去の核協議なども第三国がメッセージを往来させる形式で行われてきた。対面交渉は極めて異例となる。米紙ニューヨーク・タイムズは、バンス米副大統領とイランのモハンマドバゲル・ガリバフ国会議長が「落ち着いた雰囲気の中で握手した」と報じた。
分科会で議論
協議はパキスタン政府主催の夕食会を挟んで夜通し続いた。

イラン国営テレビなどによると、イランは総勢約70人の代表団を送り込んだ。安全保障や政治、経済などの実務担当者がテーマごとの分科会に参加し、休憩を入れながら米側と専門的な議論を交わしたという。協議は総論から各論に移り、12日未明にはイランが、実務者同士による文書の交換を行ったと公表した。
意見の対立は消えず、パキスタンの提案で米イラン双方が協議の2日目入りを発表した。米側が交渉の打ち切りを表明したのは、その後だった。
足早に帰国
バンス氏は12日、記者団の前に現れ、「21時間の協議で多岐にわたる実質的な議論を交わした。それが良いニュースだ。悪いニュースは合意に至らなかったことだ」と切り出した。
協議の最中も、トランプ米大統領には「何度話したかわからない」ほど逐一報告していたという。「我々は柔軟に対応し譲歩した」と述べ、イラン側への不満をあらわにした。記者からの質問を3回だけ受け、足早に帰国の途に就いた。
ガリバフ氏は協議後、米国を「信頼していない」とSNSに投稿しつつも、協議再開は米国次第との認識も示した。
