ドタキャン・備品持ち帰り・報復レビュー、“やったもん勝ち”民泊ゲストの悪質トラブル…民泊運営で「泣き寝入り」しない防衛策

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民泊経営は、宿泊客がマナーとルールを守り使用することを前提にしています。そのため、文化的背景によって起こる近隣トラブルや、度を超えた悪質なマナー違反などイレギュラーな事態に対応することもオーナーの重要な仕事です。本記事では、生稲崇氏の著書『民泊旅館投資サバイバル大全』(扶桑社)より一部を抜粋・再編集して、わずか3年で年間CF1000を達成し、見事FIREを実現した民泊旅館投資のプロである著者が、ゲストの宿泊によって発生するトラブル対処法について解説します。

住民クレームに直結する部屋間違いと路上集団行動

ゲストが物件にたどり着けず迷子になることがあります。そこで困るのは、周辺に建っている隣家を目的地と間違え、ドアチャイムを鳴らしたり、ドアノブをガチャガチャと鳴らしてしまったりするトラブルです。この対策としては、しっかり画像や動画で道順を明確にすること。

鍵がうまく開けられず部屋に入れないのは、ゲストにとって最もストレスを感じる状況です。通常は電子錠を設置しますが、それに加えて現地にアナログキーも用意し、メインとサブの両方で対応できる体制を整えておきましょう。

体制の事例としては電子錠を設置して、番号を間違えても遠隔で解錠できるようにしておく、あるいはキーボックスを目立たない場所に設置して、緊急時に渡せるようにしておけば安心です。

路上集団行動では家の前で騒ぐ、タバコのポイ捨てがあります。注意喚起として張り紙をしたり、ハウスガイド(滞在中のルール)をつけます。また、予約受付のタイミングで、そういう行為をしそうな人であれば、予約を受け付けないようにします。

私のケースだと、アジア圏の高校生から「10人くらいで泊まりたい」というメッセージがありましたが、未成年であり、集団行動のところで不安要素が多いためお断りしました。

他にも喫煙された形跡があり、賠償を請求しました。ただし喫煙は色が見えず、臭いだけが手掛かりとなり立証は難しく、まだ請求中で結果は出ていません。

何よりも騒音は近隣住民からのクレームが怖いです。ハウスガイドの注意書きで、「限度を超えると警察を呼ばれ、楽しい旅行も台無しになります」「決められた場所以外の喫煙は絶対禁止」と貼り紙をしています。喫煙や騒音によって、どんなリスクが起こるのか、予約時、チェックイン前メッセージと現地貼り紙の両方で注意喚起しましょう。

よくある「ゴミ出しトラブル」にもさまざまなケースが

その他にも、よくあるのはゴミ出しトラブルです。ゲストがホテルと同じサービスだと勘違いをして、「部屋のゴミは定期的に回収してくれるよね?」という要望が来るケースもありますし、ゴミを置く場所をちゃんと明示しておらず、適当に置かれて近隣から苦情が来ることもあります。

またゲストの中には親切心から、室内のゴミを袋にまとめて外に出してくれる人もいますが、カラスに荒らされることもあるため、よくありません。対策として、集合住宅に置くような大型のゴミを屋外に設置するのも一手です。

定期回収できる産廃回収業者と提携しておけばよいでしょう。あとはハウスガイドを充実させて、ゴミ出しのルールを明確にしておきます。「要望を出されたら回収するけれど、お金がかかりますよ」でもいいと思います。

対策ほぼ不可能なドタキャン・人数偽装

ドタキャン――予約しておきながら来ない「NO-SHOW」が最大のリスクです。AirbnbなどOTA(宿泊予約サイト)の場合、キャンセルポリシーを厳しめに設定しておくしか対策はありません。

私が今、導入している民泊旅館・小規模ホテル向けの管理システム「Beds24」は、キャンセル料の請求業務を自動化・効率化できる仕組みです。開発者の長坂創太さん(第4章でインタビュー掲載)によると、これを導入してからは、キャンセル後の料金回収がゼロになることは無くなったそうです。

予約人数偽装も問題です。5名で予約しているのに、実際は8名、10名が泊まるケースがあります。これはチェックインのとき、防犯カメラの無人チェックイン時に人数を確認するしかありません。私の場合、近所から「大勢の人が大騒ぎしている!」と苦情が来て、気づいたこともありました。

よくあるのは布団が明らかに予約人数よりも多く使われて気づくケースです。私はこの部分を機械的に対応できるような仕組みを作りたいと考えており、現在はAIを使った判定システムの導入について相談を進めているところです。

設備破損は保険が下りるケースもあるが…

ゲストによる設備破損・汚損、備品持ち帰りといった被害を受けることがあります。

その場合の対応は、基本的に保険があります。Airbnbの提供する保険や、通常の民泊向けの保険、建物保険などがあります。ただし、Airbnb保険はゲストにまず請求し、その上で補償対象と認められればAirbnb側が負担するという仕組みです。そのため、ゲストが否定した場合など、もらえない可能性もあります。

一方で、一般の民泊保険や施設保険であれば、ゲストの同意が不要な場合もあり、こちらのほうがスムーズに対応できることが多いです。保険の種類によって対応範囲が異なるので、事前に確認しておくことが大切です。

文化的な背景で、特に外国人ゲストは「自分が悪い」と認めない傾向があるため、トラブルがあっても保険が使えないことがあります。日本人ゲストなら、「申告してくれたら保険が下りるので大丈夫ですよ」と伝えて理解を得られることも多いです。

私は民泊民宿協会の商品を利用しています。これは、いわゆる宿泊施設向けの包括保険に近いもので、責任管理者賠償・什器や設備にかける保険・ゲストに関する保険の3種類があります。この中でも、自分の設備や什器にかけた保険が最も使いやすく、誰かが明確に壊したと特定できない場合でも、「気づいたら壊れていた」「突発的な破損があった」として事故報告すればカバーされることがあります。

基本の「管理責任」を果たす重要性

忘れてはいけないのは、建物の管理責任は運営者にあるという点です。危険なことが起きたとき、準備不足によって誰かが怪我をしたり、最悪、命に関わる事故が起きた場合は、その責任を問われるのは自分たちです。

だからこそ、想定できるリスクにはあらかじめ備えておきましょう。ハウスガイド・ルールを作成して、ゲストに守ってもらう必要もあります。

よくあるのが、古い物件で窓が大きく、手すりが付いていないケースです。特に、足が届く位置に窓があると、そこからの転落リスクが高まります。そうした場所には、パイプなどを使って落下防止の対策を施しておかないと、万が一事故が起きたときに、運営者として責任を問われることになります。

何も起こらないように、あらかじめしっかりと予防措置を講じること。そして、万が一の事態に備えて、きちんと対応できる保険に加入しておくこと。

この2つがとても大切です。このように対策していてもトラブル回避ができず、その結果、報復レビューをされてしまうこともあります。

報復レビューとは、ゴミ出しトラブルだったり、人数偽装だったり、物を壊したりなどのトラブルに対して、こちらは正当な主張を述べているのに、宿泊者が逆恨みして低いレビューの点数を付けることです。行ってみれば「逆ギレ」です。

Airbnbでレビューが1を付けられると、リスティング停止になることもあります。本当に被害が大きいのは、ひどいレビューがついてクレームを報告された瞬間、返金されること。こうした被害はXの投稿で見かけます。そこに対してはやり取りの履歴や証拠を残してAirbnbに報告して、レビューを消してもらうリクエストをしなくてはいけません。

生稲 崇

不動産投資家・事業家