覚えておきたい「危ないデベロッパー」の見分け方
■倒産業者はどこが違うか
主に借入金によって土地を手当てし、施工業者に発注してマンションを建設、それを個人などに販売するのがデベロッパー(不動産開発業者)の仕事である。だからマンション市況が冷え込み、在庫が積み上がれば、一気に経営が揺らぐという弱点がある。リーマン・ショックに直撃された2008年から09年にかけては、上場企業を含む多くのデベロッパーが倒産した。
もちろん、デベロッパーが倒産したからといって、いったん購入したマンションが人手に渡るとか、差し押さえを受けるといったことはありえない。しかし、倒産会社のブランドは間違いなく悪化するので、将来の資産価値が目減りするおそれはあるだろう。せっかくマンションを買うなら、倒産しそうにない会社から買いたいものだ。
では、どういう会社が「危ない」のか。
幸いなことに10年以降、不動産業者(デベロッパーを含む)の倒産件数は下落か横ばい傾向にあり、しかも大型倒産は出ていない。過剰債務などの問題を抱えた不動産業者は、08〜09年の不況期にほぼ淘汰されたといっていいだろう。
この時期に倒産してしまったデベロッパーと、いまも健在な業者との違いはどこにあるのか。業歴、財務、得意分野の3つのポイントに絞って解説したい。
まず「業歴」について。この時期は、新興市場のほか東証一部上場を含む業界大手のデベロッパーが何社も倒産した。売り上げ規模を見るだけでは、危ないかどうかを見分けることはできないということだ。
だが一方で、倒産会社にはおおよそ共通する条件があった。それは「業歴の浅い会社が多かった」ということだ。業歴が浅いのに大手にのしあがれたのは、短期間のうちに販売戸数を急拡大したから。社業に勢いがあるのはいいことだが、マンション開発の場合は、前述のように市場にブレーキがかかればすぐに経営の屋台骨に響くという宿命がある。
いま販売の調子がいいから、数年先はもっと売れるだろうと踏んで、以前の倍の土地を仕入れてしまう。急成長組のデベロッパーはこういう経営判断を下してしまいがちだ。
逆に、業歴の長いデベロッパーの多くは、不動産市況の浮き沈みをあらかじめ計算に入れ、好況時にも無謀な投資には踏み込まなかった。
■借入金と在庫をチェック
デベロッパーの業歴を知るには、原則として宅建免許の更新回数を見ればいい。5年に1回の更新で、数字が多いほど業歴は長い。
次に「財務」について。
デベロッパーの場合、年商程度の借り入れをもとに事業を回している。それ以上の借入金があれば問題だ。会社四季報などの公開情報から借入金の額を確認してみて、借入金が年商の1.5倍や2倍になっているとしたら、その会社は将来の市況悪化時に大きな痛手を受けることが予想できる。また、在庫が年商以上に積み上がっていれば、過剰在庫といっていい。この水準をもとに「危ない」かどうかを見分けることができるだろう。
最後は「得意分野」について。
一口にマンションといってもファミリー向け大型物件から、DINKS向け、投資用ワンルーム・マンションなど数種類に分かれる。不況期に生き残った会社の多くは、このうちどれか一つを得意分野にしていた。反対に、財閥系など巨大企業を別にすると、全種類に手を出しているデベロッパーは「危ない」のだ。
物件の立地面でも、得意な地域を明確に持っている会社のほうが安心だ。施工実績から見て「都心に強い」とか「私鉄の○○線沿線に強い」とわかる会社である。
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1971年生まれ。埼玉大学経済学部卒。あさひ銀行(現りそな銀行)を経て98年6月入社。主に倒産取材に携わり、2012年4月より現職。
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(帝国データバンク情報取材課課長 篠塚 悟 構成=面澤淳市)
