俳優デビューから46年となる内藤剛志氏(写真/国府田利光)

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 1980年のデビュー以来、ドラマ、映画を中心に活躍を続けるベテラン人気俳優の内藤剛志氏が、『週刊ポスト』にて日々の思いを綴る人気連載「多面体道理論」。公開を直前に控えた主演映画の撮影現場では、ベテラン俳優の存在感が作品の魅力を引き上げてくれたという。

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 BS日テレの「令和サスペンス劇場」で6作にわたり、多くの方に観ていただいた『旅人検視官 道場修作』が映画化され、6月12日から全国公開となります。

 僕は亡き妻の雑記帳を手に、日本各地を巡る伝説の検視官・道場修作を演じています。作品の見どころのひとつとして、現場をリタイアした道場と若き鑑識員たちの交流が描かれています。

 彼らは何かとキャリアを重ねてきた道場に助言を請います。道場も培った知見で応えたりします。いわば捜査技術のバトンリレー。

 そこで思うに、今の社会に足りないのは、このような世代を超えて大切なことを引き継がせる、受け継ぐ双方向の鎖なのではないのかな、と。そういう意味で道場はまだ、幸せ者なのかも。慕ってくれて、スキルを学びたいと願う若者たちがいるのですから。

 このところ少子化問題と並行して懸念されているのが、伝統工芸や伝統文化における後継者問題。地味な作業を嫌うのか、工芸の分野には若い働き手がなかなか集まらず、先日の報道によると、 山梨県内の神社では、受け継がれている伝統芸能の獅子舞や神楽が深刻な後継者不足のため、頭を抱えているようです。

 それでも少子化傾向だからこそ、若手や中堅、ベテランが入り混じり、何かを作り上げることで、この国が守り続けてきた文化、美徳などを次の世代へと繋ぐ架け橋になるのではないかと思います。

 そう考えていたら、ある面、映画やドラマの撮影現場が、まさにそうでした。

 例えば『劇場版 旅人検視官 道場修作』のスタジオでは、89歳の里見浩太朗さんが揺るぎない存在感を発揮し、その醸し出される雰囲気の中を20代のスタッフが機材を抱えて走り回る。若い彼らや中堅の俳優たちは、里見さんが現場で見せる所作、気遣いを吸収しようと、感性のアンテナを張り巡らせている。僕も彼らの躍動から、何かを学ぼうと貪欲になっていく。

 こういう双方向で固く結ばれた鎖が、魅力満載の作品へと引き上げるのでしょう。

 この作品には77歳になる柄本明さんも出演。今でも柄本さんは僕を呼ぶときは「おい、内藤‼」と呼び捨て(笑)。それがありがたく、うれしくもあり、僕は先輩からそう呼ばれることで、背中を伸ばしたいのかもしれません。

【プロフィール】
内藤剛志(ないとう・たかし)/1955年、大阪府出身。1980年に『ヒポクラテスたち』で映画デビュー。以後、ドラマ、映画を中心に活動、1995年から2001年にかけて27クール連続ドラマ出演の日本記録を樹立。6月12日より『劇場版 旅人検視官 道場修作』がTOHOシネマズ日比谷ほか、全国で劇場公開される。

※「週刊ポスト」2026年6月19日号