[5.31 キリンチャレンジ杯 日本 1-0 アイスランド 国立]

 長身選手が並ぶ北欧勢の堅守に「レーンをまたぐ」試みで挑んだ。日本代表MF久保建英(ソシエダ)はキリンチャレンジカップアイスランド戦に3-4-2-1の右シャドーで先発出場。これまでは右サイドでの連係からチャンスメイクを担っていたが、この日は前半から左サイドまで流れるシーンを何度も作り、惜しいチャンスにつなげていた。

 久保によるとこの日のポジショニングは、対戦相手のアイスランドが組んできた5-4-1のブロックが固かったことによる試み。W杯グループリーグ第3戦でも同様の個性を持つスウェーデンとの対戦が光るなか、なんとか活路を見出そうとしていた。

「相手が正直、日本代表の試合では指折りなくらい中が締められていて、5(バック)でベタ引きみたいな感じで、とりあえず中締める中締めるという感じだったので、いつも通りのプレーでボックス取ってという感じだけだと無理だった。相手が人数をかけているぶん、こっちもシャドーの2人のどっちかがレーンをまたいで数的優位をかけた時しか良い攻撃ができていなかった」

 キーワードは「レーンをまたぐ」動きだった。サッカーにおける「レーン」とはピッチを縦断するエリア区分のこと。多くはピッチを5分割して左サイドレーン、左ハーフレーン、中央レーン、右ハーフレーン、右サイドレーンといった区分を行うのが一般的で、久保の本職である右シャドーは基本的に右ハーフレーンに位置し、味方や相手に応じて「またぐ」(=流れる、越境する)ことで変化をつける。

 久保はこれまでも右サイドレーンに流れることはよくあり、右ウイングバックの選手とのポジションチェンジで効果を生んできたが、左側まで流れるのは珍しい。久保が負傷のため不在だった3月のイギリス遠征では、名波浩コーチからシャドーの選手に対して反対サイドまで流れる指示が出ていたこともあり、新たに着手している攻撃のオプションだと言えそうだ。

 こうした試みに久保は「あまり(W杯)引いてくる相手はいないかもしれないけど、引いてきた時はああいうのが大事になると思う」と手応えを感じている様子。また久保にとって、中央を起点に流動的にポジションを取り、ボールに絡む働きは長年にわたって得意としてきたスタイルでもある。「レーンをまたぐ話もそうだけど、流動性があったほうが特に引いてくる相手には崩しやすいし、自分たちの時間もたぶん作れると思うので、互角以上で戦いたい相手にも有利になるのかなと思う」と強敵相手の実装にも期待感をにじませた。

 この日は決定的なチャンスにはつながらなかったが、W杯まであと2週間という時期もあって「みんなもコンディション的にはまちまちの部分があったりして、ここから本番までに仕上げていく部分があると思うので本番が楽しみ」と伸びしろを示唆した久保。試合途中からは5-3-2のインサイドハーフというオプション起用もあり、着実に手札の数は増えている。

 ここから事前キャンプ地のモンテレイに入り、仕上げの局面に向かう。カタールW杯とは準備期間の異なる2度目のW杯へ「(シーズン中に行われた)前回大会と違って(今回は)日本で親善試合をやってからキャンプに入ってという感じなので、準備期間がよりあって、チームとしてもよりいろんなものを試せる。前回大会よりは個人的にもチームとしても良い結果を出したい」と意気込んだ。

(取材・文 竹内達也)