「財産目当て」など、世間から壮絶なバッシングを受けてから早15年。いまでは誰もが憧れる夫婦になった加藤綾菜さんですが、世間の批判や夫・加藤茶さんのパーキンソン病をともに乗り越える姿に、夫からは「生きる力がすごい!」と言われているそう。周囲から心配される将来の不安については── 。

【写真】「めっちゃ陽気な夫婦ですね」綾菜さん38歳の誕生日を夫婦で祝った1枚(11枚目/全15枚)

結婚後のバッシング、それよりつらかったいじめの経験

結婚して数年間は壮絶なバッシングを受けた綾菜さん

── 加藤茶さんと結婚して今年で15年になる綾菜さん。45歳という年齢差などから、結婚後は壮絶なバッシングを受けていましたが、今となっては誰もが憧れる夫婦となりました。当時を振り返り、改めてどう思いますか?

加藤さん:普通の人だったら耐えきれないレベルのバッシングを受けたと思います。「財産目当て」「売名行為」といった批判から、自宅の壁の落書き、無言電話など…。「世界中から嫌われているのでは」と思うような状況が、7年くらい続きました。でも、途中から気にしてなかったですね。

── それは、バッシングを受けて強くなったのか。もともと加藤さんに強さがあったのか。

綾菜さん:中学生のときにいじめを経験してから考え方が変わったんです。中学は学校がすべてで逃げ場がなかったので、当時のほうがつらかった。しかも何気ない会話から「あいつウザい」って言われ、理不尽な理由でいじめられたんです。いじめは次第にエスカレートして、クラスのみんなから無視された時期もありました。お昼ご飯をトイレで隠れて食べていたら、上から水をかけられたことも。

あるとき、母がいじめを知ることになって。「学校行かんでもいいよ」と言ってくれたんですが、私は1日だけ休んでちゃんと行こうって思ったんですよね。なぜそう思ったかは、いまでもわからないのですが。その後から、母はお弁当と一緒にいつも長文の手紙を入れてくれました。「綾ちゃんは素晴らしい人だから、絶対に自分を卑下しちゃいけないよ」と。その言葉で、私は自分のことを大切にできたんです。

そんな母の励ましもあって、毎朝教室に入るときは絶対にクラスに挨拶をしようと決めました。手も声も震えるし、誰も返してこないけど、毎日、毎日、挨拶を続けて。

すると、少しずつ何かが変わってきました。初めはいじめっ子に恨みしかなかったのですが、途中から「いじめをしている人もつらいことがあるのかな」と、考えるようになったんです。母は、「人を変えるのは難しいけれど、自分が変わったら周りも環境も見方が変わる」と教えてくれましたが、その意味がわかった気がしました。

それ以来、何かあっても自分の感情とうまく折り合いがつけられるようになった気がします。周りに何を言われても「自分の芯が強ければ絶対に幸せになれる。堂々と生きよう」。そう心に決めていたので、世間からのバッシングで自己肯定感が下がることはなかったです。

夫・加藤茶さんからは「生きる力がすごい!」と 

── 旦那さんは、綾菜さんについてどんな人だと言われますか?

綾菜さん:「生きる力がすごい!」と言われます。バッシングもそうですし、結婚して3年目に旦那さんがパーキンソン症候群を患ったときもそうでした。旦那さんは入院中に体重が激減し、寝たきりの日もあったので、周りも少し諦めていたんです。私は介護が大変というよりも、「旦那さんがこんなに早く仕事ができなくなって、生きがいがなくなったらどうしよう」という不安のほうが大きかったですね。

それでも毎日「大丈夫、大丈夫」と前向きな言葉を掛け続けていたら、旦那さんも徐々に前向きな気持ちになって。「また舞台に立ちたい!」と、リハビリでも積極的に歩く練習をして、1年後にはかなり回復しました。

── 綾菜さんの絶対に諦めない気持ちが旦那さんにも伝わった。

綾菜さん:そうだと思います。また、結婚したときから将来、私が1人残されることを心配する声がありました。でも旦那さんは「綾は、この先、俺がいなくなっても、ずっと落ち込んでうつっぽくなることはない。目の前の悲しみをどうやって乗り越えていくか考えるタイプだから大丈夫」と言っていますね。

私自身、1人で残ることについて考えなくはないですが、過剰に不安になることありません。そのときが来たら相当落ち込むと思いますけど、根が楽観主義だし、旦那さんが言う通り、いずれ前に進んでいくと思います。

将来の介護も、いつか1人になる可能性も、すべて覚悟のうえで結婚しました。そのために、結婚後に介護福祉士実務者研修を修了したんです。23歳のときに誓った思いは、38歳になった今もブレてないです。

銀座でひと晩100万円→健康的な食生活に

37歳のお誕生日

── 軸が一貫していますね。食事に関しても結婚当初から綾菜さんが作り続けているそうですが最近、意識していることはありますか?

綾菜さん:塩分の取りすぎを注意するのはもちろん、以前に比べて旦那さんの食事量が減っているので、痩せすぎないようにメニューを考えています。旦那さんは夜中にテレビや動画を見ているので、毎朝6時に寝て、昼過ぎに起きるのが日課です。私は先に寝ていますが、夜、旦那さんのお腹が空いたときのためにカステラやおにぎりなど、エネルギーになりそうなものを置いておきます。そのせいか、最近は一気に体重が落ちることがなくなった気がします。

それに、旦那さんは結婚して1年が経った頃から、お酒をまったく飲まなくなりました。以前は毎晩、飲み代がすごくて、銀座に行って1日で100万くらい使っていたこともあったようですが、今はまったく。健康的になったし、新しい友達が増えてみんなと交流するのも楽しいみたいです。

── 年齢と共に周りの人間関係を縮小していく人もいますが、そうではなく、さらに友達が増えていくのは素敵ですね。

綾菜さん:今のほうが人との出会いが増えていますね。以前は仕事が忙しすぎて新しく友達を作る時間もなかったと思うんです。20代の頃から一緒に仕事をしていたとか、決まった人と過ごしていて、新たに友達を作る発想がなかったというか。

でも、今は少し自分の時間が持てるようになったので、秋元康さんや前澤友作さんなど、いろいろな人と食事に出掛けています。「休みの日に家でじっとしているより、外に出て美味しいご飯を食べながらいろいろお話しできるのが楽しい」って言ってました。

私も30歳を過ぎてから人間関係が広がりました。23歳で結婚してしばらくは旦那さんの周りの方々と交流させてもらっていましたが、その後は自分でも新しく友達ができたり、仕事先で知り合ったり、今が一番いい友達に囲まれている気がします。

結婚して数年は、家では旦那さんと2人で過ごすことが多かったのですが、今はそれぞれの友達を招いてみんなでご飯を食べることが多いですね。友達は旦那さんのことを「ちーたん」と呼ぶ人もいるし、「ちーたん」もみんなの輪の中に入って楽しそうです。

旦那さんの変化を見逃さないでいたい

── 素敵な関係ですね。加藤さんは旦那さんのサポートをすごくされている印象がありますが、ご自身ではどう思いますか?

綾菜さん:それが疲れることはなくて、自然にやっているというか。旦那さんがそれ以上の愛情で包んでくれるし、私のことを大事にしてくれるのがわかるから「私だけやってる」といった感覚がないんですよね。「今日もありがとう」と口に出して言ってくれるし、バッシングも結婚して3年後にはパーキンソン症候群も患いましたが、すべて一緒に乗り越えてきて、さらに絆が強くなっていった感じがします。

── 今後はどんなふうに過ごしていきたいですか?

綾菜さん:この先も2人の時間を大切にしたいのと、旦那さんのちょっとした変化も見過ごさないようにしたいです。先日も介護のテレビを見ていたときに、妻が認知症になって初めて夫が妻はイチゴが好きと知ったと。イチゴを持っていったら笑うといったエピソードを観ていて。私も旦那さんのちょっとしたことでも見逃さないようにしていきたいと思います。

取材・文:松永怜 写真:加藤綾菜