LUNA SEA真矢さんお別れの会。石黒彩×LUNA SEA真矢 夫婦初対談「子どもの手が離れ、恋人同士に戻ります」
2月に亡くなった、ロックバンド「LUNA SEA」のドラマー、真矢さんのお別れの会が、2026年5月14日、都内で開かれました。真矢さんと妻の石黒彩さんが語り合った対談記事(『婦人公論』2019年5月28日号掲載)を再配信します。昨夜、長女・玲夢さんがテレビデビューした、石黒彩さん真矢さん夫妻。「人気ロックバンドのドラマーと絶頂期のアイドルの結婚」として注目を浴びたのが19年前だ。すぐに子どもを授かり、石黒彩さんは仕事をセーブして子育てにシフトした。真矢さんが別に仕事場を借りたことで「別居・離婚」と週刊誌に騒がれたことも。夫婦揃っての初取材で、結婚生活を振り返ってみると──(構成=内山靖子 撮影=本社写真部)※全文公開しました(2019年10月22日)
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子育て中は、夫婦別々に役割分担
真矢 彩と結婚して、今年で19年になるけれど、こうして夫婦一緒に取材を受けるのは、実は今回が初めてだよね。
彩 そうそう、ツーショットで撮影してもらうのも初めてでしょう。せっかくの機会だから、私も真矢くんのネクタイとお揃いの色のワンピースを着てきたの。
真矢 今は3人の子どもたちも、上から18歳、16歳、14歳になったので、こうして2人一緒の機会も増えたけど、子育てに追われていた時期は、それぞれが別々に過ごしている時間のほうが多かったからね。
彩 そうね。真矢くんは仕事がメイン。私は家事と育児を担当し、その合間に少しだけ仕事をさせてもらうというスタイルだった。
真矢 家事も育児も、今までずっと彩に任せきりだった。本当によくやってくれたよ。家族で食事をするときも、彩は大皿に盛った料理をいつもみんなに取り分けていて、ゆっくり食べるヒマもなくて、大変だったんじゃない?
彩 ううん、「子育てはすべて任せるよ」って言ってくれたことが、むしろ嬉しかった。私、任されると、すごく張り切っちゃうタイプなので。中途半端に分担して「ちゃんとやってくれていない」と相手にイライラするよりも、家事も育児もすべて任せてもらって、最後に「よく頑張ったね」ってねぎらってもらうほうが好きなのよ。そのぶん、真矢くんには仕事を頑張ってほしかった。私、もともと学生時代から「LUNA SEA」のファンだったので、アーティストとしてベストな状態でステージに臨んでほしいと、今でもずっと思っているから。
真矢 そのおかげで、僕は仕事に集中することができたけど、僕がなぜ彩に子育てをすべて任せたほうがいいと思ったかは、実はきっかけがあって。あるとき、スーパーで子どもたちが「おやつ買いたいんだけど、どれならいい?」って僕に聞いたわけ。で、「ああ、それでいいんじゃない」って、子どもたちに自由にお菓子を選ばせたら、彩から全部ダメ出しされた(笑)。そのときに、「子どもたちに関することはすべて彩に任せたほうがいいんだな」と悟ったんだ。誰がリーダーなのかをきちんと決めて、ひとつのルールで統一しないと、子どもたちもとまどっちゃうからね。
彩 そう言いつつも、子育てで私の苦手な部分は真矢くんがフォローしてくれたじゃない。私、子どもたちに歌を歌ってあげたり、同じ絵本を何度も読んであげたりするのが苦手なの。でも、真矢くんは得意だったから、そこは任せられてすごくありがたかったのね。
夫婦ゲンカはどちらか一方が悪いわけじゃない
真矢 とはいえ、子どもたちが小さいときはよく夫婦ゲンカもしたよね。
彩 そうね。もともと私は若いママに憧れて早く結婚したいとは思っていたけれど、実際に、22歳でアイドルからいきなり主婦になり、近所に友達もいない環境で慣れない子育てが始まったから、ストレスがかなり溜まっていたのかも。友人の中でも早く結婚したから、孤独も感じたし。だから、些細なことでよくケンカになっちゃって。
真矢 彩ってさ、仕事モードだったり怒ったりすると突然、口調が丁寧語になる。「はい、わかりました」とか「真矢さん、この件はどうされますか?」とか。あの口調になるとかなり怖かったけど(笑)、原因は本当につまらないことばかりだったよね。彩がトイレの電気をつけっぱなしにするとか。
彩 くだらなかったよね〜。うちの実家は家の中の電気をつけたままにしておく習慣だったので、悪いと思わなくて。一度ケンカが始まると、朝までああだこうだと言い合って。最後はあまりにも疲れ果て、「2時間ずつ仮眠して、交替で子どもをみよう」なんていうことも。(笑)

真矢 僕も白黒つけたい性格だからね。でも、夫婦ゲンカってどちらか一方が悪いわけじゃなく、価値観や考え方の違いが原因だから、お互いに言いたいことをすべて言っちゃえばスッキリするよね。毎回、最後は「なんでこんなくだらないことでケンカしていたんだろう」って笑い合っておしまい。
彩 この電気の問題に関しては、その後、新しい家に引っ越したら、トイレの電気が自動でついたり消えたりするシステムになっていて、「負けた、一本取られた!」と思ったけど。(笑)
真矢 ハハハ、平和的解決。それでケンカのタネがひとつ減るんだから、いいじゃない。今でもまだ夫婦ゲンカが完全になくなったわけじゃないけれど、ケンカするたびに、お互いへの理解が深まっていくのも確かだと感じるね。
「別居?」「離婚?」と報道されて
彩 そう言えば、以前、真矢くんが仕事部屋を借りたとき、週刊誌にいろいろと書かれたことがあったよね。
真矢 うん、自宅とは別に住まいがあることで、「別居? 離婚か?」って周囲が勝手に盛り上がっちゃって。
彩 あれはまったくの誤解よね。アーティストは、自宅以外にスタジオや仕事部屋を持っているのが普通でしょう。都心に住んで、地方にスタジオを持っている方もいるし、自宅と同じマンションの違う階に仕事部屋を借りているケースもある。
真矢 こう見えて、僕はかなり神経が細いので、ライブの前になるとピリピリして眠れなくなってしまう。東京ドームで3日間連続公演のときなんて、その3日間一睡もできなかったくらい。そんなときに自宅にいると、つい子どもたちにもあたっちゃう。それは彼らにもよくないし、ステージでのパフォーマンスにも響く。だから、ひとりになれるスペースを借りただけの話なんだけど。

彩 子どもたちが小さいときは、ライフスタイルも正反対だったしね。私は毎朝6時頃に起きて、子どもたちを幼稚園や学校に送り出していたけど、真矢くんは夜中にレコーディングして、朝5時に寝るのが当たり前の生活だったでしょう。
真矢 家族と生活が逆転してたから、ライブが続くと僕は仕事部屋に泊まって、1週間以上、自宅に帰らないこともザラだったよね。
彩 だけど、その距離があったからこそ、私たち夫婦はこれまでうまくやってこられたんだと思う。私も我が強いタイプだし、自分の好きな本を読んだり、1人で過ごす時間も大切にしたい。でも、真矢くんはお休みの日も朝からビッチリ予定を入れて、お出かけしたり、買い物に行ったりしたいタイプでしょう。ずっと一緒に過ごしていたら、絶対にぶつかっちゃったはず。あえて、別々に過ごすスペースがあったことで、今までいい距離感を保ってこられたんじゃないかな。
真矢 そうだね。それぞれがお互いのペースで過ごせる空間があったおかげで、夫婦の関係もなれ合いにならずに済んだし。
彩 うん、倦怠期の夫婦によくあるような、ダンナさんが「おい」って言ったら、奥さんが無言でお茶を出す、というような関係にならなかったことが、私もすごく良かったと思う。
真矢 それに、今は子どもたちが大きくなったから、仕事部屋はもう要らないかもって思うよ。
彩 以前はお互いに若かったから、ゆずれないことも多かったけど、今はもう真矢くんもライブの前にそれほどピリピリしなくなったしね。生活スタイルもすっかり朝型になったし。
真矢 僕も今年で49歳だから。人間が丸くなって、ドラムのビートもだんだんまろやかになってきたからね。(笑)

夫婦共通の趣味は?
真矢 子どもたちの手が離れたことで、近頃は、僕たちの関係も以前とはかなり変わってきたよね。2年前から彩もゴルフを始めて、夫婦一緒に同じ趣味を楽しめるようになったし。
彩 ホントに。それまでは夫婦共通の趣味なんてひとつもなかったもの。真矢くんは私より8歳年上だから、一緒にカラオケに行っても、私の知らない昔の歌ばかり歌うし。(笑)
真矢 僕も健康のために40代になってからゴルフを始めたんだけど、これがすごく楽しくてね。この楽しさを、彩にもぜひ知ってほしかった。それには一緒にプレイしてもらうのが一番だなと思って。夫婦2人だけで回ったりもする。
彩 最初、真矢くんに勧められたとき、私はゴルフにまったく興味がなかったの。でも、夫婦でコンペに出なきゃならない機会があって、それを機に練習してみたらすっかりハマっちゃって。自然の中を歩くと気持ちがいいし、打ちっぱなしでたくさん練習したのに、いざグリーンに立つとぜんぜん思い通りに打てないのも面白くて。一緒にゴルフショップに行ったり、「ウェアは何を着ていく?」って、2人で相談して決めるのもウキウキしちゃう。
真矢 それに、ゴルフって紳士のスポーツだから、常に相手を褒めなきゃいけないでしょう。「ナイスショット!」とか「今のパット、いいね〜」って。自分の奥さんを褒めるなんて、照れくさくて普段は滅多にできないことだけど、ゴルフ場だと素直に言えるのがいいんだよ。
これからは、もう一度恋人気分で
彩 2人きりの食事がとても新鮮! 結婚したとき、私はすでに長女を妊娠していてすぐにお母さんになったから、真矢くんと2人だけで出かけたり、食事をしたりした経験が少なかったでしょう。だから、なおさらのこと、こうして2人で向き合える時間がとても楽しいって感じるの。
真矢 今、子どもたちは上から大学生、高校生、中学生だよね。正直な話、あと何年か後に、子どもたちが全員家を出て、彩と2人きりで暮らす日が来るのが楽しみなんだ。
彩 そうなったら、京都にも小さな家を借りて、2人で東京と京都を行ったり来たりして暮らしてみたいな。
真矢 蕎麦を食べに2人で信州までドライブしたりして、もう一度、恋人同士のように過ごしたい。そのために、車もツーシーターに買い替えた。
彩 わぁ、今から楽しみ!
真矢 知り合いから聞いた話なんだけど、「結婚は同じ人と2度する」んだって。1度目は肉体の結婚で、2度目は心の結婚。その「心の結婚」を目指して、僕はいくつになっても奥さんを口説ける夫でいたいな。
彩 お互い自由にやりたい、っていう考え方のご夫婦も多いみたいだけど。
真矢 僕は寂しがりやだから無理だなぁ。だって、1人でいるよりも2人でいたほうが楽しいじゃない。夫婦ゲンカしている最中でも、いつもそう思ってる。ケンカしているときはめっちゃムカついてるけど(笑)、でも、こうしてケンカができるのも相手がいればこそだなって。子どもが独立すると、犬を飼う夫婦も多いけど、僕は犬に注ぐくらいなら、そのぶんの愛情を奥さんに全部注ぎたい。
彩 ありがとうございます(笑)。 私たちって若いときに別々に過ごす時間があったからこそ、これからはずっと一緒に、人生を楽しんでいきたいと思っているのかもしれないね。
