人気の病院猫に「出禁」命令

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ニュージーランド北島にある「タラナキ病院」をひんぱんに訪れて、患者やスタッフたちに人気の猫が2匹います。以前からおなじみの茶トラ猫Pipと、最近やってくるようになったバーマン猫Pabloです。

ところが最近、この2匹の人気猫に「建物内への出入り禁止」という決定がなされ、人々の激しい反発を買っています。禁止の理由は「感染予防」と「臨床安全基準を守るため」。病院の建物内に入れるのは特別に認められた介助動物だけで、職員がこのほかのペットを病院の建物内に連れ込むことは固く禁じられたのです。

ナエレ在住のTracey Blakeさんは、次のように話しています。

「娘が難産で入退院を繰り返していた間、ほかの幼い子供の世話もしなければならなかったのですが、Pipはまさに救世主でした。1歳半の孫の相手をして、楽しませてくれたのです。この猫はいつも産科病棟にいましたが、何の問題も起こしませんでしたよ。Pipは患者や家族にとって元気の源でした。病院に行くたびに、孫はこの猫に会うのを楽しみにしていました。本当にすばらしい猫です」

「病院は患者の精神的な健康も考慮に入れるべきです。動物がいることでストレスが軽減されるというのは、一般的にも証明されている事実です。安らぎのひとときを与えてくれるなら、どんな感染リスクよりも価値があるのではないでしょうか」

「この猫は分娩室にいるわけではありません。新生児室に入るわけでもありません。廊下を歩き回っているだけです。汚れた靴で入ってくる人間と、何ら変わりないと思います」

猫の病院訪問を求める署名活動も

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2匹の猫の病院への訪問を支持する署名活動が、Facebookページ「Adventures of Pip」で始まりました。ここには多くのメッセージも寄せられています。

Suz Cowleyさんは、「祖母を見舞いに病院を訪れた10歳の息子Theoにとって、Pipが心の支えになった」と話しています。

「迎えを待っていたTheoは、ちょうど散歩していたPipに出会って大喜びでした。この子は猫が大好きなのです。Pipは近づいてきた孫にやさしく接し、ふたりはすぐに仲良くなって、お互いを抱きしめていました。すばらしい光景でしたよ」と彼女。

「子供にとって、病院を訪問するのは辛いことです。でもPipのおかげで辛さは楽しみに変わりました。入院していた祖母も、Pipを撫でることができましたし」

Pablo(2歳半)の飼い主は同病院の研修医Holy Malcolmさんです。

「Pabloはよく出かけていきます。あるときなどは、夜勤に向かう途中で、産科病棟の脇の茂みから突然飛び出してきた愛猫に数日ぶりに出会いました。わたしもPabloも、思わぬ場所での再会にとても驚きましたね」

「最初は偶然だと思ったのですが、その後出勤するたびに、救急外来の外か精神科のあたりでわたしを待っているようになったのです」という彼女。そしてPabloが病院にやってくる人々の心を明るくするのを、目の当たりにしてきました。

「この猫が人々と交流し、どれほどよい影響を与えているかを見てたり聞いたりしてきました。病院には辛い時期を過ごしている人がたくさんいます。もしPabloが少しでもそうした人たちの気持ちを楽にできるなら、それはすばらしいことだと思います」と話すHolyさんです。

賛否両論…でも建物外にいるなら許容

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しかしHolyさんは、猫たちが救急外来や手術室、診療エリアに入ることは禁止すべきだという考えに異論はないといいます。

今回の禁止命令には賛否両論があって、「Pipを病院の敷地外に連れ出すのは、ひどいことだと思う」という病院出入りの業者もいれば、「実用的な観点からは、建物の中に猫がいるのは不衛生でよくない」と考える患者もいます。

猫たちを支持する看護婦は「Pipは患者さんにもスタッフにも役立つ存在です。これは多くの人の意見だと思います」と話し、若い医師も「猫はみんなに愛されていて、スタッフも患者さんからも好かれています」といいます。

別のスタッフは「姪っ子はPipに夢中で、わたしが仕事から帰ってくると、いつも『今日はどんな1日だった?』と聞くのではなく、『Pipはどうしてた?』と聞いてくるんです」と話しています。

病院運営責任者のWendy Langlandsさんは声明の中で、2匹の猫が一部の職員や患者に喜びをもたらしてきたことを認めています。しかし現在の規則では、盲導犬などの認定された介助動物や緩和ケアやセラピー訪問のために承認された動物のみが、病院の建物内への立ち入りを許可されていることを強調しています。

「職員に対して、産科や新生児室などの臨床現場での動物に関する規則について、改めて周知しました。これらの規則は、医療現場に適用される感染予防および臨床安全基準を確実に遵守するために設けられています」

「職員には、動物に餌を与えたり、寝床を用意したりしないよう改めて指示しました。もし動物が建物内に迷い込んだ場合は、やさしく外へ誘導するよう指導しています」

病院側は、猫が繰り返し建物内に入り込む場合は、警備員に連絡するよう指示しています。さらに病院の制服を着て猫と一緒に写真を撮ったり、そのような画像をオンラインで共有したりしないよう警告もしています。

「PipとPabloは、建物ではなく病院敷地内で友好的な存在であり続けます」と説明するWendyさんです。

出典:CAT scans yes, cats, no: Popular moggies not permitted at Taranaki Base Hospital