専用の意匠がもり沢山!流麗なクーペスタイルがカッコイイ!

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クーペスタイルをまとった異色のハスラー

 軽自動車の世界では、実用性を重視した設計が主流ですが、そのなかでも個性的なデザインで注目を集めるモデルが存在します。

 スズキの「ハスラー」もそのひとつで、街乗りからアウトドアまで幅広く活躍できるキャラクターによって、多くのユーザーに支持されてきました。

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 特に現行型は2020年のフルモデルチェンジ以降も安定した人気を維持しており、軽クロスオーバーというジャンルを代表する存在となっています。

 そんなハスラーには、市販モデルとは異なる個性的な派生案が存在していました。それが2013年に発表された「ハスラークーペ」です。

 このモデルは同年秋に開催された「第43回東京モーターショー」で公開され、翌2014年1月に登場予定だった初代ハスラーの参考出品車とともに展示されていました。

 初代ハスラーは「アクティブなライフスタイルに似合う軽クロスオーバー」というテーマのもと開発され、アウトドア志向のユーザーを強く意識した設計が特徴でした。

 一方でハスラークーペは、その基本コンセプトを踏襲しながらも、よりデザイン性に振り切った提案モデルといえます。

 実際に市販化はされていませんが、ブランドの可能性を広げる試みとして大きな注目を集めました。

 ボディサイズは全長3395mm×全幅1475mm×全高1630mm、ホイールベースは2425mmと、軽自動車の規格内に収まっています。

 ただし全高はベースとなるハスラーより35mm低く設定されており、この差がクーペらしい流麗なシルエットを生み出しています。

 ルーフラインは後方に向かってなだらかに絞られており、一般的な軽SUVとは一線を画すスタイリッシュな印象を与えます。

 足回りに関しては、初代ハスラーの特徴である悪路走破性への配慮が受け継がれており、最低地上高は最大180mmを確保。

 さらに15インチの大径タイヤを装着することで、見た目だけでなく実用面でもアウトドア志向を感じさせる仕様となっていました。

 その一方で、各部には専用デザインが施され、単なる派生ではない独自性が強調されています。

 フロント周りでは、ブラック塗装のバンパーガーニッシュや「HUSTLER」と記されたアルファベットエンブレムが目を引きます。

 これらは当時のベース車には存在しなかった要素であり、コンセプトモデルならではの個性を際立たせています。

 展示車はレッドのボディにホワイトルーフを組み合わせた2トーンカラーで、視覚的なインパクトも十分でした。

 さらに細部にも工夫が凝らされており、アルミホイールにはレッドのアクセントが加えられています。

 後席ドアのハンドルはピラー部分に隠すことで外観上は2ドアクーペのように見える設計となっており、デザインへの徹底したこだわりが感じられます。

 リアにはルーフと同色の大型スポイラーが装着され、全体の統一感を損なうことなくスポーティさを演出しています。

 このように完成度の高いハスラークーペでしたが、最終的には市販化されることはありませんでした。

 軽自動車は実用性や使い勝手が重視されるカテゴリーであるため、後席の利便性や居住性に影響を与えるクーペスタイルは、やや挑戦的すぎたのかもしれません。

 なお、似た方向性のデザインを持つ軽自動車としては、ホンダ「N-BOXスラッシュ」が挙げられます。

 2014年に登場したこのモデルは、ベースとなる「N-BOX」からスライドドアを省き、スタイリングを重視した仕様となっていましたが、2020年に販売を終了しています。

 やはり軽自動車市場においては、個性よりも利便性が優先される傾向が強いことがうかがえます。

 その後、スズキは2015年1月に「ハスラー Jスタイル」を追加しました。これはRJCによる「RJCカー・オブ・ザ・イヤー」受賞を記念した特別仕様車で、フロントグリルのHUSTLERエンブレムや、レッド・カーキ・ブラックの外板色にホワイトルーフを組み合わせた2トーンカラーが特徴です。

 こうした装備を見ると、ハスラークーペで提案されたデザイン要素の一部が市販モデルへと受け継がれていることが分かります。

 コンセプトカーとして終わった存在ではありますが、そのアイデアは確実に後のモデルに影響を与えたといえるでしょう。

 ハスラークーペは、実現には至らなかったものの、スズキのデザインへの挑戦と可能性を示した一台として記憶されるべき存在です。