ホリエモン「AI時代こそ働いて働いて働け」…「何でもAIがやってくれる時代」に爪痕を残す「デキる人」になる方法
※本稿は、堀江貴文『体力が9割 結局、動いた者が勝つ』(徳間書店)の一部を再編集したものです。
■新人は「コスパ」「タイパ」を気にするな
世の中にはさまざまな仕事術やライフハックのたぐいがあふれている。いかにスムーズに作業を終えるか。いかに最小の労力で最大の成果を得るか。つまるところ、その大半は効率化のテクニックである。
コスパよく、タイパよく物事を進める。忙しい現代人にとってそれは切実なテーマだろう。でもいきなり効率に走るのはNGだ。まずうまくいかない。
たとえば営業職の新人が「断られない話し方」「即決させるテクニック」を使ったところで通用しない。それどころか相手から胡散臭い目で見られるのがオチだ(実際に胡散臭いのである)。
新人がやるべきなのは営業トークを磨くことではない。愚直にお客さんにぶつかっていくことだ。来る日も来る日もヒアリングと提案を繰り返す。地道にそれをやり抜く。その経験を積んで初めて説得力のある言葉が身につく。営業力がつくのである。であれば、それこそ即決してくれる相手も出てくるだろう。

■最初は効率・質よりも「量」
最初に大切なのは効率ではない。むしろその対極にある“量”だ。行動である。僕の知る優秀な経営者やクリエイターは例外なくみんなよく動く。呆れるくらいに動く。
彼らは成功したから忙しく動きまわっているのではない。動きまわったから成功したのだ。たくさん動いて、たくさん失敗して、自分なりの勘所を見出したのである。
小手先で済ませようとするな。小賢しくふるまうな。まっすぐぶつかり続けた人が結局は勝つのだ。動いて、動いて、動く。すると“量”が“質”に変わる。
がむしゃらに数を打っていた営業マンがあるときから「こうした相手にはこう言えば伝わる」と直感的にわかるようになる。資料づくりに四苦八苦していた人が、どこを削ってどこを膨らませるべきかが見えるようになる。何千行もコードを書いてきたエンジニアが突如として、美しくて最小限の構成を書けるようになる。
そのときは突然やってくる。ふいに霧が晴れるように抜け道や勝ち筋が浮かび上がるのだ。それが「量質転化」、量が質に転じるということだ。量を制する者が質を制するのである。
■遠回りが圧倒的な効率をもたらす
そのためにはちょっと頑張るくらいじゃ足りない。人の2倍はやろう。大変そう? そう、大変なのだ。そんなにガツガツせず、のんびり暮らしたいという人はこの本を読む必要はないだろう。競争とは無縁の世界で生きればいい。
もし大きな成果を望むならやり続けるしかない。言い換えれば、やり続けさえすればなんとかなる。努力は必ず報われるのである。
ほかの人が定時で帰っていくなか、その倍の密度で動く。週末にみんなが遊びに出かけているとき、ひとり黙々と目のまえの課題に向き合う。
成否を分けるのは才能の有無ではない。どれだけタフに動けるか、そしてその覚悟があるかどうかだ。
ひたすら量をこなす――。一見するとそれは遠回りに思えるかもしれない。でも、その遠回りがやがて圧倒的な効率をもたらすのだ。急がず、焦らず、積み上げてきた人だけが遠くまで行ける。
■AI時代こそ質より量が物を言う
とにかく行動する。ひたすら量をこなす。その回り道があって初めてあなたは圧倒的な効率化を手にする。パフォーマンスが一気に拡大するのだ。
でもこんな反論もあるだろう。「いまはAIがある。とにかく行動? ひたすら量をこなす? そんなのナンセンスだ」
そうではない。僕は時代錯誤の精神論を言っているのではない。まさにAIの力を最大限に活かすうえで物を言うのが量なのだ。あなたが積み重ねてきたもの。すべてはその蓄積にかかっている。
生成AIの進化はすさまじい。もはやAIなしで仕事をするなんてありえない。企画書づくり、文章作成、アイデア出し。AIを使えば誰でもあっという間に形にできる。
そう、誰でもだ。ということは、AIにただ頼ったところで差別化は図れない。「なぜこの資料が必要なのか」「誰に何を伝えたいのか」という芯がいっそう問われるのである。芯のない資料は見せかけだけのくだらないハッタリだ。生成AIの浸透にともない、いまそんなゴミがあふれかえっている。

■AI時代でも「人の手」によるチューニングは不可欠
文章ひとつ取ってもそうだ。芯を食った文章でないと相手に刺さらない。業務メールなどの定型文、ありきたりな説明文ならAIで十分だろう。人間との差はない。むしろAIのほうが正確だ。でも人の心を動かすメッセージや、共感を生むコピーとなると途端にハードルが上がる。単純なAIまかせではダメだ。
どんな言葉を選ぶのか。どこに体温を込めるのか。何を記し、何を削ぎ落とすのか。芯を食った文章にはそうした人の手によるチューニングが不可欠だ。あなたがこれまでいかに言葉に向き合ってきたか。それがクオリティを左右するのである。
アウトプットの質は、インプットの量と質に比例する。その普遍的なセオリーはAIを使いこなすうえでも同じだ。むしろAI時代だからこそあなたの蓄積が大きな武器になる。
■競争は激化し、動き続けた者だけが勝つ
たとえば営業経験が豊富な人は、AIによって極めて魅力的な提案資料を立ちどころにつくれてしまう。ほんの数行のプロンプトで要点を押さえた下書きを生成し、あとはそれを自分の手で微調整する。クライアントのニーズに響くよう訴求ポイントをさらに固め、文面に熱を込めるのである。それで隙のない説得力に満ちた資料が一丁あがりだ。ものの数十分で仕上がるだろう。

かつては何時間もかかった営業の初期フェーズがあっという間に終わるわけだ。であれば、いくらでも新規クライアントの発掘に挑める。そうやってAIで時間を生み出していくのができる営業マンだ。
AIは努力をサボるための道具ではない。これまであなたが積み上げてきた努力をより速く、より遠くに運ぶための加速装置である。それこそまさに“効率化”だろう。
AIによって「何もしなくても成果を出せる時代」が訪れたのではない。まったく逆で「中身がこれまで以上に問われる時代」になったのだ。
誰もがAIの利便を享受できるようになったいま、競争はますます激化していく。このさき総AI時代になればなおさらだ。だから人の倍、行動しよう。それが価値を生む。AIの力を最大化させる。動き続けた者が勝つのである。
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堀江 貴文(ほりえ・たかふみ)
実業家
1972年、福岡県生まれ。ロケットエンジンの開発や、スマホアプリのプロデュース、また予防医療普及協会理事として予防医療を啓蒙するなど、幅広い分野で活動中。また、会員制サロン「堀江貴文イノベーション大学校(HIU)」では、500名近い会員とともに多彩なプロジェクトを展開。『ゼロ』『本音で生きる』『多動力』『東京改造計画』『将来の夢なんか、いま叶えろ。』など著書多数。
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(実業家 堀江 貴文)
