もはや「幽霊装備」化? ハンドルに備わる「パドルシフト」どんな時に使うのが正解?

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もはや「幽霊装備」化!? パドルシフトに備わる機能とは?

 一部のクルマに備わる「パドルシフト」ですが、最近では使わないという人もいるようで“幽霊装備”化してきているともいえます。
 
 そもそもパドルシフトとはどういった機能が備わっているのでしょうか。

ハンドル奥に装着されるパドルシフト

 パドルシフトとは、AT車やCVT車のハンドルの裏側についているレバーで、手動でギアチェンジできる仕組みのことです。

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 自分でクラッチを踏んでシフト操作をするMT車では、シフト操作のために左手をハンドルから離したうえで、同時に左足のペダル操作もしなければなりませんが、AT車などのパドルシフトであれば両手をハンドルに置いたまま手軽に操作できるのが利点といえます。

 各自動車メーカーにはパドルシフトを搭載して自らシフト操作ができるようになっているクルマを展開しており、たとえばトヨタでは「GR86」や「GRヤリス」などスポーツタイプのAT・CVT車に搭載されています。

 このほか、「クラウン」や「カムリ」などセダンタイプのクルマにも備わるなど、他メーカーでもスポーツタイプや高級車などを中心にさまざまな車種で採用されています。

 また、軽自動車でもスズキ「ハスラー」やホンダ「N-BOX」などの一部のグレードで採用されているなど、特に上位グレードのモデルに採用される傾向があるようです。

 そんなパドルシフトですが、実際には使うことがないという人も少なくないようです。

 SNSでは「AT車のパドルシフト思った以上に使わない」「わざわざ使わないなー」の声が見られるほか、なかには「使ったことないし使う機会がない」「そもそもどんな時に使うかが分からない」との意見も見られます。

 では、パドルシフトは本来どういった場面で使うのが効果的なのでしょうか。

 パドルシフトのメリットは、場面に応じて自分でギアを変えることにより、安全に運転することができたり、燃費を向上させたりすることができる点です。

 たとえば、上り坂ではアクセル操作だけで走行しているとパワー不足を感じたり、徐々にスピードが落ちて後続車との車間距離が詰まったりすることがありますが、手動でギアを下げることでパワフルに坂を上ることができます。

 下り坂の場合でも、ギアを下げるとエンジンブレーキの効きが強くなるため、適切なギアに合わせて走行することで、特に長い下り坂などではフットブレーキの多用を防ぐことができます。

 長い下り坂でフットブレーキを多用しすぎると「フェード現象」や「ベーパーロック現象」によってブレーキの効きが悪くなり、減速できないままカーブに進入する場合があり、過去には大きな事故につながった事例もあります。

 このようなブレーキを多用するシーンでは、フットブレーキのほかにギアを下げてエンジンブレーキを効果的に使うことで、安全に運転することが可能です。

※ ※ ※

 パドルシフトが使われなくなるケースについて、ユーザーからは「ATでも運転を楽しみたい人だけが使っていて、普通に走れればそれでいい人は使わないよな」「パドルシフトはAT車で山道や下りでしか使わない。実際なくても十分だ」など、走れれば十分という意見が見られます。

 その一方で「AT車でも加速や減速で速やかに反応してほしいときに使用することが多い。もしかすると自分は少数派かもしれないけど、せっかく自分のクルマなら時には操作している感じもほしい」「エンジンブレーキをハンドルを握ったまま操作できるので重宝してる」という意見も。

 また昨今ではAT車限定免許の取得者が増加している傾向にあることから、「多くの人がクルマの運転の楽しさより燃費の方が興味あるんだろうなあ」「MTの経験があって今はATに乗っている人とAT限定で乗っている人の違いなのかなあ」という意見もありました。

 近年は自動車の性能が向上してきているため、あえて手動でシフトチェンジしなくても走行や燃費に大きな不満や問題が生じなくなっていると考えられます。

 とはいえ、使い方によっては安全運転につながるほか、自分でギアを操作してドライブを楽しむこともできるため、パドルシフトの仕組みを知って活用してみるのも良いといえます。