元日本代表DF太田宏介(左)と妻の福間文香さん【写真:本人提供】

写真拡大 (全2枚)

【アスリートを支える妻たち|福間文香】コロナ禍の豪州生活で料理の腕前も飛躍的にアップ

 世界中を熱狂の渦に巻き込むアスリートたち。

 彼らは多くの支え、協力があってトップパフォーマンスを続けている。そんな“裏方”に徹する妻にスポットライトを当て、どのようにサポートをしているのかに迫る不定期企画「アスリートを支える妻たち」。第2回はJ2リーグのFC町田ゼルビアに所属する元日本代表DF太田宏介の妻である福間文香さん。夫婦二人三脚での日々の生活について訊いた。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・小田智史/全2回の1回目)

   ◇   ◇   ◇

――太田選手は2017年7月、福間文香さんとご結婚されました。結婚6年目、改めて奥様のサポートがサッカーのパフォーマンスにどのような好影響をもたらしていますか?

太田宏介(以下、太田)「まず、精神的に安心できます。結婚する前までは自炊はたまにくらいで外食メインでしたけど、家に帰ったら待ってくれている人がいて、ご飯があるというのが最高ですよね。怪我が少なくなったと思います。(2019年7月に)子供ができて、自分は名古屋グランパス、パース・グローリー、FC町田ゼルビアと移籍してきましたけど、家族とともに新しい場所に行って、いろんな挑戦をして、楽しいことも、大変なことも一緒に経験できるとは独身時代には想像できなかったです」

福間文香(以下、福間)「実は、出会った頃はサッカーの世界のことを全く知らなくて(苦笑)。サッカー選手の奥さんのイメージとして、ご飯を作るのが大変、(選手である旦那さんの)体調管理をしないといけないというのがありましたけど、宏介はオランダ時代(2015〜16年/フィテッセ)にもお鍋中心に自炊は心がけていたみたいですし、食生活はそこまで問題があるようには感じませんでした」

――料理や栄養のことは結婚されてから新たに勉強を?

福間「私はアスリートフードマイスターとか資格は持ってなくて、最初は何を作ったらいいか分からなくて(苦笑)。でも、今は少し慣れてきて、ご飯の品目を多くしたりしています。一番は日々の会話で、体重や体脂肪率を含めた今のコンディション、疲労具合などを聞いて、例えば体重が減ってきていたら炭水化物を増やしてみたり、逆に(体重が)増えてきていたら炭水化物を少なめにして野菜を増やしたり、臨機応変に対応できるように意識しています。最初は本を読んだりしていたんですけど、性格的に勉強が苦手で(笑)。私はインスタ好きなので、ヴァンフォーレ甲府のGK小泉勇人選手が挙げているレシピや自炊記録も参考させてもらっています」

太田「小泉選手のレシピ投稿のクオリティーが素晴らしくて、それを見て情報収集したりしているね」

福間「分かりやすいし、簡単なメニューも多くて、鶏ハムとかはよく作ります」

――太田選手が文香さんの得意料理で好きなメニューは?

太田「韓国料理やタイ料理が好きです! いつも品数を多めに出してくれるのも嬉しいですね。例えば今日はパスタ中心がいいなとイメージしていたら、そころから3、4品多く作ってくれます。とにかく食材が多いです。最近も話していたんですけど、この1、2年で食事のクオリティーグンと上がりました」

福間「(笑)」

太田「その要因としては、オーストラリアで食材が限られているなか、現地のものと日本食スーパーで買えるものをいろいろ工夫して、そのなかで常に日本食を作ってくれていたんです。そこからワンランク、ツーランク上がって、食事はもう最高です。僕はお菓子も好きで、それまでは普通にお菓子を食べていましたけど、クッキー、プリン、スイートポテトとかほとんど手作りで、身体にいいものだけで用意してくれるので、もう安心して食事を取ることができます」

オーストラリアでのコロナ禍の生活は食事にも細心の気配り

――オーストラリアのパース・グローリーに在籍していた2020年末から2022年夏はコロナ禍でもありました。やはりスーパーに行って、食材を確保するのも大変でしたか?

太田「大変でした。特に今年1月から3月にかけての2か月弱は家族とともにアウェー遠征で、ホテルで3食は出るんですけど、サンドイッチやパスタだけみたいな簡素なものばかりで(苦笑)」

福間「文化とか食生活が全然違うので、今まで和食中心だった生活からすると結構キツかったです」

太田「『郷に入っては郷に従え』とは言いますけど、アスリートとして譲れない部分はあって、今まで食べてきた日本食も食べたい。隔離中のホテルでも上手く工夫してやりくりしていましたし、そういうのを一緒に経験して、強くなりました」

福間「お米は持っていってたね」

太田「(宅配サービスの)『Uber』で頼める日本食と上手く合わせながら、僕や子供にも常に日本食を用意してくれていました。サッカーを通じて、家族と試練を乗り越えていって、その中の1つとして食事面もサポートしてもらえるのはすごく心強いです」

――2019年7月にお子さんが生まれて、食事作りに変化はありましたか?

福間「まだ3歳で、好き嫌いが結構あるので食べられるものは限られているんですけど、ジャンキーなほうではないので、基本的には宏介のメニューから取り分けて一緒に食べています。子供に合わせてという意味では、カレーは完全に甘口です。味付けも濃くしすぎず薄めで、香辛料も控えめにして、必要なら少し足すくらいのシンプルな感じが多くなりました」

太田「FC町田ゼルビアは練習後に昼食が出ます。でも、オーストラリアの時は出なかったので、練習が終わってもう正午頃に帰ってきて、僕用と子供用の御飯は分けてもらっていたね」

福間「私たちはもともと早寝早起きしたいタイプだったから、子供が生まれてからも生活面は変わらずで、夜9時半とか10時ぐらいになったらソワソワし出して、11時になったら早く寝なきゃという感じ。子供がいるからすごく大変とか変わったことは、今のところないですね」

体調管理はもちろん、メンタル面のサポートを意識

――サッカー選手は、クラブでの練習が終わったら家に帰り、午後は家族との時間を比較的多く取れるとも言われます。日々のルーティンはどんな感じですか?

福間「日々の過ごし方はごく普通です。練習であまりにも疲れてる日はお昼寝を挟むこともありますけど、だいたいは子供と遊んでもらっています。子供も遊びたいし、もうパパ大好きなので(笑)。サッカー選手のお子さんは、パパが早めに帰ってきてよく遊んでくれるのもあって、パパっ子がすごく多いんです。子供を見てもらっている間に、早めに夕食の準備をしてしまいます」

太田「(午後)4時になったら子供をお風呂に入れて、5時半にはご飯を食べて、7時にはベッドに寝かしつけに行く感じですね(笑)」

福間「そう、早い(笑)」

太田「7時半くらいまでには寝て。そこから普通の家庭だったら、例えばリビングに戻って映画とかドラマを見てとかあると思いますけど、僕たちはもう9時過ぎにはベッドに入って、もうそのまま寝ちゃう。睡眠をとらないと次の日にイライラしがちだから(笑)」

福間「睡眠は本当に大事」

太田「朝7時前に起きて、準備をして練習に行く感じ。子供が12時間くらい寝てくれるから助かるね(笑」

――文香さんはモデルをされていますが、モデルさんなりの体調管理やコンディション維持の知識がアスリートの妻として生きている、というものはありますか?

福間「体調管理、体型維持は自分なりにしていたんですけど、例えばストレッチとか、身体の鍛え方とか、アスリートのほうが知識はあるし、“プロ目線”から『こういう筋トレがいいよ』とか教えてもらうことのほうが多かったです」

太田「お互い身体のことに対して意識が高いので、そういう意味ですごく合いますね」

福間「私たちは若くして結婚したほうではなくて、出会った時に27、28歳。宏介もアスリートとして築いてきたものがしっかりとあって、私が見てる期間はアスリート人生の中で短いので、確立されたものに何かプラスアルファできればという思いと、30歳を超えてベテランになっていくなか、メンタル面でどうやって支えたらいいかと考えています」

――逆に、これまでの中でアスリートの妻として大変だった出来事は?

福間「私は食事面のサポート云々よりも、シーズン中に怪我や試合結果によって気持ちのアップダウンが最初はありました。選手ほどではないとはいえ、家族も勝てば嬉しいし、負ければ気が滅入ってしまう。例えば、相手と接触して痛そうにしていたら、『どうしよう、怪我しちゃったんじゃないか』とソワソワしたり(苦笑)。シーズンオフになったらようやく一息つける感じで、こんなにも大変な気持ちになるんだと痛感しました」

太田「普段、家で一緒にいることが多いから電話をする機会はあまりなくて、LINEがほとんどです。でも、名古屋時代(の2020年2月)に右脛を疲労骨折して、練習直後に電話をした時がありました。僕はもう自分の中で気持ちを切り替えて、『骨折しちゃったわ』という報告だったんですけど、いきなり電話がかかってきたうえにそんな話だから妻はソワソワして、『今後どうするの?』『オペいつするの?』『全治どれくらいかかるの? 大丈夫?』とすごく心配してくれて、やっぱり一緒に戦ってくれているんだなと思いました」

福間「私が試合を観たら負けるんじゃないか、逆に観ないとダメなんじゃないかとか、変な自分的ジンクスを勝手に作ってしまって大変なこともあった(笑)」

太田「スタジアムに観に行ったら負けるとかね(笑)」

福間「私が初めて観に行った時に負けたらどうしようって(笑)。今はできる限り試合は観るようにしていますね。なんか観ないともったいないと思っちゃう」

(後編に続く)

[プロフィール]
太田宏介(おおた・こうすけ)/1987年7月23日生まれ。東京都出身。FC町田―麻布大学附属渕野辺高―横浜FC―清水エスパルス―FC東京―フィテッセ(オランダ)―FC東京―名古屋―パース・グローリー(オーストラリア)―町田。J1通算296試合11得点、J2通算39試合0得点、J3通算2試合0得点、日本代表通算7試合0得点。左足から繰り出す高精度のキックで、攻撃的サイドバックとして存在感を発揮。明るいキャラクターと豊富な経験を生かし、出身地のJクラブ「FC町田ゼルビア」を盛り立てる。

福間文香(ふくま・あやか)/1989年1月25日生まれ、奈良県出身。ファッションモデル、タレントとして活躍し、2017年7月にサッカー選手の太田宏介と結婚。19年7月に第1子となる男児を出産した。“Jリーガーの妻”として、飽くなきチャレンジャーの夫を陰で支える。趣味は旅行、カフェ巡り、ラテアートも勉強中。(FOOTBALL ZONE編集部・小田智史 / Tomofumi Oda)