30秒で効く“しゃっくりの止め方”が判明! 専門医にしゃっくりの原因と対策を聞いてきた
仕事中、大事な会議でも急に起こるしゃっくり。
止めたくても止まらない…なんて悩まされた人は、僕だけじゃないはず。
そこで今回は、しゃっくりが止まらない悩みを抱えた患者さんが多く訪れるという、「目黒通りハートクリニック」の安田洋院長に、しゃっくりの原因や止め方、病気の可能性などについてお話を聞いてきました。
〈聞き手:ライター・サトートモロー〉

【安田洋(やすだ・よう)】平成25年12月に目黒通りハートクリニックを開業。以来、院長として内科、循環器科、呼吸器科、アレルギー科、小児科、心療内科など幅広く診療。しゃっくりの診察では地方からの患者さんも診ている。しゃっくり、あくびについて各種メディアで寄稿
しゃっくりは赤ちゃんのときの「反射」のなごり
安田先生:
「膝蓋腱反射(しつがいけんはんしゃ)」ってわかりますか? 膝頭を軽く叩くと勝手に足がビクって跳ねる反応です。「脚気(かっけ)」という病気では、この反射が大きくなります。
しゃっくりも「吃逆反射(きつぎゃくはんしゃ)」と呼ばれていて、無意識に起こる反応なんです。

安田先生:
しゃっくり(吃逆反射)はもともと、私たちがまだお母さんの胎内にいたとき、口の中に入ってしまった異物を外に出すために備わった反射といわれています。
大人になったら必要なくなるんですが、何かの拍子にそのなごりが「しゃっくり」として出てしまうことがあるんですよ。
サトー:
「何かの拍子」って、たとえばどんなことなんでしょう。
安田先生:
これまでの研究で、しゃっくりは「横隔膜(※)の痙攣と声門の閉鎖」が原因とされています。
※横隔膜とは、胸とお腹の間にある横長でドーム状の筋肉のこと。呼吸をするときに、伸び縮みして肺をふくらませたり縮ませたりする役割を担っている
安田先生:
横隔膜の痙攣が起こると、声帯の筋肉も同時にキュッと閉じてしまいます。すると息の通る管が狭くなるので、普段以上に体は息を吸いこもうとします。
そのときに、しゃっくり特有の「ヒッ」っという音が出てしまうんですよ。
横隔膜への刺激やストレスがしゃっくりの主な原因
サトー:
しゃっくりの仕組みはわかったんですが、そもそもの原因とされている「横隔膜の痙攣」ってどんな行動をしたら起こってしまうんでしょうか?
安田先生:
わかりやすいのは、横隔膜へ直に刺激が加わる場合。
たとえば早食いの人です。よく噛まずに飲み込んでしまって、胃が拡張されて横隔膜を圧迫し、痙攣を引き起こします。
サトー:
僕、しゃっくりが出やすいなと自覚してたんですが、たしかに早食いです。
丼ものなんて、飲み物レベルでかきこんでいる気がします。
安田先生:
それはやめたほうがいいですね(笑)。
ほかにも炭酸飲料や、冷たいもの、熱いものを急に飲むのも、しゃっくりの原因になるといわれています。
サトー:
お酒を飲むとしゃっくりが出ることがあるのは、冷たいものを一気に入れているからなんですね。
安田先生:
そうです。あとこれは刺激云々ではないのですが、ストレスをためると胃腸に負担がかかります。なのでストレスもしゃっくりの原因になると考えられてます。
【しゃっくりの原因になる習慣リスト】
✔︎大食い、早食い
✔︎熱いものや冷たいものを一気に摂取
✔︎お酒、タバコが多い
✔︎ストレスを抱えている
✔︎肺や胃などに疾患がある
しゃっくりには病気が隠れている場合がある。2日経っても止まらないなら要注意
サトー:
しゃっくりの原因になる習慣のなかで、「肺や胃などに疾患がある」とありましたが、これも横隔膜が関係しているのでしょうか?
安田先生:
まだ研究途中なのですが、実は体内にある「しゃっくりの経路」が刺激されたときにも、しゃっくりが引き起こされるんじゃないかといわれてます。
サトー:
しゃっくりの経路…
安田先生:
頭のてっぺんからいうと、まずは脳の一部である「延髄」という組織。そして喉にある「声門(左右の声帯のすき間)」や「鼻咽腔」、あとは肺に接している「横隔膜」ですね。

安田先生:
これらの部位を通る神経などを含めて、しゃっくりを起こす「経路」と呼びます。
しゃっくりがなかなか止まらない場合は、これらの経路にまつわる器官に異常が起きていることも考えられる。つまり、しゃっくりの裏に病気が隠れていることがあるんです。
サトー:
しゃっくりがそんな前兆だったとは…
ちなみに「なかなか止まらない」って、どのくらいを目安にしたらいいんでしょう?
安田先生:
問題のないしゃっくりは最長でも48時間で止まるもの。なので、2日以上続く場合は要注意です。
サトー:
そんな続くこともあるんですか?
安田先生:
私の患者さんの中には、1年以上しゃっくりが止まらなくて来院する方もいらっしゃいます。
長引く場合は、すぐに病院に行きましょう。原因によって治療方法がいろいろありますので、ぜひ診察を受けてください。
すぐにしゃっくりを止める方法→「30秒、耳に指を突っ込む」
子どもの頃、いろいろとしゃっくりの止め方を試したことはありませんか? 驚かせてもらったり、コップを逆側の縁で飲んだり、息を止めてみたり…。ネットで検索すると、「蛍光灯を眺める」「ナスのことを想像する」という都市伝説も(?)ありますが…その真偽やいかに。
安田先生:
覚えておくといいのは、先ほど説明した「しゃっくりの経路」になにかしらの刺激を与えるとしゃっくりは止まる、ということ。
たとえば、舌を指で引っ張ったり、喉に指を突っ込んだりとか。
サトー:
人前ではできない(笑)。
安田先生:
ですよね? そんな人にオススメなのは、両耳の穴に人差し指を入れるという方法です。

安田先生:
なるべく奥まで突っ込んで、約30秒押してください。
これによって耳奥にある神経を刺激でき、理論的にもしゃっくりが止まる確率が高いのではと思います。
サトー:
え、そんなカンタンな方法があったとは…!
「驚かせてもらう」とか「息を止めて水を飲む」もしゃっくりが止まるといわれていますが、これはどうなんでしょう?
安田先生:
横隔膜の痙攣を抑えることになるので、タイミングが良ければ、一定の効果はあると思います。ただ、「驚かせてもらう」のは1人ではできないし、「息を止めて水を飲む」も近くに飲み物がないとできませんよね。
耳に指をつっこむのは誰でもできるので、会食中に急にしゃっくりが出た場合など、いざというときのために覚えておくといいでしょう。
今回の取材で、突然起こるしゃっくりには、ちょっとした体調不良から重い病気の兆候まで、さまざまな要因が隠れていることがわかりました。
「息を止めて水を飲めばしゃっくりは止まる」なんて都市伝説かと思ってましたが、意外とそういう方法も効果があったりするんですね。都市伝説、侮るべからず。
〈取材・文=サトートモロー(@tomorrow_p_sato)/編集=宮内麻希(@haribo1126)〉
目黒通りハートクリニック
http://meguro-heartclinic.com/
