高木美帆さん

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 高市早苗首相(65)は22日、スピードスケートで日本女子最多となる五輪メダル通算10個を獲得して現役引退した高木美帆さん(32)に、国民栄誉賞の授与を検討するよう関係省庁に指示した。木原稔官房長官(56)が記者会見で明らかにした。授与が決まれば2023年3月の車いすテニス男子の国枝慎吾さん(42)以来でスポーツ選手としては14例目となる。

 32歳の誕生日の朝、高木さんに国民栄誉賞の授与検討の知らせが届いた。五輪通算10個のメダル獲得、日本勢初の世界選手権オールラウンド部門優勝、W杯通算38勝は男女を通じて日本勢で最多。数々の功績が最大級に評価された。日本スケート連盟を通じ「国民栄誉賞について検討していただけるだけでも、光栄に思います。検討結果を楽しみに待ちたいと思います」とコメントした。

 今年2月のミラノ・コルティナ五輪で銅メダル3個を手にし、3月の世界選手権(オランダ)を最後に現役から退いた。高市首相から授与検討の指示を受けた木原官房長官は、「長きにわたり、スピードスケート界の第一人者として世界の第一線で活躍した」と称賛。。さらに「わが国のスポーツ振興と発展に多大な貢献をされた。国民に広く夢と感動を与えるとともに、社会に明るい希望と勇気をもたらした」と続けた。今後スポーツ庁を中心に有識者の意見聴取などを進め、最終決定する。

 スケートと向き合う姿勢も国内外から尊敬される。15歳で10年バンクーバー五輪に初出場し、「スーパー中学生」として騒がれた。一方で、距離ごとの専門化が進む中、複数種目への挑戦を続けてきた。氷上の技術を突き詰めるだけでなく、食事や睡眠も妥協なく管理。極限まで己を磨き続け、体格の大きい海外勢と渡り合った。その歩みは「求道者」という言葉が一番似合う。ともに戦った仲間たちからは「スケートを人生の一部にしている」との言葉が贈られた。

 4月の引退会見では、大学院進学の予定はないものの、脳と体の関係などに興味があると明かしていた。14日にはスポーツ報知の取材に応じ、32歳となる新たな1年間へ「変わらずに好奇心というか、探究心や研究心を持ち続けていたい。自分の帆を広げて、いろんなものを受け入れられるように過ごしたい。自分が思う過ごし方で、夢に向かってゆっくり進んでいきたい」と語っていた。競技から退いても新たな挑戦の場を探し求めている。引退後に初めて迎えた誕生日。政府からの粋なプレゼントになった。(富張 萌黄)

 ◆高木 美帆(たかぎ・みほ)1994年5月22日、北海道・幕別町生まれ。32歳。帯広南商、日体大卒。2018年世界選手権総合優勝。19年に1500メートルの世界記録樹立。20年全日本選手権で史上初の5種目V。五輪は10年バンクーバー大会に史上最年少15歳で出場し、通算10個のメダル(金2、銀4、銅4)は夏冬通じ日本女子最多。家族は両親と兄、平昌五輪2冠の姉・菜那さん。164センチ。

 ◇国民栄誉賞 1977年に野球で本塁打の世界記録を打ち立てた王貞治選手(当時)の功績をたたえるため、政府が創設。首相が授与式で表彰状や記念品を贈る。当初は広く国民に敬愛され、社会に明るい希望を与える顕著な業績を残した個人が対象だったが、2011年にサッカー女子W杯で初優勝した日本代表「なでしこジャパン」に贈る際、団体でも受賞できるように規定を変更。慣例として100万円相当の物品が副賞として贈られる。過去に27人と1団体が受賞。