「551は新幹線で食べちゃダメだろ」“豚まん”めぐりネット大激論… 車内の飲食、JRの公式ルール&法律上の注意点は?
<お腹減ったから新大阪駅で551の豚まん買って、車内で食べてたら隣のおっさんに言われた。「551は新幹線で食べちゃダメだろ」>
先日、実業家の河原由次氏が上記で始まる文章をXに投稿しながら「こういう自分の価値観をいきなり他人に押し付ける人、どう思う?」「新幹線で食べる人がいるから駅であったかい豚まん売ってるんだろ?」と訴え、大きな議論を呼んだ。
「夕方の新幹線なんか出張帰りのサラリーマンが、駅で買い込んだつまみや弁当で缶ビール飲んでる光景がデフォルトですやん…」などと擁護する声もあった一方で、「551豚まんは大好きだし、むしろ究極レベルで最高だと思うけど、だからって電車内で食べるのは非常識としか思わんな」などX上では批判の声が多数派だった。
「551」とは、豚まんや焼売で有名な「株式会社 蓬莱」(本社:大阪市浪速区)のこと。
とくに関西在住者と思わしきアカウントからは「大阪人からしたら、車内で551を食べるのは御法度」「大阪人なら電車で551はやめとけと習うはずなのに…」などの声が相次いでいる。
551の店舗は新大阪駅の新幹線改札内にも存在するが、ここで販売しているのはチルド商品のみであり、基本的に買ってすぐ新幹線で食べることはできない。
だが、JR新大阪駅中央口店では、すぐに食べられるアツアツの豚まんを販売しているのは事実だ。「駅で売っているなら新幹線内で食べてもいいはずだ」という河原氏の意見にも一理あるように思える。
はたして車内で豚まんを食べていいのか、よくないのか。新幹線を運営する鉄道会社の公式ルールと、法律における扱いを確認するため、JRと弁護士に取材した。
他の客に迷惑をかける「臭気」は持ち込み禁止だが…弁護士JPニュース編集部がJR東海・東京広報室に「豚まんなど、匂いの強い食品を乗客が新幹線車内で食べることについて規制を実施しているか」と聞いたところ、以下のような回答があった。
まず、JR旅客6社(JR東日本、JR西日本など)に共通した運送約款である旅客営業規則では「不潔又は臭気のため、他の旅客に迷惑をかけるおそれがあるもの」を車内持ち込み禁止と規定している(307条1項6号)。
この規定は、国土交通省令である鉄道運輸規程において、「不潔、臭気等ノ為同乗者ニ迷惑ヲ及ボスベキ虞アル物品」が車内持ち込み禁止と規定されている(23条1項7号)ことを受けて定められたものだ。
つまり、東京~新大阪駅間を走行する東海道新幹線に限らず、原則的に全ての新幹線や電車において、他人に迷惑をかけるような「不潔なもの」や「臭いもの」を持ち込むことは禁止されている。
ただし、「臭気」に関する具体的な基準は設けられていない。
実務上は、鉄道車内は公共性の高い空間であることから、列車の混雑状況や「臭気」を発している物品の状態、その物品がある状況で車内秩序が維持できるかなどを総合的に考慮したうえで、「他の旅客に迷惑をかけるおそれがある」とJRが判断した場合には、物品を車内に持ち込むことを禁止する…といった対応をしているという。
そして車内の食事については「皆様に快適にお過ごしいただくため、お客様同士でお互いにご配慮いただくものと考えております」とのことだった。
つまり、「551の豚まんは匂いが強すぎるから新幹線車内で食べることは禁止されている」といったルールを、JRが定めているということはないのだ。
一方で、自分が豚まんを食べたくても、もし隣の人から「匂いがきつい」と注意や抗議をされた場合には配慮することが求められる。つまりルールではなく「マナー」の問題といえる。
飲食しないよう強制することはできない大阪府内で活躍してきた竹本理恵弁護士も「法律上、新幹線の車内で飲食が禁止されている訳ではないので、豚まんなど匂いの強いものを食べることも、あくまでマナーの問題にとどまります」と語る。
言うまでもなく、「隣の席で匂いの強いものを食べて不快感を与えた」というだけで、精神的な苦痛に対する慰謝料などの法的責任を追及される可能性も低い。
ただし、食べものや飲みものをこぼして隣の人の服やカバンなどを汚した場合、不法行為(民法709条)にあたり、クリーニング代などを請求される可能性がある点については、注意が必要だ。
一方で、隣で匂いの強いものを食べられている側の人も、そもそも法律的には飲食するのを止めるように強制することはできず、あくまで「止めてください」と“お願い”する立場であることを自覚しなければならない。
「言い方や態様によってはケンカに発展するなどトラブルを招く可能性がありますので、気を付ける必要があると思います」(竹本弁護士)
なお、JR東海は「車内にてお困りごとがございましたら、巡回中の乗務員やパーサー、警備員に遠慮なくお知らせください」ともアナウンスしている。
あまりに匂いがつらいのに隣にいる人が食べるのをやめてくれない場合や、逆に飲食していたら過剰に抗議されたり威圧的な言動をされたりした場合には、トラブルを避けるために、乗務員や警備員に助けを求めよう。

