ルーシー・リュー
 米ショービズ界で活躍するアジア系俳優の草分けとして知られるルーシー・リュー(57)。声優やプロデューサー、アーティストと多方面で才能を発揮し、いまや「ハリウッドの顔」となった。

 話題の新作『プラダを着た悪魔2』(5月1日公開)にも出演しノリに乗っているルーシーが、最近のインタビューで「自己主張することの大切さ」を語った。かつて「わがまま」との業界評もあった彼女が、「自分のために声をあげるべき」と痛感したきっかけは、乳がんの誤診だったという。

◆「医師が言っていることなんだから間違いない」と思ってしまった

 ルーシーは4月11日(現地時間)に公開された米ピープル誌の単独インタビューで、過去に乳がんの診断を受けたことを告白。当時の状況を振り返ると同時に、本来は不要だった手術を受けていたことを明かした。

 1990年代、胸にしこりを見つけ、医師の診察を受けたという彼女。「あまり深く考えなかったけど、怖かった。その頃はインターネットもなく、手に入る情報が少なかったから」と当時を振り返った。

 超音波検査やマンモグラフィーなどの検査も行われず、医師が触診だけで「がん」と判断したが、医師の診断を疑わなかったという。すぐに手術を受けることを決断したが、術後、実は「しこりががんではなかった」ことを知らされたそうだ。

 ルーシーはそのときの心境をこう語っている。

「正式ながんの診断を受けたと思い込み、それ以上、深く考えることはしなかった。友達からセカンドオピニオンを受けるように言われたが、『そんなことをして何になるの? 医師が言っていることなんだから間違いない』と思ってしまっていた」

◆自分自身を守るために声をあげることを学んだ

 この体験を「自分自身のために声を上げることを学び始めた出来事だった」と語るルーシー。そこから学び、成長する姿勢を大切にしているという。

 現在、米製薬大手ファイザーのキャンペーンに協力し、早期発見のためのがん検診を推奨している彼女はこう訴えている。「まず検診とは何なのかをちゃんと理解すること。情報を得て、自分自身を守るために声をあげること。それがとても重要」

 また、自身の健康問題や経験をためらうことなくオープンにするのには、こんな思いがあるようだ。

「私は決して反省や後悔はしない。状況をしっかり見つめ、そこから成長する。自分を責めてしまうような辛い瞬間はたくさんあるけれど、そうした否定的な気持ちから物事を始めるべきではないわ。過去には戻れないから、もっと前向きなところから始めるべきだと思う。『次は何を変えられるか、どうすれば自分や他人にとってより良い選択になるか』という考え方よ」

◆アジア系俳優として偏見や孤独と闘った日々

 台湾出身の両親のもと、ニューヨークで生まれ育ったルーシー。1990年代後半から2000年代初頭に大ヒットした米ドラマ『アリー my Love』で冷徹な弁護士を演じてブレイク。その後『チャーリーズ・エンジェル』や『キル・ビル』などの人気シリーズに出演し、世界的にその名が知られるように。

 トントン拍子でスター街道を駆け上がってきたように見えるが、その裏では「マイノリティ(少数派)」として、厳しい現実に直面した。かつてハリウッドでアジア系俳優が少なかった時代、望むような役を得ることは難しく、アジア系女優に向けられる固定観念とも闘わなければならなかったという。

 ときには共演者と衝突したことも。『チャーリーズ・エンジェル』の撮影中に「侮辱的なことを言われた」として、大先輩である名優ビル・マーレイと大ゲンカしたそうだ。2021年に出演したポッドキャスト番組で、本人がこの事実を明かしている。