「また次の冒険で会おう!」ーー『ポケミク』集大成が刻んだ次元を超える絆、最高峰のライブ体験詳細レポ
3月20日~22日に、千葉・LaLa arena TOKYO-BAYにて『ポケモン feat. 初音ミク VOLTAGE Live!』が開催された。
(関連:【ライブ写真あり】『ポケモン feat. 初音ミク Project VOLTAGE』の模様)
本公演は、2023年8月より始まったコラボプロジェクト『ポケモン feat. 初音ミク Project VOLTAGE』(以下、『ポケミク』)の集大成のひとつとして、プロジェクトにて制作した楽曲を生演奏で楽しむライブイベント。そのユニークな足跡を確かに感じられる、華やかで希望に満ち溢れた催しとなった本公演を、今回はライブ本編のみならずさまざまな視点からレポートしたいと思う。なお本稿では、3日間昼夜6公演のうち、2日目となる21日昼公演の模様を中心にお届けしたい。
■オープニングはドライブモードのミライドンに乗ってミクが登場!
まず冒頭で触れておきたいのは、公演前時点から設定されていた本イベントの特異点である。それが“演奏曲全27曲の事前発表”だ。これは「どの曲が演奏されるか」という聴衆の楽しみを奪うものではなく、「どの公演に足を運んでも『ポケミク』曲を必ず全曲聴ける」という担保として機能している。ただ同時に、今思えば、たとえセットリストがすべて判明していても、絶対的に聴衆を楽しませる“何か”が会場にはあるという逆説的な示唆でもあったのかもしれない。公演・場内の撮影禁止、および公演期間中のSNSにおけるネタバレ投稿禁止の周知徹底からも、そんな背景が窺えた印象だ。
会場となったLaLa arena TOKYO-BAYでは、イベント公式とポケモンセンターによる各会場物販や、本プロジェクトの各種関連ビジュアルやクリエイターからのコメント掲示、フォトスポットなどを集めた企画展示エリアも展開。企画展示には、時に待機時間1時間超えの列も形成されており、周辺一帯に今回のライブへの期待が満ち満ちていた。
場内には初音ミクらバーチャルシンガーのファンのみならず、実に多彩なポケモンを各々連れたファンの姿も見受けられた。開演時刻を迎え、ライブオープニング映像が流れたあと、ドライブモードのミライドンに乗ってミクが颯爽とステージに登場。客席からの歓声を受けつつ、「ミライどんなだろう」で公演はスタートした。
今回のライブではステージ正面に装飾の施された大画面のメインモニターが設置され、その両サイドにもサービスモニターを配置。舞台上のアップ映像や、時には楽曲のMVなども楽しめる仕様となっている。そんななか、1曲目では舞台上のミクが投げたモンスターボールが場内の客席を一周し、聴衆からは驚きに満ちたざわめきが広がる一幕も。このようなアリーナ会場ならではの設備・リボンビジョンを活用した演出も随所に用いられ、従来の初音ミク関連ライブにはない“飛び道具”として大勢の観客に衝撃を与えていた。
そんなファーストインパクトで聴衆の心を掴んだのち、続いて披露された「エスパーエスパー」では、本プロジェクトのキーポケモンであるメロエッタが登場。楽曲終盤ではテレキネシスによってステージからミクがふわりと浮き上がり、2人は軽やかな空中パフォーマンスを披露してくれた。さらに「戦闘!初音ミク」では、楽曲を踏襲したミクのロボットモーションや炎の特殊効果、「メロメロイド」ではステージに登場したクチートのメガシンカなど、聴衆を飽きさせないバラエティに富んだ演出が続いていく。
視覚を巻き込んだ空間造りへ徹底的に注力し、この場に立ち会った人のみが体感できるライブの価値を最大限まで高めた今回の公演。だが、単純な演出の派手さや豪華さのみならず、初音ミクと同様に違う次元の存在であるポケモンたちが、あたかもそこに居て我々と同じ次元を生きているかのように舞台上を動き回ることも、非常に大きなライブバリューとなっていたように思う。10匹近くのビッパたちによる思い思いの動きが会場の笑いを誘った「ゴー!ビッパ団」、空間を自在に行き来するミュウがミクたちと客席を翻弄する「ガッチュー!」など、公演前半で生き生きと躍動するポケモンたちの姿に、気づけばライブへ没頭した聴衆も多かったに違いない。
■本編最後は「Glorious Day」、歴代の記憶を呼び起こす演出も
さらに「ひゅ~どろどろ」や「むげんのチケット」などでは、MVの世界観にあわせたステージ演出も展開。曲の山場に合わせ現れた大迫力のルギアに場内からひと際大きな歓声が上がった「Encounter」や、ゲスト・重音テトとメロエッタ(ステップフォルム)の登場に加え、演奏後に明かされた“メタモンクイズ”で客席に困惑と動揺が広がった「ファサード・クエスチョン」も、公演中の大きなハイライトのひとつとなる。
ゲーム中の人物を題材とした「チャンピオン」、「オーパーツ」の連続披露も、ポケモン好きであれば思わず膝を打つ展開のはず。また「オーパーツ」では、歌い踊るミクが白黒のマネキンのように変化しており、それもまた楽曲の異様さをより引き立てていた印象だ。
怒涛の演出にすっかり温度の高まった客席に敢えて着席を促し、曲中の物語をしっとりと聴かせた「きみとそらをとぶ」、歴代のゲームプレイ動画が走馬灯のように次々と浮かび、聴衆の記憶を想起させるエモーショナルな映像演出も光った「ポケットのモンスター」などの緩急も所々に挟みつつ、気づけば公演はあっという間に後半戦へ。
バックバンド紹介からの映像演出を経て、本公演のライブビジュアルへと衣装チェンジしたミクが最初に披露したのは「ボルテッカー」。ステージに現れたピカチュウとともに会場を再度アッパーなムードに戻したあとは、息もつかせぬノンストップのパフォーマンスで、そのまま本編最後の「Glorious Day」まで一息に駆け抜ける。
アンコールを受け、ステージにひらひらと舞い落ちる“にじいろのはね”を導入に、残る3曲から最初に披露されたのは「アフターエポックス」。3Dのミクと、MVにも登場する18タイプミクの2Dアニメーションが次々に入れ替わる、次元を超えた映像演出も見どころとなった一幕だ。「たびだちのうた」では、18タイプの初音ミク&相棒ポケモンたちが描かれたMVが投影。そしてフィナーレを飾った最終曲「クロスロード」では、オーディエンスからの歓声を一身に浴び続けたミクの姿が白を基調とした「フルボルテージ!」へとチェンジ。華々しいエンディングの中、「また次の冒険で会おう!」というミクのセリフとともにライブは無事終演を迎えた。
初音ミクとポケモンーーともにマルチバース的解釈に寛容な文化下地のあるコンテンツだからこそ、本プロジェクトは最後まで両者が主役であり、かつ名脇役でもいられたのだろう。バーチャルシンガーに関するライブ公演の歴史、あるいは『ポケモン』に関するイベントの歴史、そのどちらにおいても間違いなく大きな転換点となった今回のライブ。この経験を経て、両者は今後もさらに多くの人々に新たなワクワクやドキドキを届けるコンテンツへと進化し続けていくはずだ。
(文=曽我美なつめ)
