(画像はイメージです/PIXTA)

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副業やスポットワークの普及により、サラリーマンにとっても「確定申告」が以前より身近になった。実際にやってみると、「本当にこれで合っているのか?」と戸惑う場面も少なくない。こうしたなか、この「確定申告」のしくみを悪用した不正還付が国内外で急増しており、税務当局は対応に頭を悩ませているという。本記事では、制度の盲点を突く巧妙な手口と実態についてみていく。

日米で急増中…確定申告を悪用した「不正還付」の巧妙な手口

アメリカのIRS(内国歳入庁)の発表によれば、確定申告を悪用した「不正還付」犯罪は年間7,000件にも上るといいます。手口は、実在する個人になりすまして確定申告を行い、過剰に納めた税金の還付を受けるというもの。

なりすまされた本人が確定申告をしようとした際にようやくIRSがその異変に気づき、被害を受けたと認識するのでしょう。

一方、日本国内に目を向けると、確定申告の不正還付はサラリーマンに多いのが現状です。

サラリーマンは年末調整によって1年間の税金の精算が済んでいるため、たいていは確定申告をする必要はありません。ところが、コロナ禍の数年ほど前から政府や企業が「副業」を認めるようになってから、状況は一変しました。

副業で損失が出た場合、年末調整で完了したはずの源泉徴収された税金が還付される可能性があるからです。

このしくみを悪用し、虚偽の申告によって不正還付を受けるサラリーマンが増えています。税務職員も、いちいち数十万円程度の個人の還付まで調査しきれないのでしょう。

不正還付を“ビジネス”として行う「トクリュウ」

さらに、これを“ビジネス”にしようとする者まで現れました。「トクリュウ」です。トクリュウとは「匿名・流動型犯罪グループ」の略称で、SNS等を利用して実行犯を募集し、その都度メンバーを入れ替えながら特殊詐欺や強盗等を広範囲で行う集団のことをいいます。

トクリュウはSNSで集めた闇バイトに「e-Tax(国税電子申告・納税システム)」の識別番号などを取得させたうえで架空の事業内容を申告させ、副業による赤字を装って還付請求を行っていたのです。同じ手口で、彼らは北海道から沖縄まで全国規模で不正還付を繰り返しました。

SNSを通じて離合集散を繰り返すトクリュウは、不正還付にとどまらず、特殊詐欺や窃盗、強盗といった凶悪犯罪にも手を染めています。

しかし、いくら犯罪が目的だとしても、個人で確定申告を行うにも相応の知識が必要でしょう。実際、確定申告会場では税務職員が手取り足取り申告をサポートしています。税務職員を騙せるだけの税務知識と電子申告のテクニックがなければ、不正還付を受けることはできないはずです。

かなり高度なスキルを習得しているトクリュウなのですが、ならばこれを“かたぎ”のビジネスに活用しても、相応の報酬が得られると思うのですが……。

奥村 眞吾

税理士法人奥村会計事務所

代表